2024年5月21日火曜日

「人間至るところ 青山あり・・・すべては”天の意のまま”」

 私には「座右の銘」みたいな格言とか金言とか言われる自分を鼓舞する好きな言葉が多い。それも一つや二つどころではなく極めて多い。言葉が好きだと言うこともあるが、基本的に状況に応じて言葉を当て嵌め、自分を慰撫したり、叱咤激励したり、前に歩を進める原動力みたいなものかも知れない。その中に「人間到る処青山有り」というのがある。読みは「じんかんいたるところせいざんあり」で冒頭は「にんげんいたるところ」と読んでも良いが高校時代の漢文の教師からは「じんかん」と読むように教わった。大略は“骨を埋める場所は、どこにでもある。大望を実現するためには、故郷にこだわらず、広い世間に出て活動すべき”という意味である。 

使われ方の例は結構多くて、太宰治の竹青にも“あなたは、ご自分の故郷にだけ人生があると思い込んでいらっしゃるから、そんなに苦しくおなりになるのよ。人間到るところに青山があるとか書生さんたちがよく歌っているじゃありませんか”などと使われている。作者は幕末の尊王攘夷派の僧、月性の作である。周防(現在の山口県)に生まれた月性が、27歳のとき、大阪の有名な漢学者、篠崎小竹のもとで勉強し、故郷を出るに当たって作ったのが、この漢詩で全文が又良いのだ。「男児志を立てて郷関を出ず、学若し成る無くんば復還らじ」と決意を述べたあと、「骨を埋めるに何ぞ期せん墳墓の地、人間到る処青山有り(先祖代々の墓に葬ってもらおうなどと考えてはいない。世の中、どこに行っても墓地になる森はある)」と結んでいる。名句だと思う。 

話は突然変わるが、私は「演歌」が大好きで、演歌歌手は何方も好きだが最近、神野美伽さんに嵌っている。その大阪貝塚出身の彼女が、40周年記念の第2弾として、新曲「天の意のまま」が 202436日に発売された。神野美伽の魅力を最大限に引き出す、作家陣(作詞:荒木とよひさ、作曲:弦哲也)で製作されたこの歌は人生賛歌とも捉えられるスケール感あふれる楽曲である。この中に「せりふ」として人間至るところ青山有り」が入っている。ここが素晴らしい。私の「持ち歌の一つ」になった。

歌詞は:

人は情と慈(いつく)しみ

生きる証(あかし)は 他に無い

花に生れりゃ 散ればいい

蝉に生れりゃ 泣けばいい

命惜しむな 惜しむな命

天の意のまま 俺は俺

(百年の夢見れど すべて大地に還り 人間到る処に青山ありと・・)

人は誠と幻(まぼろし)と

麦めし喰らう 他に無し

空が恋しけりゃ 雲になれ

海が愛(いと)しけりゃ 貝になれ

命惜しむな 惜しむな命

天の意のまま 俺は俺 命惜しむな 惜しむな命 天の意のまま 俺は俺

天の意のまま 俺は俺

昨夜は市内心斎橋のホテル日航で役員・教職員総勢200人の大パーティがあり、最後の最後にサプライズとして場を盛り上がるべく、私はこの「天の意のまま」を熱唱した。新任の先生方と今いる専任教諭の先生方に対して“縁あって同じ働き先で、今同じテーブルに付き、同じ物を食している関係は決して偶然ではなく、「天の意のまま」だと各テーブルを回り話した後にこの歌を歌った。少し風邪気味であったが自分でも良く声は出たと思う。会場の割れんばかりの大拍手と大歓声に感謝して、学校改革第2ステージの幕はこの歌で開いたのである。「命惜しむな、惜しむな命」、全ては「天の意」であり、「絆」であると歌い、「命をかけて」共に自分たちの職場を更に良くしていこうとの願いを込めて私は歌った。