2023年8月29日火曜日

仲間へ残す木村の「井戸茶碗」

 昭和24年に「私立学校法」が制定されて私立学校の特質が考慮された制度が我国でスタートした。その後、この法律は56年振りに平成16年に「大改正」されて今日に至っている。その法律が今次、又改正されようとしている。発火点は某大学の財政上の不祥事で、これは社会を揺るがす大きな社会問題となった。その改正骨子が明らかになってきており年度内には具体的に成文化され、全国の私立学校では「寄附行為の変更」などが進められると思う。私は時々この私立学校法を取り出しては読み、法改正の意味するところは良く分かる。いずれにしても理事と評議員の機能の峻別と適切な法令順守がより厳しく問われることになる。 


元来、8月には今日か明日の月末には理事会・評議員会が開催されていた筈だったが招集権限を持つ理事長として4年前から8月会議はスキップした。法人役員がわざわざご来校して審議頂く項目が無いからである。それ位本学院は順調に日々を過ごしている。さりながら前回の5月理事会から既に3か月経過し、次は12月であり、この時点で、この間に発生している項目について理事、評議員の皆様にご報告するのが良いと判断した。常務理事のマターとして資料作りを指示し、今日明日にも発送する手筈である。この時に4月30日の「開校100周年の記録映画」がDVDで完成したので同封することにした。私の考えは学校管理の業務を執行している内部理事(本校では現在4名)は外部理事(7名)に適切に情報提供することは極めて大切だとの考えである。

今朝は拡大管理職会議を以って直近の校内外の動きや情報などをテーマにミーティングを持った。この席で「来年度からの高校、中学の入学金と授業料について最終的に決定」した。この拡大管理職会議こそが本校の業務執行の最高意思決定機関であり、これを12月の理事会には報告して最終承認する手順である。この会議は極めて重要であり「唯一代表権を有する学校設置者たる理事長が何を考え、管理職に対して何を指示したのか」が組織を動かす要諦であるからだ。私は多くの事を述べ指示した。「来年度入学者数の期待と制限」「同窓会組織の改編」「税務対応の在り方と受け皿」等々である。又教職員の働き方改革について「公益法人としての学校と学校を支援する別組織の検討」など、極めて大きなテーマを出して検討を具体化するように指示した。これらは次の12月理事会の大きな議題として上程することになる。 



会議の冒頭、この1年半、休みを返上して挑戦してきた「焼き物」である茶碗作りについて居並ぶ管理職にようやく人様に見て頂けると感じた試作品を示して「井戸茶碗」について解説した。字数の関係で多くは書けないが、お茶人垂涎の井戸茶椀は安土桃山時代に多くの戦国大名に愛され、お茶碗では唯一の国宝である「喜左衛門」や秀吉が愛玩した重文の「筒井筒」始め、「有楽」「細川」「越後」「柴田」「坂本」等々名品が忽然と世に現れ、多くの戦国大名に使われた「大名物」の高麗茶碗である。今に現存するのは古作として150個程度で、新作は全く現れていない。多くの謎に包まれ、作るのも多くの約束事があって超難しい!私は国宝「喜左衛門」の魅力に取りつかれており、この作品の「習い」というか「倣い」を今まで何十個となく作陶し、失敗の連続であった。今後も挑戦し、良い仕上がりの物だけを、この時代を共に戦ってきた仲間に「木村との仕事の証」として、拙作ではあるが木箱に入れ、銘を箱書きして差し上げたいと思っている。果たしてこの夢が実現する日がくるだろうか?私はこういう流れが大好きだ。我ながらつくづくと思う。