2024年10月30日水曜日

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」

 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺がある。良い言葉で私は自らへの「いましめ」として時に言い聞かせている。座右の銘とまでは行かないが多く有している「人生の教訓」の一つである。広辞苑を調べてみると詠み人不詳の故事成語としてあり、転じてことわざとして扱われているが、何時の時代に詠まれたのかなどの詳細は今の所不明という。57・5の俳句調に詠まれていることから、俳句が発生した以降に詠まれたという事を推測できるかも知れない。

 「鯨鳴く 届かぬ声は 僕が聴く」。これは間違いなく俳句であるが、スケールの大きい、そして鯨という生き物を題材にしているけれども、“僕は鯨の声を僕が聴くんだ“と、この句には繊細な作者の息遣いが聞こえてくるようである。私はこの句に初めて接したときに「素晴らしい」と感嘆した。前書きが長くなったが、実はこの俳句は「第35回伊藤園お~いお茶 新俳句大賞」高校生の部で準優勝を受けた本校高校3年生の谷口君が作った句である。私の下手な解説は省くが52ヘルツしか聞けない鯨の声を聴くのだと卒業前に意地で詠んだ句らしい。私は今や大学生になっている彼を学校に呼び、お祝いと今後の大学での頑張りを期待して金一封をお渡し激励した。繊細で感性豊かな、賢そうな若者であった。ひょっとしたら将来卓越した俳人か小説家に育つのかも知れない。

 

朝、入試広報部の主管であるK教頭とS入試広報部長から先週の土曜日に行われ第1回目の高校入試説明会の詳細な報告を受けた。昨年同時期に比べ150人も多く参加いただき、「11月9日(土)に予定している第2回目」も今のところ昨年を上回るペースで参加申し込みがある。本年度の大きな特徴は8月のオープンキャンパス以来、毎回欠席率が少ないということでここに受験生の「本校への真剣度」が見て取れると思う。今回のアンケート結果では複数回答OKで①教育内容②施設設備の充実③校舎の美麗さ④クラブ活動⑤通学の利便性がダントツで並んだ。「わが意を得たり」と私は喜ぶが、同時に自分自身、教頭と部長に「実ほど頭を垂れる稲穂かな」を言い聞かせた。今を満足せず、もっともっと頑張って行こうと激励し、鼓舞したのである。 



保護者アンケートでは「学校週5日制」が評価できるが90%以上の高い数値であり、またその裏の対応として飯田校長による土曜日の有効活用「3S(Saturday  Something  Special)」の説明がインパクトがあり、アンケートには多くの言及があった。今の時代、受験生は元より保護者も部活動に大いに興味関心があり、数多くのコメントがあった。これについて私は19日に放映された「テレビ大阪の番組で本校が府内の高校では公立私立で最も多いクラブの数を誇る」と紹介されたと知らせた。またプレゼンのやり方も次回は「一工夫」するとアイデアを聞いたが素晴らしいと思った。このような提案が出てくる入試広報部長は期待しただけのことはあると思った。しかし費用は莫大にかかるが「クラブ活動を奨励し活動の場所を充実してきた学校改革」が今日の浪速を作っていると思うと私は嬉しい。間違いなく本校はクラブの数が最も多く豪華な練習場が完備されている学校である。




2024年10月26日土曜日

最初から「浪速一直線」で胸張って正門を潜る!

 「鳩首凝議」という幾分難解な言葉がある。「きゅうしゅ-ぎょうぎ」と読む。意味は人々が集まり、「額を寄せ合って」熱心に相談することで、「鳩」は集める意で「鳩首」は頭を集めることだから、人々が集まり「額を突き合わせる」の意となる。「凝議」は熱心に議論することで、「凝」はこらす、集中する意味だ。実に日本語は豊富だと思う。昨日私は校内理事である、M常務理事、I高校校長、N中学校長と額を突き合わせて来年度の人事について協議した。鳩首凝議でも良いし鳩首熟議でも良いが、私たち4人は何かあれば直ぐに私の部屋で鳩首会談を行う。本学院には12人の理事で構成されているが内4人は校内理事で言わば「業務執行役員」である。昨日のテーマは来年度の教職員人事の構想と言うか企画であり、来年度の入学者予想からくる教員の手配、中高の教員のローテーション、分掌人事、管理補佐職人事等々、現時点で分かる範囲でのデータを見ながらまず人事企画を固めるのである。 


人事の最終決定権は理事会を総理する理事長であるが、校内の4人の理事と喧々諤々、議論し共通認識にしておくことが重要である。ワンマン理事長が好きなように人事を決めているのではない。人事の仕事とは、究極は部下を育成し、目標を達成させることであり、人事とは、組織目標の達成に向け、人的資源を確保し有効活用するための業務である。ここが失敗すれば成果も出せず、その組織は崩壊してしまう。まず人事企画、次に採用、育成、評価、制度や環境の整備、労務管理がサイクルだと思うがこれが、実に難しい。それは状況は変わり、人の能力は千差万別であるし、日々進化し、場合によっては傲慢、高慢、尊大等によって初心を忘れ、人は錯覚し、劣化もする。元々のポテンシャルはあるのだから、腐らせておくのは勿体ないから仕事を時に替えるのも人事である。 



今日は遂に「第1回目の高校入試説明会」の日となった。11月9日、12月7日と続くのだが大体この3回の参加者の数で来年4月の入学者数が読めてくる。特に一回目に我々が注目しているのは人間だれでも好きな対象には「いの一番」に行くものだ。今日は何と昨年を150人を超えて10時からの説明会に参加してくれた。吹奏楽部の奏でる歓迎のシンフォニーが流れる校内で立ち止まって聞き入ってた受験生と保護者にインタビュウしたが「是非浪速に入り、パーカッション」をやりたいと目を輝かせていた。本校の説明会は各教室に分散して行い、保護者にも別の教室からオンラインで聴取して貰っている。これも完全なICT環境が整備されているからであり、広い体育館で行うより私たちのメッセージがより正確に届くと経験から知っているからである。 


トッププレゼンターの飯田高校校長は特に「3S(Saturday Something Special)」と称する土曜日の有効活用策を説明し、「土曜日は休みではないが自由度を高めて自分を磨く選択」と強調され、授業料が大阪府の施策で完全無償化になった今、自分の進路先に公立も私立の障壁は無くなり、自分にあった私立を最優先に考える「私立専願」の学校として浪速高校は伸びていると強調していた。2年後には公立の入学試験制度が大きく変わるとさえているが、私学の選抜は昔から変わってはいない。公立併願で前もって私立の合格キップを貰ったが運悪く公立を失敗したから滑り止めの私立に来るなどは最早、授業料の壁が無くなった今では花ある将来のスタート地点とは言えないのではないか。後で後悔の無いようにして欲しいと私も強く思う。最初から堂々と「浪速一直線で正門を潜って」欲しいと思う。





2024年10月24日木曜日

全人間力の高い管理職と教職員集団に!

 昨日の「上棟祭」の余韻が、今なお心地良い。あれほど天気を心配したが打って変わって今日は晴天である。まぁまぁ「人生とはこういうものだ」と思うと何か愉快だ。朝から理事長が用意した「直会」の品物のお礼言上にゼネコンさんや教職員が部屋に入ってこられた。少し変わった品物にしたから喜んで貰えたのだろう。神饌の大きな「鯛」は中学校長に持って帰って貰った。奥様の手さばきで昨夜食されたそうだ。自分が最初にあの新校舎の校長室に入れるのだろうと思うと余計にうまかったのではないか。最も管理職人事は「一寸先は闇」だから来年の事を言うと鬼が笑う。能力高く人柄も良いのだから今後とも「腹を据えて」頑張って欲しい。要は「ノー」と言える胆力だ。管理職の要諦は視野を広く持ち、「バランス感覚が重要」で教員に対して「駄目なものは駄目」と言えるかどうかだ。 


その校長を支える「教員の資質は最重要事項」である。「学校は校長と教員の協同作業で栄え、伸びる」。これだけは間違いない。今、明年4月に専任教諭として採用を考えている常勤講師の先生方の「公開授業を参観」しており今日も2人の授業を視察した。国語科と家庭科でいずれも女性教師だ。教材選択も展開も素晴らしい授業だったと思う。深みがあった。本校は今後とも積極的に専任の先生を増やしたいと思う。1年契約、更新では腰が据わった日常にもならないだろうとの配慮があるからだが、最低限の条件は「教師としての学力」である。まず此れがあって全人間力溢れた教師に結びつく。医者が患者の命を救うように学校の教師はまず学力の面から生徒を救わねばならない。その学力、指導力に不安があるようなお方を教壇に立たす訳には行かない。自明の理ではないか。学力、教養の蓄積が数倍もあるような師の影で生徒は伸びる。 




今日は15時15分から久方ぶりの「職員会議」があった。まず上棟祭の話から始め、「学校行事の全面的見無し」について言及した。これは「理事長・学院長の職務命令」である。「3S」が始まり、月金の授業を月、火、水、金に7コマ目としてブラ下げたがこれを台無しにするような学校行事のオンパレードは絶対に良くない。学校行事の棚卸しをせよ。一方では「教職員の働き方改革」を強く求められ、諸物価高騰の中で入学金や授業料を上げさせて頂いているのに授業をカットするのは理屈に合わない。学校設置者として受け入れられない。今後は厳しく監視して行く積りだ。


今日は「野村證券さん」に依頼して教職員の将来の為に財形貯蓄制度として「個人確定型拠出年金(ieCo)」と「職場つみたてNISA」について講演して頂いた。本校専任教職員対象の福利厚生制度の一環である。世の中は益々厳しくなるが「縁あって」本校で働いてくれている人々を大切に思う気持ちから私は「奨励金支給」も考えている。自分を磨き、誇りを持って本校生徒の為に貢献してくださる教職員を私は厚遇したい。「進化」を合言葉に学校も更に更にぬるま湯的組織から脱却していかねばならない。これが21世紀に生き延びていく浪速学院の哲学である。



2024年10月23日水曜日

晴れ間の見えた新浪速中学校棟の上棟祭

 「一転俄かに掻き曇り・・・」という言葉があるが「一転俄かに晴れ間が現れ・・・」に置き換えたいと思う。2週間まえくらいから、毎日毎日、予報を見ながら、今日の天気を心配していた。朝、通勤途中では車のフロントガラスに小雨がついていたが、式典の始まる30分前まで私は待ち、「これなら行ける」と判断して設置していたテントを撤去するように指示を出した。フード付きのビニール製の雨合羽を各席に用意しているから「いざと言う時」はこれでしのぐと決めた。それがどうだろうか。9時から10時半までの式典では青空に微かな秋雲が流れ、風も無く、素晴らしい式典になった。過去の事例が多くあるから、人は私の事を「晴れ男」と言うが、間違いなく神様のご加護である。 


今日、10月23日は忘れられない日となった。長い人生で多くの幸せを頂いて来たが今日も又その歴史に上書きできる出来事が積み重なった。「建設中の新中学校棟の上棟祭」が無事にその日を迎え、今完璧に終わった。ご来賓の方も学校を後にされ、私は執務室でゆっくりと余韻を楽しんでいる。地上6階建ての鉄筋コンクリート作りの建物の上棟の儀をどのように運ぶか?関係者と議論を重ねて来たが、やはり私の思うやり方で良かったと思う。他の建築物はどのようにされるのか?あるいはされないのか?知らないが神社神道の学校として校舎の上棟祭の執行の一つのパターンが本日完成したのではないかと思う。「浪速モデル」とでも呼んで欲しいものだ。 




ポイントとなる「曳綱の儀」は昨日、習礼とは全く異なるやり方を皆の知恵を絞って考えだし、今日初めてトライしたが見事に出来たと思う。中学の生徒全員とご来賓合わせて総勢500人近い人々と背の高いジブクレーンによって持ち上げられた「棟木」と「幇串」は青空に高々と浮かび、4本の曳綱で「エーイ、エーイ、エーーイ」の掛け声と共に徐々に持ち上げられ、6階屋上の所定の場所に設置された。純白の曳綱が風に乗って靡く様を見ると、「私はやった!」「遂にここまで来た!」との思いが込み上げて来た。100年前、旧制浪速中学校は校舎が間にあわず、1年遅れて旧の梅田高等女学校の校舎を移設して学校は開校された。中学校が100年の歴史で初めて持つ自前の校舎の躯体が完成した。今後は内外装の工事が始まり、来年3月末までに全てが竣工する。 



式典が全て終了し、「典儀」という職位の司会進行役から「祭主」としての理事長が「挨拶と万歳三唱」を求められた。私はこの新校舎の持つ意味を生徒に詳しく語り、今日まで様々な形でご支援下さったご来賓の皆様に心からの感謝の言葉を申し述べた。これは「一つの教育活動」であり生徒に教えてこそ意味はある。私は挨拶の原稿などは全く用意していなく、頭にある思いが「すらすら」とよどみなく口に出て来る。事前に原稿など用意したことはない。「挨拶とは触れ合う事」であり、考えを述べるのではなくて、思いを伝えるのである。今日は100年前に本校を創って下さった先達に対して私は思いを届けたいと強く思い、それが叶った。空はまだ晴れているし、少し暑い。




2024年10月21日月曜日

学校行事の棚卸しと公開授業!

 19日には天を恨めしく眺めながら、とにかく雨曇りの中、中学校の体育大会は最後のプログラムまで予定通り敢行した。これで感じたのは昼食抜きで「一気通貫」で行うということだった。遅くとも13時頃には全てが終了する良さを私は強く感じた。一昔前までは「運動会」は保護者は祖父母までお連れし、昼食時には花見弁当みたいな豪華なお弁当を開いて15時過ぎころまで行うと言う形であったが、今や、ましてコロナ以降はそのような光景は全く無くなり、生徒は通常の教室での昼食である。お仕事をお持ちの保護者にとって土曜日が例えば半日で学校行事が終われば、「助かります」という言葉も聞いた。 

朝方、中学の校長、教頭、進路教務部長を部屋に呼び、上手く行った体育大会の慰労の言葉をかけ、続いて腹蔵しているテーマに関して重要な指示を出した。「どうも中学は行事が多いのではないか?」という問題提起であった。長い経緯があって現在の学校行事が有るのはよくよく分かっているのだが、明日も又中学は全員が「校外学習」がある。時代は変化しており、昔決めた学校行事も今や「3S」導入しており月~金は極めて重要な学習機会であり、そこに校外学習とか様々な行事が入れば、生徒の学力や、何より教職員の「働き方改革」に繋がらないと強調し、今年は予定通り実施するが来年は思い切って学校行事の見直しをするように指示をしたのだった。あくまで「優先順位」の問題である。ここらで一度「棚卸し」せよと言う事である。高校も同じことである。 


19日の土曜日、学校では中学校の体育大会が盛大に行われていたが、その時間帯に並行して市内の道頓堀では御津神社による「祭礼」があった。「大雨の中のお祭り」だったと言う。私は体育大会にフルアテンドで縛られ、観に行くことは出来なかったが、今朝ほど担当の神道科のT先生から詳細な報告を受けた。ギャルによる「神輿のお練り」に本校の女生徒の有志が「神社奉仕」として依頼を受け、参加したものであったが、生憎の雨の中でも生徒は立派にお務めを果たしたという。宮司様はこれにいたく感動され、ご奉仕料が大幅にアップされ、総代会の方々からも来年も宜しくとのお願いを受けたと言う。トラブルなく無事に終わって安堵している。

4限目は「公開授業」があった。本校に就職して2年目の物理の女性の先生である。異例とも言える2年目で専任教諭候補にノミネートされ、今日の運びになった。私は何としても女性の先生を増やしたいと念願しており、過日行われた専門教科の基本調査でも中々良い結果であり、この日に繋がった。授業の後は私の部屋で「講評」があるのだが、勿論及第点であった。しかし私は様々な視点で思う処を述べた。9月から45分授業になっており、今まで以上に「授業時間という概念」を大切にして欲しいと思う。又タブレットや大型画面を使うのが目的ではなくてあくまで生徒の理解と定着であり、ICT教育の幻想にとらわれて行けないとも話した。授業はスピーディにリズミカルにダイナミックに45分で完結するドラマであり、上手い運び方で効果は大きく違ってくる。今後とも頑張って「授業の腕」を磨いて欲しいと思う。



2024年10月19日土曜日

第17回浪速中学校体育大会

 












今日は第17回目の浪速中学校体育大会の日でした。理事長・学院長先生がご着任されて直ぐに「中学に体育大会が無いのは信じられない!」と言われて始まり、17年が経過したことになります。それまでは高校の陸上競技大会に紛れていたものを正式に体育大会として中学校の学校行事に入れられました。昨年は開校100周年目の体育大会に相応しく、快晴に恵まれ、多くの保護者の参加を得て盛大に挙行されましたが今年は空を見ながらの大会となりました。本校の体育大会はユーチューブでオンライン実況中継され各ご家庭の祖父母など今日会場に来られていないご家族にも配信されました。理事長・学院長先生は本部席で生徒の活躍を温かくご覧になり声援を掛けておられました。また、理事長先生からサプライズで理事長特別賞として、優勝チームには焼き立てパンを13個、準優勝チームには12個、3位のチームには11個プレゼントされ、生徒たちからは大歓声が沸き起こりました。そして、途中から雨のため、プログラムを変更しながら昼食抜きで通して行い、13時過ぎには全てのプログラムが終了しました。その後雨になりました。(K