2022年8月22日月曜日

蟻の一穴

 「蟻の一穴」という言葉がある。読み方は「ありのいっけつ」である。意味はどんなに堅固に築いた堤でも、蟻が掘って開けた小さな穴が原因となって崩落することがあるということを表す語で、一般的に、どんなに巨大な万全の組織でも、些細な不祥事が原因となって、組織全体を揺るがすような深刻・致命的な事態に至る場合がある、といった意味の格言として用いられる。これは「韓非子」の「天下の難事は必ず易きよりなり、…千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以て潰(つい)ゆ」からきており、私にとって極めて大切な「戒め」であり、何時も頭の何処かにおいている。今朝は2学期の始業式を24日に控え、拡大管理職会議を持ち、2学期のベクトル合わせを行った。浪速学院は今、何処にも瑕疵が無いように見えるが、これが油断の元凶であり、組織の要となる管理職が理事長の方針に沿って「一枚岩」となることが重要である。やるべきことは多いが、今の陣容で2学期も頑張り、年が明ければ創立100年の節目になる。 


朝会の後、今井監督以下空手道部の顧問の先生が「凱旋報告」に来てくれた。全国優勝旗と優勝カップを持って来てくれ暫しの間、私の部屋に置く。春の選抜で全国優勝をし、この夏のインターハイでも優勝、実に「男子団体組手の春夏連覇は6年振りの4回目」となった。全て木村理事長時代の足跡である。並み居る全国の強豪校が「打倒浪速」を合言葉に向かって来たが、空手道部の選手や保護者が一体となって伊予三島公園内の体育館に浪速の雄たけびが木魂し、6回戦も勝ち進み、深紅の優勝旗を私に持ち帰ってくれた。この6年、今井監督の東京オリンピック派遣や、空手道部にも様々な事があったが、これで「結果良し」と落ちつき、日本の高等学校空手道の世界にその存在を高らかに改めて知らしめたことになった。さぞ今井監督、顧問の先生方は嬉しかったことだろうと思う。出すべき時に結果を出すことが重要であり、「よくやった!」と称賛したい。 



その後私はNS館の工事現場を視察した。工事は極めて順調で基礎の掘方が進められていた。工事現場は確保され、広く作った「西関門」から土砂を積んだダンプが整然と出入りしていた。行程は順調で地表面から約3メートルを掘っても「湧き水」など無くて綺麗な土砂であった。地下にコンクリートの基礎を打ち、その上に10本の柱で固め、地上部分はピロティとなって教室は2階、3階の合計6教室分が来春には目に入ってくる。これが「NS館」であり、戦略的に重要な部位となる建物である。中央館、そして「新中学校棟」と連結され、将来的には「浪速アリーナ」とも繋がる交通の要所である。このような工事現場を見ると私は今更ながら「幸運の男」を意識する。今まで建設して来た建物や付属施設など全てが有効にリンクされており、無駄が一切無いのである。これって「ご神慮」を頂いているとしか考えられないのだ。全ては「神様のおかげ」である。