「シンプル イズ ベスト」という英語がある。Simple is Bestだ。この意味は単純素朴であることが最良である、という意味の英語の表現であるが、シンプルとは、「純粋な」「すっきりしている」などの良い意味と、「お人好しの」「つまらない」「無知な」などの悪い意味を併せ持つ言葉である。大概の場合は良い意味で捉える方が多く、複雑な事象を、回りくどい言葉を使うよりも単純明快な言葉で表現する方がより分かり易いという事である。私は今「しみじみと」2年前の事を思い出している。浪速高校も「ぼつぼつ」新しい科コースを作るべく「名は体を表す」との思いで、この新コースの名称を関係教員に諮問した。出て来たのは「異文化を理解するコース」とか「国際理解促進コース」的なものばっかりで私が断を下し、「浪速国際コース」とし2019年4月11日の職員会議で発表した。名称もシンプルイズベストである。
2年経ってこの浪速国際コースの第一回生が具体的に活動し始め、11月には修学旅行に置き代わる「語学研修」を初めて国内の富士山の麓で打った。これはコロナ禍でやむなく河口湖傍の某大学保有の研修所での合宿に置き換えたもので、当初は国際的に有名な英語研修地のフィリッピンのセブ島で行う予定だった。今年の入試説明会から国際コースの説明が具体性を帯びて話が出来ると考えた入試広報部は動き始めたのである。第4回説明会ではこの語学研修に参加した生徒の感想文が読みだされ、多くの受験生や保護者の心を動かしたのだろう。今朝ほど報告を受けた保護者アンケートに拠れば、その反響がすこぶる良く、当初説明会後の「個別相談会」には当初応対する担当者を入れていなかったが、急遽国際コースの主任教諭に入って貰って受験生と保護者対応に当たったのである。
この浪速国際コースは本校が10数年ぶりに打ち出した新科コースで2年次に上がる時に全生徒から希望を取り、学力やその意思を確認して2年生から約40名程度の募集を行う。今年が初年度で最終的には高校2年生18人でのスタートとなった。この18人が凄いのである。全員が難関私立大学の英語専門の学部に進学するか、海外の大学に進学する生徒ばかりである。行く行くは英語を駆使して社会で活躍する志の強い生徒に絞っているのであるが、このコースの担当教諭は英国ケンブリッジ大学の認定する資格を有した「いわばバリバリ」の英語の達人である。
今回の研修会に参加した生徒のアンケートを読むと素晴らしい成果で「少数精鋭」「英語のみの毎日」「一方通行だけではなくて生徒間のやりとり」など様々な工夫により短時間で英語に自信が持て具体的にその成果が出ている。そのような活動の次のステップとして今「海外の大学との連携」に走り回っているところであるが、何れにしても21世紀の日本は国際社会の中でその存在感を示し、活躍できる人材が今以上に必要である。本学院は今まで「英語教育の浪速」を標榜してきたが今後とも活動の幅を広げていく積りである。又私は「留学生受け入れ」には積極的であるが更にこの動きを加速するために次の一手を考えている。他の私立高校も生き残りの為に様々な事を考えているだろうが、私は今後とも「ニーズとシーズ」を考えながら単純明快にこの学校のあるべき姿を目指していく。その為には科コースの改編には積極的に対応していく。例えばそろそろ「スポーツ科コース」があってもおかしくないぞ。来年早々には豪華極まりないゴルフ部の為の「産土ゴルフ練習場」のお披露目をする。道具は揃った。