2019年8月20日火曜日

橿原神宮の社報「かしはら」より


橿原神宮の久保田宮司様からご丁寧なお手紙と神宮の社報を送って頂いた。手紙は私信なので宮司様のご了解を得ないと、このアラウンドにはアップ出来ないが機関紙「かしはら」は公的なものだから問題ない。第175号の1面トップに上げて紹介して戴いている。何よりこの文章で「海道東征」の意味が手に取る様に分かる。さすがに初代天皇である神武天皇をお祀りしている橿原神宮の宮司様だと深い敬意を表したい。確かに一般のお方でも「海道東征って何のこと?」となっているのは不思議ではない。私はこのような機会を得るたびに海道東征の紹介を続けて行きたいと思う。



「海道東征 浪速」

五月一日第百二十六代天皇陛下がご即位あそばされました。平成から令和の時代を迎え、多くの国民が天皇皇后両陛下をお祝いする気持ちを表していたのは感動的でもありました。

橿原神宮では午前十一時より「践祚改元奉告祭併せ始之月次祭」を斎行申し上げ、新帝御即位と新しい元号に変わったことを、御祭神神武天皇並びに皇后に御奉告申し上げた次第であります。


この慶事にあたり大阪市住吉区の学校法人浪速学院木村理事長の御厚意により浪速高等学校・浪速中学校の吹奏楽部員による「海道東征 浪速」を奉納演奏頂きました。

この曲は信時潔作曲、北原白秋作詞による交声曲(カンタータ)であり、昭和十五年紀元二千六百年に奉祝曲として作られた神武天皇御東征を描いた名曲であります。



御即位前の神武天皇が兄宮達と政をおこなっておられた日向高千穂に始まり、天業をおし弘めんと国の真中である東に向かう為の美々津からのお船出、御東征の途次を描き困難の末に橿原宮で即位され、我が国が建てられたという、壮大且つロマンに満ち溢れたものであります。戦後は、殆ど演奏されることもなかったのですが平成二十六年二月十一日建国記念の日に熊本県で戦後三回目となる演奏がありました。このマスコミ報道を聞き及び、何時の日か橿原神宮で、演奏の機会を得て御祭神にお聴き頂ければと漠然とした思いではありますが持ち続けておりましたところ、以前より面識ありました木村理事長より大阪天満宮寺井名誉宮司を通じて「海道東征」奉納演奏のお話を頂きました。


時恰も新帝陛下御即位、令和の御代が始まった実に時機に叶った、大変有難いお話と承り、令和元年五月二十七日橿原神宮内拝殿におきまして「海道東征 浪速」の奉納演奏が叶いましたことは、誠に嬉しく正に御祭神のお導きによるものと有難き極みに存じた次第であります。

木村理事長は「海道東征」を学院曲として相応しいと考えられ、信時潔氏の御遺族のお許しを戴き吹奏楽として編曲したうえで新たに曲名を「海道東征 浪速」とされたと承りました。


私自身今までに二度、交声曲としての「海道東征」を聴いておりますが、吹奏楽としては初めて聴くことになりますのでどの様な演奏になるのかとても楽しみにしておりました。

畝傍山からの風が僅かに心地よく、辺りが新緑に包まれた中で、理事長以下役員・学校関係者・中高学校各クラス代表生徒・保護者の見守る中、吹奏楽部員八十七名は山本吹奏楽部顧問のもと素晴らしい演奏を聴かせて下さいました。




今より二六八〇余年以上前、天照大神の「天壌無窮の神勅」のもと、この葦原の中つ国を人々の為に正しい政を行い、世界中の人々が恰も一つの家族の様に互いに慈しみ仲良く平和に暮らせる世の中を目指された神武天皇の建国の精神が高らかに奏でられたのであります。

「海道東征 浪速」を聴かせて戴き、改めて御祭神神武天皇の建国の大偉業を広く国民に訴えて行かねばならないと、思いを強くした次第であります。

そしてこの大きな感動をもっと多くの皆様に味わって戴きたいものと明年の御鎮座百三十年の佳年に再び橿原神宮での奉納演奏を理事長にお願いしたことは申すまでもございません。

                   橿原神宮宮司 久保田 昌孝