2023年1月31日火曜日

入学式の無かった学年の卒業式

 今日は高校の卒業式であった。「入学式の無かった学年の卒業式」である。今、私は無事に終わった卒業式の素晴らしさに感動している。格調高く、品が有り、それでいて温かみのある良い卒業式だった。3年前のこの時期、突如として襲ってきたコロナは学校行事を壊滅的に破壊し、政府からは非常事態宣言が出るなどして休校の憂き目にもあった。しかし若者はしぶとい。「めげず」に3年間を頑張って今日と言う日を迎えた。今日の卒業式に当たってPTA会長や保護者から「せめて卒業式に何かしてやりたい」との願望が学校側に寄せられ、私は即座に受け入れた。それが今日のPTAプレゼントの後述する「サプライズ動画」である。極々一部の人間だけしか知らないこの企画は生徒に強烈なインパクトで記憶に残ったと思う。良いことをしてくれたなと私はPTAに感謝する。必ずしも安くはないお金を使って動画制作を外注し、短時間にこれだけの物を作ったPTAの力が凄い。このような学校だからこそ良い生徒が育ち、生徒が多く集まるのだ。



通常の式典が終了し、緞帳が下がり2部に移り、卒業生から「記念品の贈呈」があり、次いで「保護者代表の謝辞」が学校側にあった。その後固くお断りしたのだがどうしてもと言われ、私を含め校長以下担任まで「花束の贈呈」があり、「校長の謝辞」と続いた。普通はそこで終わりなのだが、突然緞帳が上がり、目の前に大型スクリーンが目に飛び込んで来た。舞台には式典の小道具は片付けられて何も無かった。ただスクリーンがあり、広い体育館が突然暗くなった瞬間に「映像」が始まった。まるで良く出来た映画の出だし部分を見るような感じであった。映像は単にスクリーンだけでなく正面の壁全体に広がった映像もあった。会場全体が音楽と映像で彩られ、生徒達の3年間が映しだされたのである。私でさえ初めて見る映像で感動的であった。素晴らしかった。この「プロジェクションマッピング」が終わった後司会の教頭がここで初めて経緯を話したのである。 





“コロナ禍で入学式もなく、我慢することの多かった皆さんの為にPTAの方々が是非にと希望され、それを受けて理事長が全面的に協力する形でのサプライズプレゼントが実現しました。これからの新時代を築いていく皆さんにとって明るい未来が訪れることを願ってのメッセージとなります。どうか保護者の皆様に感謝の気持ちで万雷の拍手を!”と述べると会場が「割れんばかりの拍手」で鳴り響いたのである。本当に本当に大きな拍手であり、その大きさの中に生徒達の驚きと喜びがあったように感じた。

 


今、私は今日一日を振り返っているが「多くのストーリー」があった卒業式であった。一回のアラウンドでは書けないくらい多かった。それくらい「卒業式と言うのは感動を呼ぶ」ものだ。私の時程を整理してみよう。・6:50登校 ・7:30式服に着替え ・8:30自室にて来賓応接(PTA会長他、同窓会長、神社庁顧問) ・8:50神前奉告の儀 ・9:30卒業証書授与式参列 ・12:30式典終了後木村賞受賞者との神前写真撮影 ・12:45理事長室にて硬式テニス部3人の卒業生に特別賞を授与 ・13:00職員室にて3学年団への慰労の言葉と慰労金の金一封授与 13:10学年団との記念撮影 ・13:30神社前広場にて求めに応じて記念撮影 14:00着替え 14:10昼食

 

特に木村賞の受賞者と硬式テニス部3人の特別褒章のショットは感慨深い。ストーリーがあるのだ。これは又別途書くことにしようと思う。

2023年1月30日月曜日

卒業式後、まだ高校生??

浪速高校の卒業式は明日だが、既に授業が終わっている高校3年生には登校して貰って、明日の予行準備他、諸々の連絡業務がある。本校では1月31日に卒業式を持って来ているが、大学進学の受験やその後の準備などもあって昔は3月にあった卒業式を徐々に早めて来た。最近の私立の多くの学校ではその傾向である。中には早い学校で、1月中旬、大学入学共通テストの前に済ませているところもある。しかし卒業式後も生徒は登校してきたりしており、完全に「バイバイ」ではない。要は「日程的な区切り」なのであり、柔軟に決めても良いことになっている。公立高校は3月が多く、大阪府と大阪市は3月17日だったと思う。 

「卒業式の次の日からはもう高校生じゃないの?」「バイト禁止の高校でも卒業してからはすぐ働けるの?」「映画やカラオケで学割は使えないの?」と言った身分の不安定さから以上のような疑念はあって当然だがこれは心配はない。結論から先に言うと何時卒業しようと「331日までは高校生」である。と言うのも明日の31日に卒業式があり、大学生や社会人になるまでの約2ヵ月間は身分があやふやになってしまうことを防ぐ為に児童、生徒、学生は41日から331日までを1年として、卒業しても331日までは学校に在籍している生徒という扱いをするよう法律で決められているからである。即ち「生徒証や学生証」は3月31日となっている。従って明日からの「バイクの運転は校則違反」であり、悪質なケースでは既に内定している大学側に通報しなければならない場合もある。卒業式が済んだ生徒は注意しなければならない。


 
明日卒業していく生徒数は最近では少ない年であり、617人で、令和3年が771人、昨年が878人であった。それで新たに入学してくる新高校1年生の数だが本日の16時までが出願最終締め切りであるが、実際は全て終わっている。この数値から容易に入学者数が想定できる。「2月10日の浪速高校入試に来る中学3年生は2163人」と固まった。近年では新記録の数値である。この数値を「内部進学」「専願」「併願」と区分し、過去の併願戻り率を数ケース当て嵌め、計算すれば850人から900人と簡単に弾き出せる。771人、878人、そして今年が仮に850人~900人とすればこれはもう「ウナギ上り」である。「鯉の滝登り」と言う言葉もあるが鯉よりウナギの方が旨いからこちらにしよう。このうなぎ上りの傾向はまだまだ続くと思わねばならない。だから私は常に教室数の事を心配している。 


明日の卒業式を踏まえ、今日は時間が出来たので建設中の「NS館」の現場に赴いた。着々と3月末竣功で工事が進められていた。これで新たに本校は「5教室が増強」される。平成28年の新校舎建設時は54教室を有し、その後も体育教官室に3教室分を増強した。「木村は万里の長城でも作るのか」と言われる心配もしたが、「やばい!」と考え、昨年の4月にNS館の建設を決断したのである。だから来年度以降2年間、新中学校校舎が完成するまでは何としても「NS館+」で賄っていかねならない。新中学校校舎が竣功し、今の中学校教室を高校用に改造すれば一挙に8クラス程度は楽に余裕教室が出来、何人でも受け入れられる。「大規模校からマンモス校」への道は広がる。大学系列でない中高のみの本校がマンモスとなれば凄いことだ。「大きいことは良いこと」なのである。面白くなってきた。私はこういう局面が好きだ。「血沸き、肉躍る感じ」である。


 


2023年1月28日土曜日

序説:「浪速学院教育大学院教員養成研究科」論

 実に本校は具合よく行事を当て嵌めて全体の繋がりを考えてくれている。これは学校の中味が分かっていないと出来ない。そういう意味で本校には経験豊富な「専門家たるプロフェッショナル教師」が多く存在しているということである。これらの存在と数こそが学校を具体的に動かしており、学校の武器であり強みだ。耐寒行事が終わり、高校入試の出願があり、来週は高校の卒業式が来てその後は期末試験と学校の重要行事が続く。その合間を縫って今日28日の土曜日は「令和5年度採用予定教員の授業見学会」である。現時点で採用の決まっている教員は19人であり、この人達に4月1日の着任前に「就職先」の状況を見て貰い、着任日から職業欄の名称は教員でも教師でも何でも良いが、早期に「プロの教師」となって欲しい。そのような思いから本校ではこのような企画を何年も続けている。他校では余り見かけない光景ではないか。

社会では「教員の質の低下」がかまびすしく話題に乗っており、競争倍率が低いとか教員の不祥事とか時に記事になったりするが現在のところ、本校では無縁の話である。全国で 100万人いる教師がどういう環境の中で、どのような展望を抱きながら就職先を選び、仕事に従事しているか、それを知る人はそれほど多くはない。大方の国民は、自分が関わったごくわずかな教師から、「教師についてのイメージ」を作りあげているが、それは時にして現実から隔たっていることがよくある。私は20年間教育の現場に身を置いてきてそのことが良く分かった。当初は「思い知らされた」感じから、それが「なるほど」への確信に変わり、然らば「どうする」へと変わっていった。民間企業で30年間、教育現場で20年間生きて来た身の「幸運さ」は私に「学校現場の実態が、本質が」良く見えて来たと言える。ここが見えて来ないと学校改革や教員改革などの「的」に的中は出来ない。 


世界水準に比べて日本の教師の学歴水準はどうかと言う命題であるが、正直に言うが、一般論として現在の日本は世界標準の最低レベルに近い。前述したように近年の教員の大量退職とともに、都市部では教員の大量採用が始まり、「教師の質の低下」が起こっているという警告であるが私はそれほどの切実さを感じていない。嘆きだけで学校は変らない。戦後、日本の教師がその質の高さを誇ってきたのは、次の 3つである。第一が高い教育水準、第二は高い給与と高い競争率、「第三が校内研修を基礎とする専門家文化の伝統」だった。特に私は3番目を重要視している。ところがこの 3つの特色が過去数十年の間に急速に低下し、特に劣化し始めていると警告する人は多い。今の教師はほぼ100%、大学卒ではあるが、それが途上国並みとはどういうことなのか、といぶかる国民は決して少なくないだろう。 

日本でも世界でも所謂「大卒」は当たり前の事になってきている。石を投げれば大卒に当たる、そのような高学歴社会の中にあって、日本の国民の多くが気付いていないが、多くの国で「教員の養成を大学院レベル」に引き上げてきたからである。なぜ世界では教員養成が大学院レベルに引き上げられたのか。その理由は、日本以外の国では、教師とは「誰でもできる仕事」では到底なく、むしろ「誰にでもできない仕事」であるという事実を正面から認識したからだ思う。紙面の関係から今日は「序説」として、これまでにとどめるが要は本校では常勤講師の最大3年間で「大学院並みの学びと研究、それと実地体験」をして貰いたいのである。大学の偏差値は問わず、大卒の免状と教員免許を持ってきた人は常勤講師として採用するが、それだけで先生と呼ばれても本当のプロ教師とは言えない。言い換えれば「浪速学院大学院研究科」において、単位を取得した常勤講師の先生を本校は「プロの専任教諭として採用」するのである。「本校の教育の現場こそ最高の教育大学院」だと思って「謙虚に努力する講師の先生方」に期待したいと思う。 


2023年1月26日木曜日

石上神宮の鶏から歓迎された!

 24日の一日16キロの行軍はさすがにこの年ではこたえた。二日たってもまだ足腰がこわばる。3年ぶりの耐寒行事への参加であったが前回と比べて様相は全く異なり、最後の3キロは所謂「へばって」しまった。最終地点である「石上神宮」では腰が痛くて参拝時に前かがみが出来ず苦労した。「鬼の木村も歳には勝てないか?」と誰かが囁いているような気がする。しかし創立100年目の耐寒行事に生徒と共に歩けたことを良しとしたい。石上神宮では境内に放し飼いにしている「鶏」が迎えてくれた。ニワトリは石上神宮の一番の人気者であり、現在約30羽が参道をはじめ境内の各所にいる。「長鳴鶏(ながなきどり)」の一種である。伊勢神宮の内宮にも放し飼いの鶏がいるように全国の神社と鶏の関係は深い。それは何故か? 



ニワトリはすでに「古事記」「日本書紀」に登場し、暁に時を告げる鳥として、「神聖視」され、「神様のお使い」ともされている。所謂「天岩屋戸伝説」である。日本神話が伝えているストーリーは太陽神である「天照大御神」が弟神のスサノオ神の乱暴狼藉な振る舞いに心を痛めて天の岩戸に引きこもってしまい、世の中は真っ暗になってしまった。その結果、闇夜に乗じて悪神がうごめき世界は災いに満たされてしまったため、「八百万の神々」が集まり、一計を巡らせた。天の岩戸の前で暁をつげる「長鳴鳥」を鳴かせ祝詞を唱えたと言う。そして岩戸の前で芸能の女神である「天宇受賣命(あまのうずめのみこと)」が踊り狂い、その姿を見た神々が笑い転げ、その笑い声を聞いた天照大御神が何事かと天の岩戸を開いたすきに「手力男神(てじからおのかみ)」が天照大御神の手を取って外に引き出し、世界は再び明るくなったというものである。この有名な神話の中に出てくる朝を告げる鳥が長鳴鳥で鶏であると考えられている。このストーリーを私は新校舎建設時に「天岩戸伝説の壁画」を作って貰った。本校自慢の作品であり宝物である。 


今朝の新聞各紙は2023年度府内私立高校進路希望調査の第二回目の結果を公立中学校長会の名で発表したニュースを記事にしている。16日付けだから今後動いていくが、大筋の傾向が分かる。「何と、何と浪速高校は応募総数で言えば94校中トップの位置」であった。記事では1978人であるが我々の把握している今朝段階の数字は2048人である。凄いことになったものだ。報告に来てくれた入試広報部長は「ダントツの1位です」と少し声を震わせていたが、永い歴史でこの段階でトップは初めての経験である。最も他府県の数値が加わる学校も多いから最終的な浪高(なみこう)の位置は分からないが相当な上位になるかも知れないし、落ち着くところに落ち着くのかも知れない。 

勿論数の多さが良い学校の証明とはならないことを十分承知しているが、人気が無ければ応募者が増えることにはならないのだから、まずは素直に喜びたいと思う。4月5日の入学式には中学で150人前後、高校で850人前後、総合計で1000人を超えるフレッシュな新1年生を迎えることが出来るかも知れない。創立100年を奉祝して日本最古の大神神社をスタートして古墳群を踏破し「山之辺の道」終点の石上神宮まで踏破した生徒達へ、「神様」から多くの入学者を賜ったと考えればこれは間違いなく「お神慮」であり、「ご神恩」に感謝する。私は素直に感謝する心を持つことは大切だと何時も生徒に話している。



2023年1月25日水曜日

歩きながら考える!「どうする、後輩たち」

 毎日、毎日の授業を持つ教員と違って学校という職場は「管理職」になると生徒との直接的な触れ合いは激減する。逆に学校の管理職は直接的に向き合う相手が生徒から教員になると言っても過言ではない。私みたいな理事長や学院長などの職責にある者は生徒との触れ合いは月度一回の「学院長講話」でしかない。それもマイクを通して語るだけだ。だから私は校長兼務の時代も今も修学旅行や耐寒行事など集団行事には「生徒に混じって動く」ことを大切にしてきた。この重要さや楽しみを深く知っているからだ。昨日3年ぶりに高校の「耐寒行事」に参加した。日本最古の古道と言われている「山之辺の道」を1600人余りの高校1.2年生の生徒と古墳群の中を巡りながら共に歩いた。「桜井の大神神社から天理の石上神宮まで約16キロ」を寒さの中で完全踏破したのである。



コロナの為に3年ぶりの行事復活であった。正直言ってしんどかった。寄り添ってくれた秘書役の事務室Kさんのサポートで最後の3キロが歩けたようなものだった。ゴルフで言えば3ラウンド分ほど連続して歩いた感じだが特に腰と太もも回りの筋肉量の低下なのか、「腰に来た感じ」であった。3年前は平気であったが加齢をつくづくと感じた。が、一晩寝ると今朝は元の状態に戻っている。人間、足腰の筋肉量と睡眠ほど大切なことはないことを今更ながら思い知った。生徒は可愛い。男子生徒も女子生徒も私に声をかけてくれ、スマホでのショットを求められたりして、非定常な一日を案外と歩くには格好の天気の中で楽しく過ごした一日であった。 



傍らにいる生徒の顔を見ながら、そして歩きながら私は頭の片隅で考える。とにかく「考える」ことが好きである。「令和5年4月30日で創立100周年」を迎えることが出来る。問題はその先であり、最近管理職や、今月23日の校務運営委員会でも幹部教員に熱く私は語っている。「学校の体質改善」であり、「ベクトルの微妙な修正」かも知れない。今適切な言葉が見つからないが、要は次の「浪速中高のあるべき姿」を考えている。そして描いて具体的に動くことだ。「匍匐前進」が良い。姿勢を低くして、「徐々に徐々に前に前に」進むのである。体質などは急激に又変わった方向に変えることなど学校と言う組織では「愚の骨頂」である。副作用や反動が大きい。慎重に、慎重に今の浪速学院の体質と筋肉量をベースとして次の浪速学院の形を「漢方薬を使った東洋治療的」にふつふつと変えて行かねばならない。 




岸田総理は今期通常国会で最大の政策目玉を「少子化対策」に挙げた。当然である。少子化の進展は想定よりも7年も早く進んでおり2021年の出生は77万人程度という。大阪府は今までの高校の統廃合17校の実績に加えて更に9校を積み増しすると発表した。社会は今眼前に迫った少子化時代にようやく目を直接的に向けて来た。本校も少子化時代を見据えた対応をしていかねばならない。私は23日の校務委員会でI教務部長に15年後に何歳になるのかと聞いた。答えは59歳であった。私は恐らく生涯を終えているが、彼はまだまだ現役のバリバリである。昨年の生まれた大阪の子どもが高校進学になる15年後に「浪速中高」に入学してくる生徒の数は一体どのようなレベルで数値だろうか。少なくともを今年の中学4クラス・150人前後、高校の20クラス850人前後など期待するのは甘い。然らばNHK大河ドラマ「どうする家康」ではないが「どうする後輩たち!」と思うのである。




2023年1月23日月曜日

ターム留学へ 女生徒6人を肘タッチで送り出す

 朝一番に石川県の太鼓メーカーの浅野太鼓の社長さんが見えられ、当方からの要望を汲んだ新しい「太鼓台の図面」を持参してくれた。100周年記念として「3尺大太鼓」を発注したのだが当初案の置台が気に入らなくて私は差し戻した。太鼓台は単に太鼓の置台ではなくて太鼓を支える重要な「一作品」として、形状や意匠性などがポイントだと私は考えている。今回、側面に「上り龍、下り龍」の彫刻を井波彫刻の大家に彫って頂く案が出て来た。ただ立派な彫刻が彫られる土台の形状が「華奢」に身えるのでもっと広く、太くするように指示した。太鼓が3尺と言う大太鼓だから見る人に不安定感を与えるような置台では駄目だ。 


記念式典の4月30日、この大太鼓は生徒の手によって「除幕」され「一番太鼓」として鳴り響き、この「鼓報」によって奉祝祭の神前奉告が始まるべきと常務理事に話した。浅野の社長は「置台に彫刻するなんて後にも先にも・・・」云々と言っていたが、前例などどうでも良い。未来永劫100周年の記念品として、立派なものを作りたいと思う。こだわりの私は既存の太鼓の所に行って脚の位置などを確認した。追加の費用は掛かるが、まず「良い物」を作る事が先決だ。買い物をして「後で後悔」だけはしたくない。費用はこれからも頑張れば何とでもなる。 

「ターム留学」という言葉がある。高校教育に携わる人々にとっては常識的な言葉である。変動幅はあるが、約3カ月から6カ月間を目安に、海外の高校に留学することである。 目的は留学生活を体験することで、単位を取ったり成績が出たりするアカデミック留学(1年以上)と異なり、 日本の高校を休学せずに留学修了証を持ち帰ることで、進級にも影響がない場合が多い。要は単位交換が可能なシステムであり、これをターム留学と言う。「日本の高校を卒業する予定だけど、高校生のうちに海外の高校で勉強をしたい」、「英語を話せるようになって、将来に役立てたい」と考えている生徒に勧めるメニューが潤沢に揃ってきており、その機会を伺っていたが、本校の歴史で初めてとなるターム留学の生徒が遂に出現した。 


それも一挙に6人だから凄いことになったと思う。国際コースに在籍する生徒たちで、カナダのブリティッシュコロンビア州の高校に、1月27日、28日に関西空港から旅立つ。帰国は6月28日となる見込みで約5か月間の長丁場だ。6人全員が全て女生徒であり、この根性と保護者の支援が素晴らしい。費用も低くて250万円程度はかかるだろうにと思う。エージェントは経験豊富な2社を介しており、ホームステイ先も立派なご家庭で安心しているが、3月頃に担当のT先生を様子見に出張させたいと思う。日常は「ネット」で繋ぎ、生徒の状況を常に把握していくが、やはり現地の実態を教員が自分の目で観察する機会を設けるようにするのが私の仕事だと思う。 

出発前に全員を学院長の部屋に招いて激励会を実施した。生徒達は期待に胸を膨らませているのは直ぐに分かったが、お国柄、フード、習慣等々全てが異なるので「自分の命と財産は自分で守るよう」に話した。この当たり前の事が日本ではともすれば他人事みたいな感じで捉えられるが海外では「自分を護る気構え」を持つことは世界の常識であり、今日はしつこくこの点を話した。私は「ふくろう奨学金基金」から激励金を手渡し、ホームステイ先のご家庭に「学校からのお土産」として学院神社が刺繍されているテーブルセンタークロスを既に手渡している。最後に「肘タッチ」で部屋から生徒を送り出した。 多くの成果を持ち帰って欲しいと思う。