「シモン」という名前は、古代ユダヤに由来し、多くの欧米の人々がこの名前を有している。この言葉には「聞く、耳を傾ける」という意味を持ち、歴史的にも多くの著名な人物に名が連なっている。例えば、イエスの十字架を担ったキレネのシモンや、イエスの弟子の熱心党のシモンなど、聖書に登場する重要な人物がいると知った。また、シモンという名前は、スポーツ選手や芸術家など、さまざまな分野で活躍する著名な人々にも与えられているらしい。阪大特任教授の「坂口志文先生が2025年のノーベル生理学・医学賞」を授与される。この朗報に私は今、心の中にあった「世俗のもやもや」みたいなものが霧散してくような感じにとらわれている。間違いなく快感である。
日本の誇りであり日本人の素晴らしさを今更ながら感じている。各紙当然だが一面右側のトップ記事で報道している。今朝は殊の外時間をかけて各紙を時間をかけて目を通した。どの新聞社も良いお顔のお写真を掲載していたが、まさに「飾り気のない実直な研究者のお顔」そのものであったと感じた。本当に「良いお顔」をされている。「免疫機能」の言葉は聞きかじりで知ってはいても「制御性T細胞発見」となるとチンプンカンプンだが記事を読み進めて行くとこの研究成果の凄さが分かってきた。坂口先生のお人柄についても各紙は掘り下げて記事にしていたが、私は先生自ら述べられている「運・鈍・勘」や「一つ一つ」という字句にも惹かれたが、「哲学的思索」という字句にはいささか驚いた。理系に哲学だと?
基礎研究の息の長さに耐え、他からの批判に忍び、自ら信じる道を40年間かけて地道に追いかけ、世界の病理学のあらゆる賞を総なめにして今回のノーベル賞に到達された。「哲学的思考で医学研究」「辛抱結実」「否定されても自説を信じ」「鈍感さ武器」「評価気にせず異端研究」「研究のしつこさ」「本質的な答えを求め」「私たちは正しい」「実験繰り返し」「10年見向きもされず、考え抜いた」「謎の細胞、信念貫き証明」「妻と二人三脚」等々の言葉に私は心を奪われる。この研究により難病とされているがん、糖尿病、リューマチ等々への治療への道が開かれるともあった。
日本は今政治も混迷、経済も混乱、女性初の総理大臣誕生の話しの中で「株価」は触れば熱いくらいの沸騰状態にあるが、総じてこれらは「浮世の世俗の中の話し」で、ほとんどの人々がこの中でうごめき、騒いでいるがこれも又人間社会の実態である。否定はできない。しかしこのような中で人知れずこのような自然科学の基礎研究分野で闘って来られ、結果として卓越した坂口志文先生のような方が「世に表立って出て来られた」ということが素晴らしい事だと思う。ノーベル賞は本当に人間社会にとって、「時に賞賛であり、時に警告にもなる素晴らしい賞」ではないかと思う。
「先生の父君も兄上も高校の教師」であった。子供時代は本当に本を読むのが大好きな子供だったとある。私は理系の研究者にとってこのような文系への造詣が研究のエネルギーになったと思う。お名前の志文シモンは聞く、耳を傾けるという意味があると冒頭書いたが、俗の典型的人間である私にも今回の先生に関わるお話は大変勉強になった。本校の若者にも大きな影響を与えると思うし、偶々であるが今学校と言う社会の公的機関に関係している身だけに今回の先生の栄誉は有難く、心より感謝とお祝いを申し上げたいと思う。