今日は些かお堅い「学校会計」というお話を。浪速高等学校と浪速中学校を有する学校法人浪速学院は「私立学校法」を根拠とする学校法人であり、法人区分としては「公益法人」である。この点が会社法を根拠とする株式会社等の「営利法人」とは根本的に異なる。「金儲け」が目的ではなく教育と言う崇高な目的を持った社会的な公益性のある組織である。しかしその使命を達成する為には健全な財務状態と経営成績を維持していなければ何事も成り立たない組織であり、お金が無ければ教員も雇えないし、校舎の建て替えや教育環境の整備も出来ないのである。学校と言えども「先立つものはお金」なのである。
だからと言って「お金を貯め込む」のは法の精神に反しており、木村流で有態に言えば「ぎりぎり」が丁度良い。あくまで「教育活動を支障なく行うことが目的」であり、その為に「学校の予算主義」と言われ、単年度予算ではあるが予算設定が重要で、あらゆるお金の使い方を事前に決めておかねばならないのである。予算に上げていないお金の使い方は問題となる可能性があり、理事長が「あそこに売り出された土地がある。マンションを作って儲けようよ!」などと言えば後々大きな問題となることは必定である。サッカーやラグビーの練習場を作るのは教育活動の一環であり、予算を立てて「ちまちま」積み上げて行くのが「正道」である。
学校法人の収入は生徒からの授業料等と所管する行政からの補助金、それに寄付金以外には1円も無く、その範囲内で「ありとあらゆる会計」をしなければならない。「補助金と言う名の税金」が投入されている学校故に学校会計の真実性、複式簿記、明瞭性、継続性の4点が特に求められており、法的根拠は前述した私立学校法と「私立学校振興助成法」である。極めて多くの「計算書類」を用意し1年に一度、「決算は毎会計年度終了後原則2月以内に理事長において評議員会に報告し、その意見を求める必要」があり、加えて「財産目録、貸借対照表、収支計算書」作成しなければならない。5月末が期限であり今が最も学校の事務室はこれに忙殺されている日々と言える。
いい加減な書類を用意し「これが決算書類です!」と言えば法律違反であり、過去幾度となく学校法人の会計の不祥事が社会問題となっている。最近では近隣の私立高校で学校地を不動産業者に売却した事案が新聞を騒がせた。この為に決算内容の中身を担保するために法的に「公認会計士の監査」が必要で、この時期大体4回程度に分けて会計士の先生がありとあらゆる会計原本や資料を前に、「目を皿のようにして監査」をされる。本日も監査に来られた。そして5月31日の理事会・評議員会に備えるのである。そして当日の私は胸を張って「令和2年度決算につきましては、高天原スポーツキャンパス第二期工事費として約AA億円、生徒寮建設の為の隣接した土地の取得としてB億円を手持ち資金からキャッシュで支払い、尚且つ翌年度繰り越し資金は約C億円となりました。一言で言えば申し分のない令和2年度決算であると言えます。」である。もう発言内容は出来上がっているのだ。胸を張って言えるために複数の公認会計士の先生に来て最終チェックを頂いている。