2021年7月16日金曜日

若き先生方、「青天を衝け」

NHK大河ドラマは好きだから大体見るようにしている。今年は渋沢栄一を描いた「青天を衝け」だ。このタイトルの意味は「青天(青い空)を突き刺す勢いでヒジをまくって(壁を)登り、白雲を突き抜くような気力で手にツバをつけて(前、上へと)進む」といった、19歳であった栄一が詠んだ詩の一節から取ったものである。19歳当時の栄一は師匠,惇忠の影響で攘夷思想にのめり込み、それを心配した父・市郎右衛門が従妹の尾高千代を嫁にとらせた時期である。裕福な家庭に育った栄一は、家業を手伝い、藍玉を売るために信州などにも旅をしており見聞を広めたのであろう。旅の最中、険しい信州の内山峡で読んだ漢詩の一節『勢衝青天攘臂躋 気穿白雲唾手征』ら取ったものであるが素晴らしい。渋沢栄一の一生は、まさに汗水垂らし、尋常ではない勢いを持って死ぬまで青春であり続けたと言える。「死ぬまで青春」、私もかく有りたいと思う。

 それにしても19歳でこのような詩作が出来る江戸や明治時代の若者は素晴らしいではないか。今の日本で19歳、今なら大学1回、2回生の年頃にある若者と比較すると幾分暗澹たる気分にもなる。詩作の能力だけを言っているのではない。詩の中味だ。司馬遼太郎の「坂の上の雲」と同じように当時の若者は「高みを目指して気力を振り絞って目標に突き進んだこの気概」である。「内向き」ではないのだ。パリ国際博覧会に驚愕し、あらゆることに興味を持ち、知恵と工夫を凝らして突き進む若者のお陰で今日の日本はある。栄一は素晴らしい両親から教育を受け、本当に勉強家であった。その姿勢は生涯を貫いている。「生涯現役,生涯勉強家」であった。 

私は令和2年、9人の専任教職員を誕生させた。彼、彼女達は1年間、人生の過去を振り返り、学校の教師として正式に出発する前に自分を見つめ直す期間を取ったのである。それが「本校での1年研修」である。そして1年が経ち、昨日で研修が終わった。コロナの影響で3回に分けた発表会となったが、私にとっては若い先生方の考えと思いを聞くことは至福の時であった。9人に共通してまず「教師になった理由」から発表は始まるのだが、いずれも中学、高校時代の恩師の一言が影響を与えている。如何に学校の教師は若者に影響を与えるのか、ここでも分かる。栄一も個人塾の塾長の影響を計り知れないほど受けている。教師ほど素晴らしい、そして「恐ろしい職業」はない。




私は今朝、9人の先生と研修指導の先輩教員に部屋に来て貰って総括をした。そして「青春を衝け」ではないが「教師として自己実現」を目指して欲しいと強調した。ますます混とんとしてきている世の中だが明治維新当時と状況は同じ事で社会を変え、進展させるのは若者の力であり「教育こそ急がば回れ」ではないが結局は「教育の力」が最後に効くのだとも強調した。誇りを持って教師として理事長の年齢くらいまで頑張って欲しいと激励したのである。教育者は生涯現役を貫くことの出来る職業である。渋沢栄一の如く何事にも興味関心を持ち、謙虚に学び、複眼を忘れず、生徒の為に「青天を衝く」が如く、頑張って欲しいのである。若者と接すると私まで何か元気になる。別れ際に本校の象徴である「天孫降臨芋焼酎」をお一人づつ手渡しし、お祝いと激励を申し上げ研修の総括とした。






2021年7月15日木曜日

明日教職員にワクチン接種

今日は職員会議の日でした。最初に今年4月に専任教諭として1年間の研修が終えた先生方の研修発表会がありました。これで3回目となり9人全ての先生が終わったことになります。明日の朝、理事長室で総評が行われます。



その後、理事長・学院長のご指示で情報企画部より「RPA導入」に関してプレゼンがありました。これは619日の理事長アラウンドで触れておられるパソコン上のロボット導入による事務処理の合理化の促進の為で全教職員に紹介すべきとご判断されたものです。

その後、職員会議になり冒頭理事長先生は急であるが、明日教職員の希望者にファイザー製のワクチンを接種する旨発表がありました。他校の理事長のご縁で、某クリニックのドクターと看護師2名、医療事務の方2名が学校に来て下さるとのお話でした。大阪は感染者の急増やインド変異型など不安要因もあり、生徒と接する機会の多い教職員を守る為に急転直下決められたものです。費用は法人負担にすると理事長は述べられました。そして、働き方改革の進捗と教職員の頑張りに対して慰労と感謝の言葉を述べられ会議は終わりました。(K


2021年7月14日水曜日

高校2年生修学旅行の行先決定

学校は4月1日から新年度がスタートする。今年は例年に比べ少し様相が違う状況が出てきている。それは3か月やそこらで1年生の「転入試」の数が多いのである。本日時点で中学では転出はゼロだが転入が二人もあった。これで浪速中学の1年生は総勢138人で新記録となった。浪速高校では転出が2名で転入が2名で差し引き変わりはない。高校の転出は不登校の生徒で何回も話し合ったが通信制に行って子供を楽にさせたいとの保護者の意向だった。転入の二人は前の学校が「肌に合わない」という事で「面倒見の良い浪速の話」を聞いて3か月で学校を変えたのである。私はこれらの背景にはやはり「コロナの問題」が潜んでいるように思えてならない。コロナは通学方法やカリキュラムなど学校の状況と家庭の状況と合致しないケースがあることを浮かび上がらせた。いずれにしても私は特に転入してくる生徒には「120%のケア」をするように両校長にお願いしている。不安の中で転入して来る生徒は最後の最後の砦が浪速だからである。 

大阪のコロナ感染者の数が想定通り増え始めた。第5波かも知れない。蔓延防止特別措置からひょっとしたら緊急事態宣言に変わるかも知れない。本当に困ったものだが、学校は状況に応じて対応していくしかない。今年も来週から始まる「2泊3日伊勢修養学舎」は形を変えて「日帰りお伊勢参り」にせざるを得なかった。問題は「秋の修学旅行」であるがこれは海外旅行を2年連続で諦め、国内旅行にした。その行先も決めた。早く決めて8月の休校期間中に先生方に「下見」をして貰わないといけない。ポイントはホテルや旅館の「徹底したコロナ対策」が取られているかどうかである。過日付き添い教員の内、下見に行ってもらう先生方を決めて校長より伝達して貰ったのである。これらの先生には申し訳ないが生徒の安全の為であり宜しくお願いしたいと思う。

 




行先は「練りに練って」下記の5カ所にした。パリ、ロンドン、ローマ、ストックホルム、ベルリン、プラハ、ニューヨークなどと比べれば名前負けする感じはあるが、何とかネーミングと中身を吟味して総勢716人の高校2年生を6班に分けて実行する。

   「道東コース:世界遺産、知床を含む3つの国立公園での大自然満喫とアイヌ文化体験」

   「道南コース:函館山100万ドルの夜景と北海道開拓の歴史を知る」

   「長崎コース:世界最大級のイルミネーションハウステンボスと東シナ海の魚の宝庫、五島列島」

   「宮崎コース:天孫降臨の地、神話のふるさと高千穂とコバルトブルーの日南海岸」

   「沖縄コース:八重山諸島、亜熱帯の自然体験と沖縄本島での平和学習」2グループ

 代表として道東と宮崎コースを示しておこう。



下見の派遣には相当の費用が掛かるが事前下見も無しで、生徒を送り込むわけには行かない。しかしだ。もし今のコロナが一向に収まらず行く先の地域や宿泊場所でクラスターが出て閉鎖となれば全てが終わりとなる。後は行けるグループと行けないグループがあるのは許されるのかというテーマになろう。しかし本当に新型コロナウイルスには振り回される!

2021年7月12日月曜日

伝家の宝刀・・・教員の分限処分

幾ら良い法律を作ってもそれを運用する組織体に本気でその法律を活かす気持ちが無ければこのようになる。2007年安倍内閣の時に「鳴り物入り」で導入された「教員免許更新制」が廃止されることになった。理由は教員への受講時間や受講料などの負担感と「資質向上に効果が薄い」という。私などに言わせたら「何でやねん?!」と言いたいところだ。一度教員になれば「先生の資格」は一生ついて回り、一般人でも運転免許の更新などあるのに、教師として勉強も研修もせず、「のうのう」と昔取った杵柄で生きているだけの教員を無くすために作った法律だった。10年に一回の筆記試験ではなく単なる研修会などでは誰でも簡単に通過でき、通過率は99.43%だったと言うから、運用が「豆腐みたいなふやふや」のものだったのだろう。 


仕方がない。やはり教員として駄目な人は辞めて貰うしかない、最後は「免職」にするしかない。「分限免職(ぶんげんめんしょく)」という聞きなれない言葉があるがこれは公務員の職を免ずることである。教育公務員も対象である。免職には3つある。本人の意思に反して退職させる「懲戒免職」「分限免職」のほかに、広義では申請に基づいてなされる「依願免職」があるのだが、懲戒免職は非行に対する制裁であって、これを受けると退職金が支給されず、年金も減額される。これに対して分限免職は「職務の適格性を欠く者」に対してなされ、退職金も年金も支給される。「教員が一定の事由により職責を果たせない場合に、公務の効率性を保つために、その教員の意に反して行われる処分」のことで、「分限」とは「身分保障の限界」という意味である。

 



つまり「あなたはこの仕事に向いていないのではないか」「他の職に移った方がいいのではないか」という意味合いが含まれた処分である。今から18年ほど前だったか、大阪府では高校入試問題を高校の数学の先生に解いて貰ったところ、30点そこそこしか取れず、その教員は分限免職となった。高校入試問題ですぞ!当時日本で確か初めての教員の分限免職で、教育委員会が「伝家の宝刀を抜いた」と言われ、社会で大きな話題となった。全国で同じようなことが散見され、文部科学省は前述の教員免許の更新の法律制定に繋がったのであるがこれも駄目だったのである。免職以外の分限処分には「降任」、現在の職よりも下位の職に就くよう命じる処分、「休職」、職を保有しつつ、一定期間職務に従事させない処分、「降給」、給料を現在のものよりも低くする処分の3つがある。

 このように、「分限処分」とは本来やるべきことを何かの原因でできなかった場合に、職務に支障を来たすと判断されて処分されることで、分限処分を下す目的はあくまで「公務の効率性」と「公平性」だと言える。勉強を学びに学校に来ている生徒に対して「真の意味で教えることが出来ない教員が存在する」ことは有り得ない話で、このような教員は間違いなく転職して欲しいと思う。勿論、勤務態度や校務運営の的確さ、生徒への体罰、情報管理等々色々と事由はある。本校は私立学校だから教育公務員に適用される法律はないが、これに準じて「就業規則と内規」を完備しており、執行できるのは理事会であるから理事会を総理する理事長の責務である。学校は生徒の為に有るもので教員の為にあるものではない。今までは契約ベースの常勤講師に対して「お願いベース」で言ってきたが、私は一生身分保障がされている専任教諭に対しては「法の適用」で淡々と粛々と学校を守る為にはやるしかない時もある。結構しんどい仕事で辛いが心を鬼にしてやってきた。今まで私はいわゆる分限処分で2人の専任教諭、懲戒免職で2人の専任教諭に辞めて貰った。法廷で争うこともなかった。彼らも分かっていたのである。本人自身が一番自分を知っているのだ。




2021年7月9日金曜日

常勤講師の先生方へのお願い・・・第2弾

本校も本格的に教員採用の時期が来つつある。学校にとって教員採用ほど重要な事は無く、とにかく素晴らしい人材を確保したい一念に尽きる。誰を採用するか両校長先生の意見を聞きながら最後は私が決める、これが私の抱える仕事の中で最も重要で、神経を使うものだ。後で「失敗した」では取り返しがつかない。本校は浪速高校がメインだが併設の浪速中学校もある。生徒数は高校が約2100人強、中学が400人弱で総勢2500人、クラス数で62クラスを数える大規模校と言えるが、教員数で比較すれば、中学に比べ圧倒的に高校の先生の数は多い。これ以外には保有する学校は無いから採用した教員は中学、高校とローテーションを組むことになる。「行ったり来たり」だ。何か中学に行かされると、見た目、落ち込む先生がいるように見えるがそれは間違っている。教員として難しいのは圧倒的に中学校で、高校は言ってみれば生徒は幾分成長して大人になっており、又教員には「伝家の宝刀」がある。それは成績や素行で問題があれば「原級留置」といって留年を言い渡すことが出来るからだ。中学校は義務教育だからそれは出来ない。とにかく中学には教師としての必要な素養や資質の全てがあると私は確信している。だから中学校には相当優秀な先生を当てている積りだ。

 



今の高校教員も何時かは中学に回され、中学校教員も何時かは高校に回される。従って本校の教員に必要なことはまず「幅広いリテラシーと学力」である。これがあるから社会から「先生、先生・・」と言って貰え、リスペクトされるのである。本校の如き多様な学校では生徒の偏差値も40から70程度まで幅広い。ポイントはここである。偏差値輪切りの明確な公立高校ではローテーションによって偏差値40以下の学校から70を超える学校に転勤する可能性がある。人事で「ハイ、4月から○○高校に転勤です」と言われたときにその学校の偏差値が80程度だったら普通の教員だったら「ビビる」と思う。本校とて同じことである。 

教員に求められる資質は偏差値だけではないことは十分に分かっている。最後の決め手は「人柄」である。お人柄とは裏表のない、誠実で努力家、それでいて社会性や常識を知り、礼節ある言動が「総合的に滲んでくる」ことを言う。それでも学校に勤務する教師たる者、教科指導である。これに加えて本校の如く殆どの生徒が大学進学をする進学校では進路指導の知識も必要だ。人柄が良く、クラブ活動の指導に突出して優れていても、これだけでは専任キップをお渡しする気はない。言いたいことは「勉強して」「もっと勉強してください」である。特に「専門教科の偏差値が70」はないと、将来、地獄を見る可能性がある。教える側が教わる側より教科知識が乏しいというのがどれほどまずいことかはわかりますよね?もう一度言います。今から腹を据えて勉強して欲しい。教師を志した人だから出来る筈です。


どうも卒業した高校や大学の偏差値レベル、私立大卒、国公立大卒、中高一貫校から無試験で系列の大学に進学した経歴のある先生などを凝視すると違いが見えてくる。教科指導を高める努力なく、本校にたまたま就職出来、楽しく毎日を過ごすだけでは見掛けだけの専門職である。「教師と言う超専門職」にあり、教科指導を司る人間が、普通科の若干16歳の生徒より学がないということが問題になるんですよ。その怠慢を、その責任を、授業研究ができない校内体制のせいにされても困るから私は全てが揃っている教室を作り上げてきた。新採用の常勤講師の感想文に共通しているには教育環境の素晴らしさと中でも「ICT教育の完備」だった。しかし施設設備だけでは立派な教師は育たない。ご本人の学びである。常勤の先生方に申し上げたい。雇用継続の3か年以内に少なくも専門教科の偏差値を70以上に上げて頂きたい。もう一度言いますが、君たちは教える側の人間として配属されます。生徒の事をよくよく考えて、今から教師として自分の専門の腕を磨いてください。お願いします。

 

着任後2ヵ月を経過しての所感            国語科 ○○ ○○ 

 浪速高等学校に採用していただき、赴任してから約2か月が経過しました。勤務するなかでどれも新鮮なことばかりです。その中でも特に印象深いことが3つあります。

まず1つ目は、ICTの環境が非常に整っていることです。全校生徒がChromebookを購入し授業並びに課題等で毎日使いこなしていることにも驚きました。それよりも学校全館にWi-Fiが完備され、教員にはパソコンとタブレットの2台が貸与され、出欠入力、連絡や書類等までもネット上でやり取りがなされていることに大変驚嘆しました。これによって紙の使用と会議の回数を減らすことにも繋がっているのだと感じました。また、今まではOfficeしか使用したことがありませんでしたので、初めてのGoogleに戸惑うこともありますが、その時には先輩方がお忙しいのにもかかわらず丁寧に教えてくださいます。ようやく自身の教科や部活動等でclassroomをはじめとして様々な機能を活用できるようになってきました。例えば、生徒の中には人前では自分の意見を発表することが苦手な生徒もいますが、Googleフォームに無記名で入力してもらうと、そのような生徒たちも自分の意見や考えを発信することができます。今後も試行錯誤を繰り返しながら、生徒たちの実になるようなICTの活用をしていきたいです。 

2つ目は、運動部、文化部問わず多くの部活動に力をいれていることです。学生にとって部活動は、学生生活の大部分を占めるものです。その活動を学校から応援・支援してもらえることは生徒たちにとっては嬉しいことであり、活動の励みになると思います。校内のグラウンド、武道館をはじめ、4月に見学したふくろうベースボールスタジアムや高天原スポーツキャンパスといった、各競技に合わせて十分に練習できる環境が整っています。また文化部に関しても、神社ならではの雅楽部、神楽部があるうえ、華道部、茶道部、放送部、津軽三味線部など未経験者でも新たに始めやすい部活動が多数用意されていいます。浪速高校で部活動に打ち込んでいる生徒たちは非常に恵まれているなと感じます。 

3つ目は、学校の中に書作品がたくさんあることです。大阪天満宮名誉宮司、寺井種伯先生の書、赤堀先生がお書きになった「大祓詞」や御柱ピロティの上には隷書で書かれた「古事記」があります。さらに武道館の玄関のところには木村理事長がお書きになった迫力ある「武」という文字があります。大学4年間書道を専門に学び、今でも勉強中である私にとっては毎日観ることができ、嬉しい限りです。

 他にも素晴らしい点は様々ありますが、特にこの3つのことに関して身に染みて感じました。このような恵まれた環境で働かせていただいておりますので、今後より一層、設備を活かしながら私自身の教科指導、生徒指導の技術を高めることに努めて参ります。

 

 

2021年7月7日水曜日

常勤講師の先生方、教師の本分、本質を見失うな!

4月1日に着任された新常勤教職員の先生方が頑張ってくれている。嬉しい限りである。丁度2か月経ったので例年の如く「2か月の感想文的」なものを1000字程度でまとめて提出頂いた。総計24名の先生方であるが全ての先生が「本校に満足」してくれているのが何よりである。特に大学や大学院を卒業・終了した「新卒」の先生には我々も気を遣う。それは社会に初めて出た訳で我々には「雇用した責任」があると考えるからだ。学生時代と違って社会は「そう甘いものではない。さりとて、そう厳しいだけでもない」。特に学校の先生には社会から特別の期待感があるだけに、逆にやりがいもある筈だ。そんじょそこらの会社勤務であるサラーリーマンではない。それをプレッシャーと感じずに自らを鼓舞する応援歌だと思えば良い。その為には「謙虚さと学び」だ。これに尽きる。

 



本日は一人の男性新人教諭、歳は22歳、有名私大を卒業したピカピカの社会科の新卒先生である。

「着任二か月レポート」 高校第三学年所属 社会科 〇〇〇

  二か月浪速高校で働かせていただいて、感銘を受けたことが二点あります。まず、一点目が教育環境の充実度です。私が教育実習に行かせていただいた学校でも電子黒板はあり、ICTを用いた授業をさせてもらいました。しかし、動画を視聴させるとなると接続が切れてしまう、生徒にパソコンを貸与していないので情報の共有ができずに終わってしまっていました。本学ではネット回線が切れることもなく動画を視聴させることも、chromeを用いて情報共有をすることもできています。また、授業中に視聴した動画をクラスルームに添付することで自宅学習の幅も広がるというプラスαのICT環境が整っていることに感銘を受けています。 

 このようなICTを最大限に活かした授業をさせていただき、理事長先生がおっしゃっていた板書し、生徒に聞かせるだけのチョークアンドトークは古いと実感しています。ICTを用いた授業をすることにより、授業の効率化を図ることができ、時間短縮をすることができています。その短縮した時間で鮮明な史料を提示し、そこから何が考えられるのかといった思考力を育てる時間を多く取ることができています。授業内で考える癖をつけていくことにより、生徒たちが社会に出た際に、新しいことを考え活躍していくことができると感じています。このような時間がとれているのも教育環境が整っているからです。生徒の将来育成のために整っている本学の教育環境は素晴らしいものであると二か月働かせていただいて実感しています。 

 二点目が、理事長先生についてです。私が通っていた学校では、理事長先生が生徒の前に立つということはありませんでした。しかし、本学では月に一回は確実に理事長先生が講和をしてくださり、生徒の前に立ってくださっています。また、直接生徒の前に立つだけでなく、理事長アラウンドで逐一何をしたのか、何をしていかなければならないのかを報告してくださっています。このことにより、生徒だけでなく保護者、私たち教員も安心して毎日を過ごすことができていると感じています。理事長先生が生徒・保護者・教員が安心して過ごすことができる環境をつくってくださっていることに感銘を受けています。働き方改革にも力を注ぎ、決して理事長先生だけで決めるのではなく、教員の言葉を聞き、参考にして改革を行っていただいていることにとても感謝しています。

 まだ着任して二か月しかたっていませんが、この学校は他の学校が真似をしていくべき部分が多くあると感じています。



 この若い常勤講師は素直であり謙虚であると感じられるところが良い。だから自分の経験や他との比較が出来る。比較が出来ることは凄いことなのである。その違いを次なるエネルギーに変えているところが素晴らしい。匂い立つような若々しさが感じられるではないか。今後とも素直に伸びて欲しい。そして毎日こつこつと教科指導の勉強をして欲しい。最後に全ての常勤講師の先生に告げたい。人柄は良い、分掌もしっかり、クラブも立派にやってくれている、しかし基礎学力が無いでは立派な教師とは言えない。教科指導こそ教師の本分である。少なくとも大学入学共通テストで言えばほぼ満点近くを取って欲しい。全国の高校生約50万人の平均点が60点と言うのに同じ問題を解いて貰ったら50点も行かないようでは本校では永久的机と椅子はご用意は出来ない。当たり前であろう。大学入試問題で先生が生徒よりも点が取れないようでは「笑い話」にもならない。

2021年7月5日月曜日

夏季賞与・一時金支給

7月2日の簡略版PTA総会は2か月遅れで実行され、必要な事はすべて決めて、一応形は整った。例年との格差を大きく感じるが、仕方がない。本当にコロナが恨めしい。大きな体育館に数百人の保護者が集まり、皆で昨年度の会計と今年度の予算が決定され、退任する役員の皆様に感謝状が手渡され、新役員が紹介され満場一致で決議される。愉しみは夕刻で学校側の幹部とPTA実行委員会の全員が勢ぞろいしてミナミに乗り込み、会食である。ご婦人たちは着飾り、華やかな雰囲気で会は盛り上がり、例年締めはPTA会長のカラオケと「とり」は私のド演歌だった。会はこれでは終わらず、私は失礼していたが有志だけで二次会だったと聞く。浪速高等学校、中学校の保護者は皆さん、中でもPTA役員の方々は立派な方ばかりで仲が良く、人間に品格があった。

 


しかしこの1年のPTA活動は完全に不完全燃焼であったと思う。浪速祭のバザーもなく、夕刻の打ち上げ会もなかった。成人教育委員会は近隣の名所旧跡などを訪ねる日帰り旅行を楽しみにされていたがそれも無かった。致し方無かったとはいえ、何かせつなく、PTAの皆様が可哀想で仕方がなかった。昨年の4月以降高校、中学の校長も変り、校長先生も張り切っていただろうが、親しく厚誼を深める機会も本当に少なくなった。それでも長年築いてきた浪速PTAの底力は大きい。この土台はこういう危機的な時にこそ力を発揮するものである。会の始まる前に会長以下幹部役員が理事長室に来て下さり、初めての顔見世となった。



子供が登校を喜ぶ学校は強い。子供が毎日喜んで登校する姿を見る保護者はますます学校の応援団になって頂ける。彼、彼女たちは学校に何かを求めるのではなくて学校に何らかのお返しと思ってくださっている。学校を媒体として個人の利益を求めるとか、PTAの間で何かおかしなことをするとかそういう事はここ15年間全く無かったと言える。とにかく「PTAは無償の奉仕」なのである。役員会に参加してくださる時間と費用を思えば私は頭が下がる。全役員の代表として退任する筆頭副会長に前に出て貰い、サプライズで「天孫降臨焼酎」を差し上げた時に私はこう言った。「ミナミには行けないが今晩はこれでも飲んで憂さを晴らしてください」と。そしたら彼女はニコッと笑って「理事長、一晩で飲みますよ!」と。私はこのお言葉を聞いて退任する実行委員会の役員の皆様の心中を推し量った。文句を言わず、要求せず、黙々と学校の為に尽くしてくださるこのような保護者のお陰で私立学校は成り立っているのだ。

 



私以下本校で働く教職員はこの事を深く、深く知らねばならないと思う。言ってみればPTA実行委員会の方々は学校法人浪速学院の経営に大きく影響する外部役員である。本日は令和3年度の夏季賞与・一時金の支給日であった。6月30日に支給された大阪府、大阪市の公務員賞与(期末・勤勉手当)は府が平均年齢40.5歳で平均支給額が834729円、市が41.1歳で784942円であったのに対し、本校は39.0歳で90万円以上である。府、市ともに昨年の冬から幾分下がっているが本校ではそういうことはない。世の中ではコロナで生活苦の方が増えているとの情報もあり、我々の現状は有難い限りであり、感謝しろとは言わないが、その分、生徒の為に、そしてPTAの方々の期待を感じながら益々頑張って欲しいと思うばかりである。