2026年11月4日水曜日

「地位や役職は人を作る(創る)」

 「地位や役職は人を作る(創る)」は良く使われている慣用句だ。「・・・人を育てる」と言う表現の方が良いと思う。有るのかも知れないがこの意味を有する日本語の格言というか諺が見つからなかった。その点、英語は上手い表現がある。"Status makes the person" だ。確かに役職は人に成長の機会を与えるが、本人の意欲や組織のサポートがなければ必ずしも育つわけではなく、上位にある人の指導や支援、学校で言えば教頭や校長のバックアップがあって初めて成り立つものだと思う。その理由は役職に就くことで、個人は責任と権限を伴う新たな課題や挑戦に直面し、これにより、自己管理能力、リーダーシップ、専門知識などのスキルが磨かれ、視点が拡がり、組織全体を俯瞰して考える力が養われる。又「見られる側に回る」ことで余計に自己を鼓舞し頑張るものだ。人は一人で成長するものではない。 

その対価として組織はその人にプラスの褒章や報酬を支払う。「普通の人、一般の人と同じ報酬で誰が役職者になるか!」私はこの学校に来て、ありとあらゆる面で、生徒に対する褒賞、激励金、祝い金、クラブ活動支援金、楽器や茶道部のお道具など支援してきた。又教職員にもありとあらゆる活動に対して特別作業手当の名目で支給し、最たるものは人事評価システムを導入し、昇給幅の拡大や賞与一時金の理事長加算など行って来た。真面目に裏表なく良い仕事を行い結果が出ればそれを明確に評価することが極めて、極めて組織管理においては重要である。私が費やす組織管理の資金は小さくないが、その帳尻は今の学校の現状を観ればお釣りがくるくらいプラスだ。 

学校の高校では自治会、中学では生徒会の役員も基本的には大人社会や会社組織の中と同じで、様々な経歴や価値観など異なる多くの複数の生徒を対象にするととにかく「気苦労」は多いものだ。それを乗り越える事で「一歩も二歩も人間的に成長する」ことは間違いない。先般、高校と中学の新旧会長以下役員が1年間の任期を終えて理事長室に挨拶に来てくれた。旧役員は「やり遂げた満足感」が顔に出ており、新役員は緊張感が滲み出た顔であった。退任する役員には見事に責任を果たしてくれた褒章としての退任お祝いの金券を校長先生から、理事長からは記念品を贈った。 


生徒だけではなくて学校の場合先生方も同じである。学校の先生はまず担任業務、そして分掌という重要な業務分担があり、経験を積み、分掌長となるとまず幹部教員に数えられ「校務運営会議のメンバー」になる。分掌長や学年主任を経験し、自分の専門分野を深めたら次は管理補佐職となり一層守備範囲が広くなる。その仕事ぶりと成果、求心力など観察の視点が広くなり、適材となれば管理職に昇進するのが一般の路線である。狭き道だ。役職者として「見られる側」になることで、周囲の期待値も自然に高まり、責任感や当事者意識が益々強化されていく。地位は人を作るとは、ある地位や役職に就くことで、その立場にふさわしい人物へと自然に成長していく「自己成長力」を意味する。 

逆に言えば任された役割が人の振る舞いや責任感を鍛えるという教訓を示しているのだが、中には「重圧に耐えられなくなり」、逃げ出したい衝動に駆られるものだ。これに耐えられないと組織管理者には成れないというか、なるべきではない。「生涯、教壇に立ち続ける」のも立派な「生き方」である。自分はラインか、スタッフか、進むべき道は自身で決めるしかない。自身を誤解し、組織管理者面をしてもその組織は徐々に衰亡して行く。「一将功成って万骨枯れる」と成りかねない。ある程度の歳になったら自分を見極める「覚悟」が要る。