この記事は「勇み足」だと言えば、書いた記者さんに悪い。でも今朝の各紙では「突如として」、産経さんだけが記事にしている。「場違い」とも言えない中身ある良い記事だ。私はこの記事の内容を今までも感じていたから、同意はするが「過熱」という表現はしっくり来ない。「じわーっと燃えてきている」という感じか?高校無償化の影響で私立中学受験も過熱状態だと言うのであるが我々の印象は少し違う。確かに近畿圏の私立中学進学比率は右肩上がりで今や10.52%にまで伸びている。10人に一人は私立中学進学だ。ただ10年間で1%の伸びだからこれは過熱ではないだろう?
この過熱傾向は令和8年度入試においても続く状況であると記事にはあった。入試広報部教頭の近藤先生と新聞を見ながら意見交換したが、彼も過熱と言う感じではないと言っていた。浪速中学でも1昨年の141人、昨年度の168人と伸びてきており、来年度も今年並み以上の「微熱」を感じている。中学は義務教育であり、私立高校のような専願主体の伸びとは行かないまでも確かに「じわーっ」と伸びてきていることは間違いない。説明会などの雰囲気で分かる。背景はやはり「学習環境の充実」と「面倒見の良さ」が評価されている。特に道徳教育、英語教育、ICT教育のツール導入など他の追随を許さない革新的環境は本校の「売り」である。
ただ産経の記事では関関同立の付属中学などが根強い人気だとあったが、確かに生徒や保護者の思いを忖度すれば大学まで「エスカレーター方式」の私立中学は一見強そうに見える。しかしこれが生徒の為になっているのかと言うと必ずしもそうではないと言う意見が有る。大学受験を経験していない教員は大学入学共通テストなどのノウハウを積んでいない。教員にとって大学受験勉強は極めて大切である。エスカレーター教員にとって、これは案外と弱点となるから気を付けた方が良い。又いわゆる限られた仲間内だけの中学高校大学の10年間は人間力の成長にもある程度の影響が有るとは私の意見である。
進路には紆余曲折があって良い。関関同立へ進学するのも一案だが首都圏の大学、地方の大学、海外の大学と世界は広く大きい。「我が子を苦労させる」ことは昔からの日本の親の教育方針だった。「ジグザグの人生」は人間の幅を広くさせる。これが教育の目的であり「生きる力」ではないか?私立中学への進学が単にエスカレーターで系列の大学に入れると言うのであれば、それは余りにもコスパ的に損である。「可愛い子には旅をさせよ」ということわざは、親や教育者の間でよく使われる言葉であり、この言葉には教育や人生経験に関する深い教えが含まれている。受験勉強で苦労させたくない、親の近くに一生居て欲しい、老後を頼りたい等々、「可愛いい我が子には旅させろ」の逆がまかり通っている危険性の方が私は心配である。




