2023年8月31日木曜日

4年制私立大学の半数が定員割れ

 今日は8月31日、例年の事だが8月と9月では受ける感覚が違って、「夏も終わり、さあ、秋か」となるのだがどうも空気感が違うような感じだ。ある人が言った言葉だが「地球温暖化」などではなくて「地球灼熱化」と最近は言うそうだ。加齢と共に暑さに弱くなっている自分を自覚する。勝手なもので「自分は暑さには強く、寒さは苦手」と思ってきたがどうも逆転したようだ。寒さの方が体調は良い。月末と言う事で新中学校棟の建設現場を視察した。タワークレーンが遂に立った。再来年の2月2日の解体までこの現場のシンボルになる。私は仰ぎ見、柱の中を覗いて企業の現場時代を思い出し幸せな気持ちになった。地上高さ32メートルで、6階建ての建物に荷を運ぶ大活躍する重機だ。 




毎朝、新聞をなめるように読むが今朝は4年制私立大学の半数が定員割れとの記事が各紙に報道されている。全国の600私学の53.3%が定員を切っているのだが、一方では更に3大学の設置申請が文部科学省に出されたとの記事もある。私に言わせれば定員が割れようと割れまいと生徒、学生が来る限り「私立高校や私立大学は潰れない」のである。言葉は不適切かも知れないが「教育産業」は「キャッシュ商売で補助金が下りる事業」だから、生徒が来る限り持ちこたえられる。大阪の私立高校を見よ!公立はドンドン潰しているのに私立は96校そのまま残っているのが現状だ。教育と言う営為は製造業みたいに原材料は要らず、先生で持っている「労働集約型産業」なのである。生徒学生が減少すれば先生の数や教室を減らせば済むだけの話だ。学校の経費の70%以上は「人件費」であり人件費やエネルギー代などを削減することでしのげるのである。 


このような構図は「勝ち組と負け組」に分かれる。即ち生徒・学生の多く集まる学校と定員割れに陥っている学校である。先の私立大学の記事では53%が定員割れしているというがそのほとんどは小規模校で大きな学校はますます大きくなっているのが実情である。定員3000人以上の大学の定員充足率は103.66%で「悠々自適」に経営が出来ている。企業や銀行でも全く同じで「大きなところはより大きく」なっている。私は教職員と共に何とか浪速高校を勝ち組にと思って頑張ってきた。日本の私立大学の双璧を言われている先の甲子園の優勝校である慶応義塾高校などは慶応幼稚舎から慶応義塾大学まで全く定員割れなど心配することは無く、未来永劫潰れる学校ではない。 

その慶応高校だが今朝の新聞の週刊新潮の広告に以下のような見出しがあった。「鼻につく、内輪ノリ、群がる習性」とかなんとかあったがこれには笑ってしまった。慶応OBで作る強烈な組織力を誇る「三田会」という同窓組織が顔をしかめるのではないか。これは間違いなく「やっかみ」である。何と言われようと福澤諭吉先生が開学し、明治維新後、日本の私学教育を今日までリードして来た慶応と早稲田は立派な教育機関であることは間違いない。長髪でかっこ良い都会型の慶応ボーイが107年振りに成し遂げた甲子園優勝を寿ぎたいと思う。本校も開校100年だが何とか数年以内に甲子園優勝を目指したいと思う。その為にはまず甲子園に出なければならない。それが難しい。



2023年8月29日火曜日

仲間へ残す木村の「井戸茶碗」

 昭和24年に「私立学校法」が制定されて私立学校の特質が考慮された制度が我国でスタートした。その後、この法律は56年振りに平成16年に「大改正」されて今日に至っている。その法律が今次、又改正されようとしている。発火点は某大学の財政上の不祥事で、これは社会を揺るがす大きな社会問題となった。その改正骨子が明らかになってきており年度内には具体的に成文化され、全国の私立学校では「寄附行為の変更」などが進められると思う。私は時々この私立学校法を取り出しては読み、法改正の意味するところは良く分かる。いずれにしても理事と評議員の機能の峻別と適切な法令順守がより厳しく問われることになる。 


元来、8月には今日か明日の月末には理事会・評議員会が開催されていた筈だったが招集権限を持つ理事長として4年前から8月会議はスキップした。法人役員がわざわざご来校して審議頂く項目が無いからである。それ位本学院は順調に日々を過ごしている。さりながら前回の5月理事会から既に3か月経過し、次は12月であり、この時点で、この間に発生している項目について理事、評議員の皆様にご報告するのが良いと判断した。常務理事のマターとして資料作りを指示し、今日明日にも発送する手筈である。この時に4月30日の「開校100周年の記録映画」がDVDで完成したので同封することにした。私の考えは学校管理の業務を執行している内部理事(本校では現在4名)は外部理事(7名)に適切に情報提供することは極めて大切だとの考えである。

今朝は拡大管理職会議を以って直近の校内外の動きや情報などをテーマにミーティングを持った。この席で「来年度からの高校、中学の入学金と授業料について最終的に決定」した。この拡大管理職会議こそが本校の業務執行の最高意思決定機関であり、これを12月の理事会には報告して最終承認する手順である。この会議は極めて重要であり「唯一代表権を有する学校設置者たる理事長が何を考え、管理職に対して何を指示したのか」が組織を動かす要諦であるからだ。私は多くの事を述べ指示した。「来年度入学者数の期待と制限」「同窓会組織の改編」「税務対応の在り方と受け皿」等々である。又教職員の働き方改革について「公益法人としての学校と学校を支援する別組織の検討」など、極めて大きなテーマを出して検討を具体化するように指示した。これらは次の12月理事会の大きな議題として上程することになる。 



会議の冒頭、この1年半、休みを返上して挑戦してきた「焼き物」である茶碗作りについて居並ぶ管理職にようやく人様に見て頂けると感じた試作品を示して「井戸茶碗」について解説した。字数の関係で多くは書けないが、お茶人垂涎の井戸茶椀は安土桃山時代に多くの戦国大名に愛され、お茶碗では唯一の国宝である「喜左衛門」や秀吉が愛玩した重文の「筒井筒」始め、「有楽」「細川」「越後」「柴田」「坂本」等々名品が忽然と世に現れ、多くの戦国大名に使われた「大名物」の高麗茶碗である。今に現存するのは古作として150個程度で、新作は全く現れていない。多くの謎に包まれ、作るのも多くの約束事があって超難しい!私は国宝「喜左衛門」の魅力に取りつかれており、この作品の「習い」というか「倣い」を今まで何十個となく作陶し、失敗の連続であった。今後も挑戦し、良い仕上がりの物だけを、この時代を共に戦ってきた仲間に「木村との仕事の証」として、拙作ではあるが木箱に入れ、銘を箱書きして差し上げたいと思っている。果たしてこの夢が実現する日がくるだろうか?私はこういう流れが大好きだ。我ながらつくづくと思う。




2023年8月26日土曜日

特別企画:二十歳の集い、「浪速に戻る」

 本日はコロナの為に中断していた本校の特別企画「二十歳の集い、浪速に戻る」を4年ぶりに実施した。今は16時25分だがまだ続いている。文言に今回から“浪速に戻る”を付け加えた。成人になった事を祝い、このタイミングを狙って「浪速高校(母校)に顔を見せに戻って来いよ!」という温かい(?)企画である。背景には「絆の維持と強化」がある。確かに同窓会は有難い組織であるが昔の男子校の時代に卒業したOB達も高齢化し、同窓会活動は弱体化してきている。私には強い危機感があって、今後、どうするか長い間、考えていたが、開校100周年を迎えた今年を起点に新たな組織を立ち上げることを同窓会と協議して方向を決めた。老人が跋扈する感じの同窓会ではなくて、要は新しい感覚で若者が主体になった「校友会的な組織」に衣替えするのであり、既に「法人化」の準備にも入っている。 




組織の名前も新しくすれば良い。私は中期的に「浪速校友会館」の建設も頭にあり、既にその土地も取得している。少子化が進展していく中でますます「絆の強さ」が求められる時代になった。名画ゴッドファーザーではないが、「一大浪速ファミリー」を構築するのである。世代順の会費制にするのも考えにある。ありとあらゆる教育施設を有し、全てが新校舎に代わり、生徒数も総勢2900人となった。超マンモス校になったことを「誇り」、社会で有益な仕事を通じ社会貢献して欲しいと思う。その為の「情報交換場所、相談場所、駆け込み場所、憩いの場所、語らいの場所」等々で、何でもよいから母校である浪速高校を活用して欲しいのである。この人たちが浪速の力強い応援団になる。 



遂に全国初の私立高校授業料完全無償化が決まった。昨日の大阪府の戦略会議で吉村知事は正式に表明し、9月議会に上程されるが大阪維新の会が過半数を占める議会だから基本的に大きな問題は無い。全学年が揃う令和8年度の財源は380億円に上り、維新は先の選挙公約だとしても良くぞ踏み切ったと思う。暫く国政レベルでもこの高校無償化施策は維新の会の目玉施策として全国にPRするのだろう。この間私学側と色々とあったが、この施策は府民に「私立学校に目を向ける大きな流れ」を生み出すと思う。私は大いに歓迎したい。経済的事情で私学選択が狭まれていた理由は解除され高校のみならず私立中学へも徐々に受験生は顔を向けてくれるだろう。丁度今の中学1年生が高校に進学する時に全ての学年が無償化の対象になるから後2年後が大きな分水嶺になると思うが既にその兆候は出てきている。 先の私学展の状況、雰囲気で十分に説明できる。

私は浪速高校の授業料は現状維持に留め、浪速中学校は新校舎を建設中でもあり、幾分は上げさせて頂く。これで府内の私立高校96校は全員がこの制度に参加し、後は兵庫県や奈良県など近隣の私立高校の動きだが、英語で言えば「ノット アワー ビジネス」で我々には全く関与出来ない話だから、私は「本校に来てくれる生徒の事だけを考えて」今後の方針を決めて行くしかない。仮に奈良県から大阪の本校で是非学びたいと言う、特色や特長を有する生徒については、全額学校負担で授業料免除にする可能性も出て来るかも知れない。特に今回大阪府が打ち出した施策の財源補填の為の「ふるさと納税的」なものについては特段目新しものではなく、私の考えは寄付するなら大阪府にするのではなくて「直接学校に寄付するというシステム」を作り、学校は税金控除や記念品などを「ふるさと納税ならぬ母校納税(寄付金)」として制度を用意する積りである。面白いことになってきた。まだまだ私の仕事は多い。

2023年8月25日金曜日

大林素子さんのいじめ事案を参考に

 





昨日の高校始業式に続いて今日は中学校の2学期始業式でした。コロナも落ち着いてきており、高校に比べ、生徒数が少ないので熱中症対策をとり、生徒全員での参拝となりました。神前奉告の後、理事長・学院長先生は回廊に中学生を集め、学院長講話をされました。中学生ゆえに簡潔に語られました。2学期は1年を通じて最も良い季節であり、勉強や部活動に頑張って欲しいと話されました。そして皆、「仲良く、明るく、元気に」、特に今朝の読売新聞から元バレーボールのオリンピック選手である大林素子さんのいじめ事案を参考に「いじめなどは決してあってはなりません!」と繰り返して話されました。これは何時もですが、中学生に対する先生のお話しぶりは高校生向けと違って優しく慈愛を感じさせるものでした。(K

2023年8月24日木曜日

2学期始業式 「稽古照今」

 今日は浪速高校の2学期の始業式の日であった。中学は明日だ。まず始業式に先立ち、「神前奉告の儀」を行い、私は水難事故や交通事故など無く生徒全員が顔を揃えた2学期の始業式になったことを学院神社の大神様に感謝し、2学期の平穏無事と学業成就を祈願した。もう何回となく実施して来たことであるが何時も始業式と終業式には格別の感がある。神前奉告の後の学院長講話では歯切れとパンチを効かせて生徒に多くの事を語った。聞く側に分かって貰う為には喋る側の「気概」が重要である。気概とは気骨であり、ハリであり、心意気だ。トップとしてこれだけは誰にも負けないようにと頑張っている。 



まず夏休み期間中の部活動の活躍に称賛の声を出し、勉強合宿など行った生徒へ努力を多とする旨を述べた。特に高校3年生に対しては大学受験にはこの2学期の努力が大きな効果を生むと強調し激励した。その後多くの言葉を割いたのは9月17日の「浪速祭」について自治会からテーマとして出された「稽古照今」という古事記の言葉を私なりに解説し、過去、古、歴史、失敗に学び新しいことに立ち向かっていくと言う意味だと話した。しかしこのような言葉を高校生が見つけて来ると言うことに神社神道の学校としてこれ以上は無い嬉しさを感じている。今年の浪速祭は保護者も招き入れ、4年ぶりに模擬店なども出し、盛大に「お祭り」を盛り上げて行きたいと思う。 



最後には今日からアメリカのミネアポリスから女子留学生が国際コースに加わったことも知らせ、本年度は海外の大学に7人の君たちの先輩が進学する旨の話をし、浪速高校も国際化への道を大きく進んでいることに言及した。自分が今抱えている課題や問題は他人や社会の責任にしても解決はせず、「自分の環境を変えるのは自分自身の志と努力」だと強調した。君たちの将来は広く可能性は無限大であり目標に向かって稽古照今、温故知新、努力、忍耐を忘れてはならないと話した。現在浪速高校は府内で「今最もホットな高校」として広く喧伝されており、そのような人気校になったのも今本校で学んでいる君たちがもたらしたものであるとの言葉を添えて学院長講話を終えたのである。「どうか2学期も良い学期でありますように!」


2023年8月23日水曜日

理事長の意地、来年度入試の問題作成と試答に対して

 始業式の前なのに学校の教職員は17日から業務を再開している。「まだ休めば良いのに!?」と言う言葉は聞いたことは無いが、私立は始業式が始まるこの時期が、最も大切な時間であるとも言える。それは「来年度入試の問題作成と試答」を限られた教員で隔離された部屋で行って貰っているからである。生徒も学校には居らず、静かな環境の中で最終的に年の明けた2月に受験生が目の前に広げた問題用紙の中で国語・英語・数学・理科・社会の5科目全てで「トラブルのない完全無欠の入試問題」を作って貰いたい一念であるからだ。この為に私は相当な手当てを支給し、作成、試答、修正等の手順を複層化し、デジタル採点など導入してきているが、正直言って最後の最後、「パーフェクト」という形にはならず、極めて小さなミスというか抜け」が本番試験まで見抜けなかったということが致命的なものではないにしても皆無になったとは言えない。入試問題だけに、これだけはなくさないと駄目だ。 やれば出来る筈である。


明日から始業式が始まるこのタイミングで急遽、私は秘密の部屋に関係している全教員を集めて最後の指導を行った。短くパンチある言い方にしたが、人間の悲しさで完全に出来るとは言えない面があると言い訳にはしたくない。学校における教員の最大の腕の見せ所は「問作」と言って問題作成を「如何に見事な問題を作るか」である。まだ若い新卒の先生などが簡単に出来る仕事ではない。入試問題は公立中学校、塾の先生方など外部の方々にも情報開示するし、どのような問題かはその学校の力を示すと言っても過言ではない。本校の「選りすぐりの教員」が教務部長の指揮下の下、良い入試問題の作成にあたり、作成した教員とは別の教員が試しに解答して問題の質やミスなどをチェックしていく作業を行ってもミスが出るのは一体何故か?それも「しょうもないミス」であり、私は意地になってボーンミス撲滅の為に頑張っている。 



それにしても21日のご来客との懇談は極めて良い雰囲気で大変に良かったし楽しかった。久し振りの重要来客であり、私以外に常務理事、高校校長、中学校長の校内理事が打ち揃ってお迎えした。本校にとっては最高レベルの応接であった。お客様は「南海電気鉄道の会長兼CEO」の肩書をお持ちの遠北(あちきた)光彦氏である。素晴らしいお方であった。CEOとは最高経営執行者という職位で日本でも最近は一般化してきている。先の開校100周年には多額のご寄付を賜り、本校理事会には常務執行役員、鉄道営業本部長のK氏を理事として派遣して下さっており、陰に陽に支援を頂いている「南海電鉄グループ総帥の職位」にあらせられる。


 
遠北会長は和歌山県のご出身で何とお実家は和歌山市の有名な神社であり、会長も神職の資格をお持ちだ。こういう面から本校を一度見ておきたいと思われたのではないだろうか。確かに校内見学の最後に「実はお願いがあるのですか」と断られて、学校で使われている神道の教科書を拝見させて頂きたいと言われるので、こちらは喜んで差し上げた。大変お忙しい御身分であるが2時間に亘って校内見学をして頂き、空手道部では部員への激励のお言葉も頂いた。この浪速武道館こそ学校改革の成果の最初の建築物であり、これを建設された会社こそグループの有力会社である南海辰村建設(株)さんである。この南辰さんが現在浪速中学校の新校舎を請け負って下さっている。ご縁は続くものだ。





2023年8月21日月曜日

大阪府神社庁 定期刊行物「あしかひ」(葦黴)

 「あしかひ」という雑誌がある。大阪府神社庁の年2回の定期刊行物のタイトルである。今期は123号で先の本校開校100周年特集として表紙を飾り、4頁もの長さで編集して頂き、過日30部も送付して頂いた。第一号は昭和31年の秋で、当時の庁長である大阪天満宮の寺井種長庁長が巻頭言を書いておられる。尚、種長庁長は現在本校の名誉理事長である寺井種伯氏のご尊父であらせられる。「あしかひ」は古事記にも出て来る言葉で「アシ」は「葦」、かひは「カビ」を言い表した言葉で「黴」と同源である。醗酵するもの、芽吹くものを意味し、冊子は「あしかひ」と名付け、「葦の芽」のことになる。神道にとって葦は極めて良い言葉で、葦の芽に象徴される万物の生命力を表現し、「豊葦原瑞穂国」とは日本国の美称である。神意によって稲が豊かに実り、栄える国の意であり、この中にも葦が入っているように豊かな葦原、そこに稲がたわわに実る国が日本という国である。 


本冊子の表紙には初代、2代目、そして現在の3代目の学院神社の写真が使われており、神社界の人々の今日の本校の現状に対して、大きな安堵とお喜びが私に伝わってくる。今から100年前、本校は大阪府神社界の手で創立された。100年の間には喜びも苦しみもあり、まさに苦節100年というに相応しい。しかし大阪府神社界は常に温かい手を差し伸べて下さり、我々の今がある。今になっても毎年補助金を出して下さっており、これは「ふくろう奨学金」として生徒の為に有効に使わせて頂いているところだ。私は心の底から学院神社の大神様と大阪府神社界に感謝しており、今回、このあしかひの編集部門から理事長の一文を求められ心を込めて寄稿した一文が下記のものである。



学校法人浪速学院 理事長・学院長 木村 智彦

本学院は大正12年(1923)430日に南海高野線の我孫子前駅と沢ノ町駅の中間西側の元工場の建屋を「東成郡墨江村仮校舎」と銘打って入学生204人で出発しました。本校60年史(昭和58年)の中に大阪府知事であった岸昌氏の挨拶文として次の文章が残っており、「(前略)貴校は大正12年大阪府下の神職団体である大阪国学院が浪速中学校を創設したのが始まりであります。(中略)当時大阪国学院の総裁には大阪府知事が、また院長には大阪府内務部長が就任するなど準公立的な一面を持っておりまして他の私学とは趣きを異にする独特の歴史をもつ学校であるといえましょう。(後略)」と記されていることから、本校が大阪府下の神職の方々の強い思いが込められて創設されたことが伝えられています。 

以来、戦争や台風の影響、生徒数の減少により学校存続が危ぶまれる時代もありましたが、創業の原点である「神社神道の精神」を大道として「敬神崇祖」「浄明正直」の校訓を礎とし、日本人としての歴史と伝統を重んじ、自主的、創造的人格を形成し、次世代に資する人材の育成に教職員一致協力して、常に「生徒第一」を心掛け、謙虚さを忘れることなく精進して参りました。 

このように今大阪府下の私立学校として教育という営為を行う社会の公的機関の一翼を担わせて頂き、責任を果たせていることは学院神社の大神様、八百万の神々のご加護と一重に皆様のご支援ご指導のお陰によるものと心より感謝申し上げます。



2023年8月19日土曜日

夏はカレーが旨い!

 新中学校棟の建設は順調に進んでいる。経営課題としてはこの建屋に入る事になる中学校の人数である。新校舎は完成したが入学する生徒は増えていないでは様にならない。今年度は148人の入学者と歴代新記録となったが、少子化が一段と進んでいる苦しい状況だが、来年度の中学受験はこれから秋口にかけてが本番だ。焦ることは無い、一歩づつ、確実に前に進めるように中学校長以下教員、入試広報部にも頑張って貰いたい。大切な事は今出来ることを地道にやることで「打ち出の小槌」などはない。日々の教育活動をしっかりとやり、「内外に発信」する事である。昨日時間を見つけて私は千早赤阪村の多聞尚学館でNOVAさんとタイアップして3泊4日の予定で「イングリッシュ・キャンプ」と銘打ち、頑張ってくれている英語特訓中の中学1年生の激励に出掛けた。「中一はまだ子ども、子ども」して可愛い。とにかく「中学1年生を増やす」のだ。時分時であり、昼食は生徒と共に「カレーライス」をご馳走になったが旨かった。夏はカレーに限る。カレーを食べると身体の芯からエネルギーが湧いてくる。 




学校に戻る道すがら、8月12,13日と開催された「大阪私立学校展」での面白い場面を思い出した。17日のアラウンドにも書いたがもう少し触れてみよう。主催者側である大阪中高連の公式発表では昨年と同じような数の参加者であったと言うが、私には昨年よりも多かったような感じがした。「熱気」が凄かったと言うべきか。これは今大きな騒ぎとなっている大阪府の進める私立高校授業料完全無償化制度が間違いなく影響していると感じた。この制度について、詳しくはまだご存知ない府民の方々からすれば「私立の授業料が無償なら別に公立に行かせなくても私立でいいやん!」となったと考えてもおかしくはない。確かに本校で言えば対昨年比率で大幅な伸びで、「浪速高校が良いと聞きました」「塾から勧められました」等々二日間にわたって長い列が途切れることがないほどの盛況であった。今私立高校には「フォローの風」が吹いているのである。 


開場には知己である他校の理事長先生も多くおられ、私を見つけるなり、近寄ってきて「余り多く取らないでくださいよ」などと宣われたが、別に我々が囲い込んで強制的に獲得しているわけではなく受験生と保護者が比較検討して受験先を決めている訳で当方を攻められても困惑する。中には「先生のとこ、もう教室は一杯一杯でしょう?」と人の財布の大きさを心配してくれる向きもあったが、「ご心配はご無用に」と申しあげた。この時私は近隣で競合関係に近い他校は本校の事をよくよく見て知っているのだと悟った。確かに現在本校の在籍生徒数は丸めて高校が2500人、中学が400人の合計2900人の総生徒数だから来年の教室数を心配してくれる気持ちは良く分かる。 

私のささやかな自慢は着任以来今日までプレハブの仮設校舎など一切作らず、将棋の藤井棋士とまでは行かないが先を読んで東館、中央館、体育教官棟、NS館と「駒を進める」ようにタイミングを図りながら、広い正教室を造り続け、その数は今や76教室もある。単純に40人クラスとするとこれだけで3040人は収容できる計算だ。勿論選択教室は必要であり、それを確保してもまだ余裕はある。それに現在建設中の新中学校棟が令和7年3月に竣工すれば一挙に15教室増える訳で現在の西館の中学生12教室分を新校舎に移動させ、その後西館の些か狭い中学教室を高校用に改造すれば更に教室は増える。従って新中学校棟が竣工するまでの2年間が「或る程度の制限」はあるかも知れないが、まだ先の事は分からない。この「余裕」が入試広報部に思い切った仕事をして貰える特効薬なのである。高校は「勢い」があるが、今後はとにかく「中学募集」に注力しなければならない。