今年初めての肌を刺すような寒さであった。今日は第4回目となる高校の入試説明会の日である。これは元々今年の計画には無かったが、急遽私の指示で組み入れたものである。昨年は第4回目をやっているのに、今年は今日14日と明日の15日に「個別相談会」を終日入れたので、入試広報部は4回目のカットという合理化した提案を持ってきたので、当初は私も了承した経緯がある。しかし決めた当時から8か月も経ち、私の気持ちには変化が芽生えつつあった。昨年が966人という新記録の入学者を得ているのに、「わざわざ今年、説明会の形を変える」という事に些かの違和感、不安感が持ち上がってきて、私は強い指示で4回目を入れさせたのである。このように最初は了解したが、途中で変えるというのは有って当然だし、私には良くあることだ。それは事態を良く見つめ、数値を持っているからである。君子ではないが「豹変」は有って当然である。無い方がおかしい。
理由は1回目から3回目までで過去「新記録の参加申し込み」を受けてはいるが、西館改造で高校生用の教室には余裕があるし、「のぼり調子」の今、敢えて門戸を狭める必要はないと改めた。「来るもの拒まず」である。昨年の4回目の参加者は535人であったが今年の4回目は今朝段階で386人となっていた。当然、減少するのは織り込み済みである。しかし1回目から4回目までの通算申込者数値で言えば何と446人も申込者は増えており、やはり「門戸を広げて」おくことは効果あることが証明された。尚且つ「欠席率が例年並みの数値」で最後の最後に説明会に参加する受験生と保護者の意気込みに私は少し驚いた。「本気」なのである。
とにかく今日は「過去の参加者の個別相談会」と新規の参加者への4回目の説明会の同時進行である。その為に説明会の方は30分繰り上げて9時30分スタートとした。今年最後の大イベントであり、学校全体で取り組む。私は部屋で単純にこの増えた525人の専願、併願混ぜ込みの戻り率を勝手に設定し、仮計算すると入学者増への効果予想は約40人程度となり、昨年の966人にプラスすれば何と私の希望数値である1000人に届く計算になる。これはあくまで計算上の「捕らぬ狸の皮算用」であるが、本校はこのようにして教室の準備と教員の手配をする。
昨日は初めて経験した光景を見た。何と泉南市の中学校が校外学習(いわば遠足)として弁当持参で本校の見学会に来てくれたことである。私立高校の授業料無償化は今までに無かった様相を生み出しつつある。2年後には公立高校の入試システムが変わる。この2年間で府内の中学校生徒の思考・行動パターンが大きく変わると私は思う。それ故に我々がとるべき対応の根拠を具体的に、統計データと情報、経験値からくる考察で数値化しておかねばならない。計算するところが実に面白いし挑戦的である。私は高校校長に入学後、新入学生に対して「貴方は何回目の説明会に参加されましたか?」等のアンケートを取り、翌年度以降の入試広報行事予定に反映するように指示をした。
「闇雲ではなく、確率は低いかも知れないが、とにかく何か根拠を求めて」動くことが我々には肝要である。それが「戦略」で、戦略を持ってやって来たから今日の浪速があると思う。役員や同業の方の中には「どこまで規模を拡大するのですか?」との問いがたまにあるが、答えは「浪速に入りたいと願う生徒」は勿論入学試験は課すが基本的に入って貰う。「非常最大限界」まで我々は教室を用意して待つのですと答えるようにしている。今日で神様しかご存じない来年度入学者数はほぼ決まった。後は「天命を待つ」のみである。