2021年12月11日土曜日

「新しもの好き」

 本日14時からは今年最後となる「浪速高校第4回入試説明会」の日であった。今年から始めた新しい形の「WEB申し込み」では何と、何と想像以上の受験生や保護者が予約して頂き、集まって頂いた。今回の目玉はこれも新しい形である「ライブ中継」である。学校から数十キロ離れた堺市美原区の「高天原スポーツキャンパス」で期末試験の済んだテニス、ラグビー、陸上競技部の部員が施設の実態をライブ映像・動画で流した。最初の試みは修学旅行先の大宰府天満宮から、そして前回は多聞尚学館からと入試広報部は今や「お手の物」となった方式を駆使して受験生に訴えるのである。先週の多聞尚学館を中継では、並み居る受験生と保護者のアンケート結果から見ると「本校のICTの極限」に驚いたとの賛美オンパレードであった。新しい形は見る人に感動を与え、映像には「嘘偽りの無い真実の姿」が映し出される。入試広報部と情報企画部、よくやった!素晴らしい。 



「新しもの好き」という言葉がある。大阪弁では「新しがり」「新しモン好き」「新しがり屋」か?他に有るのか、知らない。この言葉は良く言えば最新の流行などを次々に取り入れようとする人のことであるが、とにかく「新奇なものに心が惹かれるさま」を言う。一方この新しもの好きは、必要かどうかを度外視して新製品などをついつい買ってしまう傾向などを指すニュアンスもあり、どちらかと言えば否定的である。「初物食い」「初物好き」「目新しいものにすぐ飛びつく」「目移り」「浮気性」などの否定的言葉も極めて多い。しかし私は「新しもの好き」の人や組織を高く評価する。「新しもの好きが世の中を変える」のだ。私は入試広報部長に今後とも新しもの好きで行くようにアドバイスした。




歴史上の人物で新しもの好きは何と言っても戦国時代に生きた「織田信長」だろう。幕末維新の「坂本竜馬」を挙げる人もいるだろうが、確かに優劣はつけ難いが私は信長に軍配を挙げる。信長は南蛮貿易を重視し、キリスト教の布教を許し、常に地球儀が側に置いていた。鉄砲を戦争に取り入れ、刀槍の世界を一変させた。今に続く「中央集権制度」を取り入れ、政治の動きを何倍も何倍も加速させた。「楽市楽座」で経済の循環を図り、人材登用も出自不問で農民上がりの秀吉を取り立て活躍させた。これ以来、身分の低い者でも日の目をみるようになった。かく言う私も新しもの好きである。信長を巨象とすれば私如きは蚤以下であるが、それでも学校に「新しもの」を取り入れて来た。とにかく新しいものが大好きである。 


新しいものが現状を変えるのである。私はこの15年間で本校教育の中味、ソフトと校舎を含め教育環境のハードを一変した。教職員も現在勤務している教職員の85%以上を変えた。今や昔のものは草一本、石ころ一個本校には無い。それでも変え続けようとしている。現状を変えようとする試みが実は本質をあぶりだすのである。変えようとしない人は現状が最も心地良いからである。それは何もしなくても給料は入って来るから、敢えて苦労をしょい込む必要はないのである。昨年の学校行事の中味をほんの少しでも変えようとする教職員を評価する。学校は「行事消化型社会」と言って20年前、10年前、5年前と全く同じ内容で粛々と行事を済ませることが多い。これは教員が楽だからである。去年と同じだったら誰からも文句は言われない。「去年と同じですよ」と反論すれば誰からもクレームが付かないからだ。だから学校は変わらなかったのである。


 私はとにかく変えよ、少しでも変えてみたらとアドバイスする。この姿勢が教職員に伝播したのだと思うが本校の教職員も少しづつ新しもの好きに変わってきたように思う。典型的な例が前述した入試広報部所管の学校説明会の形である。現在の基本は私が造ったが徐々に進化し続け、彼らは「ネットに拠るライブ中継」という目に見えぬ遠い所から情報を発信する方法を考え出し実践している。「若い世代の頭は柔軟」である。小さな課題はまだあるがとにかくやることだ。やれば次の手が浮かんでくる。本校のICTは教育の方法のみならず広報にも新しいジャンルを切り拓いた。「教職員に告ぐ、今後とも”柔らか頭”で行こう!」