2023年11月27日月曜日

「本物に触れる」そして「競歩」の話

 先週の11月22日、浪速中学校では素晴らしい催しが行われた。「校内での芸術鑑賞会」である。文化庁の企画で今年の「文化芸術による子供育成推進事業」の対象校認定を本校は受けて3人の演奏家、芸術家が東京から派遣された。チェロの堤剛先生、バイオリンの吉村美智子先生、ピアノの菊野惇之介先生である。特に堤先生は大変に有名なお方で名実ともに日本を代表するチェリストで私もお名前だけは存じ上げていた。国際コンクールで数々の賞を得られ今でも世界各地から招かれている。2009年には天皇陛下御在位20周年に御前演奏を行っておられ、2013年「文化功労者」に選出された。「ウイーン市功労名誉金賞」など海外の褒章は数知れない。御年80歳を超えても未だ精力的に演奏活動を行っておられる。このような方が大阪の名もなき中学校にわざわざ御足を運んで頂き、生徒に「本物の音楽・音」を聴かせて頂いた。生徒の感動する姿を見て「我、感無量」なるは当然であった。 



その圧倒的存在感と自在に操り、奏でるチェロの音に生徒も引きずり込まれ、手もとにある全員の感想文に目を通したが、15歳前後の中学生にも「本物、良い物は直ぐに分かる」のである。3人の生徒の感想文をママ転記して彼らの感動が如何に凄かったか理解して頂きたいと思う。「初めて本格的な生演奏を聴きましたが想像以上に迫力があり、そして僕は初めてチェロを聴きましたがこんなに綺麗な音が出るなんて知りませんでした。」「チェロの音を殆ど生で聞いたことは無かったけど、急に強い波のような音が出てすごい心が揺さぶられた。」「プロの人の演奏を生で聞いたけど、本物のプロの人は技術だけではなくて音楽を通して思いを伝えたり、音楽を楽しむ、音楽の美しさを極めているのだと思った。本当に凄いかった。」等々であった。成長過程になる生徒には「生で本ものを見させる大切さ」がここにある。これが「教育」だと思う。この企画を実行した校長先生以下中学校関係者に深い敬意を表したい。 



話は変わるが「競歩」という運動競技がある。最近時々テレビで目にする機会があるが、あの「独特な歩き方」を見て少し興味関心があったが、まさか学校において身近なスポーツとなるとは思いも寄らなかった。競歩とは 歩く速さを競う陸上競技の一種で、一方の足が、つねに地面から離れないようにして、できるかぎり速く歩くことを競う競技であるが、最近とみに歩くスピードが衰えてきた私は過日全国チャンピオンになった女生徒に直接指導を受けた。まさか、まさかであったが高校2年生のOさんが11月10日に行われたJOCジュニアオリンピックU18陸上競技大会で優勝してくれた。日本オリンピック協会公認の競技会ですぞー。 


愛媛県で行われたこの大会は本校では長い歴史で初めての出場であったが女子3000mWで夏のインターハイで3位を競った他校の同じ高校2年生のライバルと最後まで並列してレースを引っ張り、最終周回で引き離し優勝したのだった。浪速高校に入学してから次々と大きな大会に出て記録を更新し、遂にJOC主催の大会で優勝を成し遂げた。「努力とその根性」が素晴らしい。父君が大阪陸上競技協会の競歩部門の強化コーチを務められており、その指導の下、日々トーレイニングを積んだ成果である。このように運動競技は特に指導者の腕前に拠るところが多い。私はクラブ顧問を通じて本人の希望を聞いて理事長褒章としてトレーニングコートを贈呈した。そして今朝、父君から丁重な封書のお礼状が達筆で届いた。「この親ありて、この子あり」である。