この秋に行われた今年の「第二回実用英語検定」で特筆すべき生徒が出て来た。高校3年生のM君である。彼はⅡ類在籍生徒で3年間硬式野球部に所属し活躍し、この度、英検で「準1級」を取得した。この準1級と言うのが凄いことなのである。高校卒業レベルでは2級取得が標準とされており、準1級は大学中級レベルである。一般社会人の合格率が大体16%程度の難しい試験で、英検準1級を保持しているということは例えば企業に入っても英語を必要とする場所に配属されたり、海外勤務なども優先的に有り得るというレベルである。3年間野球で汗まみれになりながらもコツコツと英語を勉強し、将来にわたって「語学の学びを深めたい」と志を立て、クラブの傍ら一生懸命に勉強した。そして進学する大学は「関西外国語大学」に合格し既に決まっている。
素晴らしいではないか。「奨励賞に値する」と考え学校長から支給するように英語科の教科長と英検担当の教員に伝えた。学校には「文武両道」という言葉がある。偶に「文武両立」という言い方もあるが基本的には同じ意味である。意味は文は学業、武はクラブ活動であり「勉強と部活の両立」と解釈され、単に学業だけが優れているのではなく、クラブ活動などにも頑張って欲しいという意味である。そのクラブ活動も運動部のみならず文化系クラブも当然入る。前述したM君はまさに文武両道を実践した生徒と言える。私はクラブ活動の意義を深く自覚している。クラブ活動から受ける恩恵は極めて大きいからである。それは大学を卒業し社会に出ても成長期に学業以外に励んだ経験は役に立つことを知っているからである。
11時から年明けの成人式に関連した本校独自の企画である「二十歳の集い」の為の学院長ビデオメッセージの撮影があった。これは本校卒業生で丁度20歳になったものを集めて母校に帰還させ自分の原点を改めて知らしめ、今後を自覚させるという内容のものであるが、昨年に続いて今年もコロナ禍で中止せざるを得なく、やむなくビデオ配信としたものである。私が述べた要旨は以下のようなものである。私より約半世紀も若い人たちへのメッセージには深い感慨がある。
皆さん、お元気ですか?理事長・学院長の木村です。この度は、二十歳の成人、心よりお慶び申し上げます。(以下中略)
皆さんの前途はきわめて明るく有望です。この機会に自分の立ち位置を知り、志しを再確認して欲しいと思います。生きる術と自分の存在価値を、更に更に高めていってもらいたいと思う。その為にはまず目標に向かって、努力しなければなりません。有る時は「耐える」ことも重要です。ここにあるのは私の好きな備前の焼き物です。土をこね、形を作り、不要なものを削り落とし、素焼きし、最後は本焼きと言って1240度以上で焼き締められ最終完成します。それが存在感を発揮し、威風堂々と光り輝くのです。焼き物は何か人間の成長過程に通じるものがあるような気がします。
君たちは 本校が誇りとする卒業生です。困ったことがあったら何時でも母校に来て欲しい。私たち教職員は全力で君たちを応援しています。令和5年には創立100周年を迎えます。その時には皆さんと共に、100年間、この住吉の地で生きてきた君たちの母校をお祝いしたいと思います。そして今後とも21世紀に燦然と輝く学校づくりを卒業生のみなさんとともに作っていきたいと思います。本当に皆さんとお会いしたかったのですが、是非、この動画を見て、自分の若かりし高校時代を思い出し、原点を確認して欲しいと思います。それでは「バイバイ、元気でな!」