2023年8月17日木曜日

「捨てきれない荷物の重さまえうしろ」

 「捨てきれない荷物の重さまえうしろ」、種田山頭火の句の中でも好きな句だ。山頭火の生涯は、想像を絶する「喪失の歩み」であったと思うが、「捨てきった」はずの彼が行乞の果てに見た風景からは、捨てきれない過去の記憶と未来への思い、それでも毎日、出遇い続ける人の交わりが感じとれる。ここが人間山頭火の光っている部分であり、惹かれる。私は真逆で喪失の歩みなどではなくて「獲得の歩み」だったと思う。しかし今、思う事は掴み取った沢山の事を捨て切れない自分に気づく。その重さは確かに重たいがその重さに全く動じない自分もいる。思い出も、現状も、しがらみも、捨てようと思っても、そんなに簡単には捨てられない。自分は割り切れない「人間の業」が特別に深いのかも知れないと感じる。抱えた荷物が、歩く度に前に後ろにほんの少しずつ揺れて、そして肩に食い込んでくるがそれでも捨てきれない自分が居る。仕事を持って生きて行くと言うことはこういう事だと覚悟している。

今日から学校は2学期の前哨戦が始まった。なぜ前哨戦かというと高校は24日に、中学は25日が始業式でその時点から2学期は始まる。学校には生徒はいない。教職員のみで、だから拡大管理職会議を8時に持ち、9時から全体の職員会議を持った。私は多くの事柄を述べたが時間を使ったのは大阪府が打ち出した高校授業料無償化の概要が固まり、9月議会に上程し来年度から適用される。所謂「標準授業料」(CAP制)の設定解除は出来なかったものの双方痛み分けの決着になった感じだ。大阪府は経常費補助金もアップすると言って呉れており、満願とは行かないが本校にとっても決して今より悪くは無い中身で、今後具体的に高校、中学の新授業料の決定と新入学金をどうするか検討に入る。 



その他、夏休業中に行われた「部活動の成果」が凄かったこと、「私学展での浪速人気」を肌で感じた事や、「来年度入試の問題作成と試答」に対応する教員への激励、教員人事の案件の紹介、「中学校修学旅行のエージェントを全面的に南海国際旅行さん」に依頼するなどを話し、最後に理事長からのお中元(?)として全専任教職員に「巨峰4パック入り」を一箱づつ2回に分けてプレゼントする話で終わった。何しろ130人分、130箱だから520房にもなり、これらを千早赤阪村のブドウ名人から分割納入して貰うのである。 


全中のテニス大会で早朝にはテニス部員がバスにて香川県の高松市に向かい、中学校の意欲ある生徒は千早赤阪村の多聞尚学館での「イングリッシュ・キャンプ」に3泊の予定でこれまた元気よく出発した。私はバスに乗り込んで「ドゥ ユア ベスト」と声を張り上げて激励したのである。「教職員に語り、生徒を激励し」、背負った荷物を捨てることなく、次から次と抱えている自分に「苦笑い」するばかりだが、私は山頭火とは違った道を歩んでおり、今更山頭火にはなれないが、それでも思うままに生きている山頭火が羨ましい気もある。山頭火の「捨てきれない荷物の重さまえうしろ」をもじって、「捨てきれない荷物の重さを糧として」が出来た。そう、私は背負った荷物を食べながら消化して生きているのである。背負う荷物が無くなると私はヤバい。