今日は1月に行われた「大学入学共通テストの教科別分析会」があった。主管は進路指導部である。今年から新たに「情報」が加わったので6教科になった。これを2日間分けての実施だ。先生方は教科主任に3年生の授業担当の先生、当方は理事長、高校校長、高校副校長、高校教頭である。部屋は理事長室とした。この分析会は私が校長時代から始めたもので教師が一生懸命に教えた「教え子」が共通テストでどのくらいのスコアであったのか、その「分析と今後の授業の工夫」は教師として当たり前の事であり、管理者が直接耳に入れる機会を持つのは先生方にとっても「気合が入る」筈だ。単純に言えば私立高校に進学する理由を真っ先に挙げよとの質問の答えは「進学実績」であり、このような地道な努力が花開く。部活動OK,学校行事OK、でも生徒も保護者も行きたい大学に行きたいのである。それは基本的に「学力」であり、これだけは変わっていないし、今後も変わらない。
ところで最近、面白い新聞記事があった。視点が面白い。2月17日付けの日経新聞でタイトルは「投資としてみた大学」である。簡単に言えば大学進学について生涯にわたる経済的メリット論を「投資」という観点で論考したものだ。筆者は東北大の島教授で他の2名の大学教授との共同研究である。私はこの種の面白い記事に目が行くと切り抜いて後刻詳細に読破する癖がついている。これらが知識になる。島先生の論考は数値が明確に出ているから分かり易い。ただ理念だけを語った論文、全く数値の裏付けがない論文は意味をなさないと個人的に思っている。しかしこの論文は数値だらけであった。だから面白い。
大学教育の費用には入学金や授業料などの直接費用と間接費用として進学せず、就職したら得られで放棄所得がある。2023年度のデータでは直接費用は国立大学では約243万円、放棄所得は税引き後で男子の場合1153万円とあった。対して大学卒業後に得られた賃金と高卒者として得られた賃金の差額は65歳までの合算で5650万円となる。参考までに23歳で大学を卒業し、65歳まで働いた場合税引き後の生涯賃金は大卒の場合25106万円、高卒の場合は20609万円と言うような具合である。その差4497万円とあった。これら以外にも多くの視点が著述されているが、「大学教育投資収益率は男子で6%、女子で7%」ともあった。私見であるが大手企業の収益率に近い数値である。愉快なくらい面白い展開であった。
本日の分析会は英語、情報、数学であった。各教科の分析は素晴らしかった。特に感銘を受けたのは「資料の完成度の高さ」である。作成した教科長が輝いて見えた。しかし先生方も分かっているように、資料が良く出来きているからと言って生徒の学力がアップする訳ではない。これをどう使うかである。その為に今年から新3年生の教科担当と4月から専任教諭に採用される候補者は本分析会の正規メンバーではないがオブザーバーとして出席を認める旨の指示を進路指導部長に言っている。折角の生きた勉強会に触れさせたいのである。特に情報は今回から科目に入ったもので大変に興味関心があった。3教科とも資料と説明に私は満足した。時間はかかるがこのような「分析・傾向と対策」を継続していくことで間違いなく本校の教科指導力は上がる。この点こそ「教師の本分」であり、耳を傾け、支援し助力する職務の管理職は今後もこの会議を大切にして欲しいと思う。今回の会議で英語から「京都いしちょう」、情報から「多聞尚学館」、数学から「3Sの使い方」が具体的に言葉として教師側から出てきたのは「我が意を得たり」と極めて嬉しかった。