「女房と畳は新しい方が良い」という表現は、封建時代のもので、現代の今に使われることは無くなった。それでも昭和時代のおじさんが(私もそうだが)、同僚と安酒場で愚痴ったりするときに耳にしたこともあるが今はもうない。政治家がこの表現を使うと一挙にマスコミに叩かれ選挙では間違いなく落選するだろう。元々は新鮮さや新しさを重視する考え方を示している表現で、新しい畳が持つ清潔感や心地よさ、そして新しい関係性がもたらす新鮮な気持ちなどを肯定的に評価する意見を表していると理屈を言っても「アウト」である。私はこういう場合、伊勢神宮の式年遷宮の「常若」を使っている。
昨日武道館の空手道場「錬武館」の畳を全て取り替え、その授与式に出て、真新しい畳の香りを嗅ぎながら部員たちを激励した。久し振りの道場で現在部員数108人は元気一杯迎えてくれた。この背景は先の第52回全国高等学校空手道選手権大会(インターハイ)で浪速高校が「3年ぶりに7回目の男子団体組手で総合優勝、女子団体組手で準優勝の栄冠」を勝ち取ってくれた褒章で丁度古くなった畳を入れ替えてあげようとの判断をしたものである。何事も意味や意義ある時にする方が効果は大となる。
最もこれだけではなく先月には全国を制した中学生も含めて部員全員を「焼肉食べ放題」に招待し、仲間で同じ料理を同じ時間帯で食べるという最も幸せな時間を過ごして貰ったし、全国大会に出た選手には「道着のプレゼント」もするのが本校の形である。道着と言っても前身ごろの裏には理事長の名前が小さく刺繍されており、常に理事長学院長に見守られ闘っているのである。
このように「頑張れば何かが自分の周辺に起きる」という一般社会の約束事みたいな事を例え部活動でもあるのだと知ることは人生の大きな志に繋がるし、良い思い出にもなる。「よくやったね!おめでとう」の言葉だけではなくこのように具体的にそのクラブが必要としていることを学校法人が用意するから生徒も一つの目標として頑張れるのではないだろうか。決して物で釣っているのではない。これも教育なのである。
そのように思いながら私は決して小さなお金ではないが今後とも継続してやっていく積りだ。栄冠を勝ち取れば人は認めてくれる。そうするとスパイラル的に部の雰囲気は良くなっていく。そこには指導者と部員との信頼関係の醸成があり、先輩は後輩を可愛がり、後輩は先輩を慕う。その感じがすこぶる心地良いのである。素晴らしい指導者に専用の稽古場を有し、全国制覇を成し遂げた空手道部は今や本校の「チャンピオンクラブ」と言って良いと思う。次の目標は男女アベック優勝であり、大いに期待致したい。このような新しい畳が入り、豪華で機能的な4面もある道場は日本全国何処にもないだろう。まず学校に誇りを持ち、仲間を大切に一心不乱に稽古に励み、次の栄冠に向かっていけと私は大いに激励した。空手道部と「道」を遣う以上、練習ではない。稽古である。一に稽古、二に稽古、三四が無くて五に稽古だ。