風に秋を感じながら、今日は昨日に続くクラブ体験入学の日であった。極めて重要な入試広報活動である。私立高校の生徒募集にとって有効な手段は色々とあるのだろうが、我々は「奇を衒わず」真正面から正攻法で攻めている。「裏ワザ」などは「胡散臭い」からしたことは無い。だから多くの影響を与える公立の先生方と塾の先生方の信頼を勝ち得て、今日の姿が有る。何をやるにも「誠意と謙虚さ」が最後の決め手だろう。府内の100ほどの私立高校がそれぞれの経験と学校の特色で8月の私学展以降、全面的な生徒獲得競争に入ったと言える。
本校は極めてシンプルである。「百聞は一見に如かず」だ。とにかく学校に来て貰って最新鋭の施設・設備の中で直接に高等学校の先生といわれる人間と接し、「雰囲気を知って貰う」ことが大事だと私は思っている。この「雰囲気」「感じ」が最後は決め手になってくる。「相性」と言っても良いかも知れない。100校ある私立高校は歴史も形も設備も理事長も一般教員も何処を取っても同じものは無い。それぞれに匂いと味があり、それを分かって貰い入学を決断して貰うのが生徒募集活動である。
学校に来て貰う機会を増やすこととその努力は極めて大事である。学校の職員室に据わっているだけで生徒が来るような学校に成れば、それは素晴らしいが、今の本校では有り得ない。殆どの私立高校でも同じような状況だと思う。教職員の負担軽減の為に受験生にそのような「直接触れる機会」を減らすなどトンデモナイ話である。それをして行けば何時か生徒は振り向いてもくれない学校になるだろう。世の「栄枯盛衰」にはそれなりの理由がある。
生徒が来てくれて、入学を決めて呉れ、それで初めて我々は「飯を食べて行ける」。「教職員を整理解雇する必要が無くなる」。これは間違いのない真実である。公立高校は3年間定員を割れたら整理統合すると条例で定められているから、本当に温かい施策だ。学校数を減らして教職員を多校に回せばそれで済む。公務員は身分が保証されているから懲戒か分限以外に教職員を首には出来ないし、まして整理解雇などは有りえない。
私立は教員を回す学校などどこにも無い。職を失うか他校に移るかしかない。他の私立が採用してくれるなどは期待しない方が良い。加齢のベテランが専任教諭で採用される確率は極めて低いと思う。だから私立の教職員は厳しい環境にある。これは明治維新以降、本質は変わっていない。「官高民低」である。確かに公立の人材の多くはスタート時点では高いポテンシャルを有し、教員生活をスタートするが最も大切な「育ち方」が私立に比べて必然的に「緩く」なっている。それは生徒募集に私立程の苦労は無いからである。職場が全く無くなり、職を失うことは無い。
私立は「ボヤーと生きていたら」徐々に衰退の道を辿る。だから私立の人材育成は厳しいものになる。その代り「人間力」「人間性」は相当磨かれる。公立校長を4年、私立高校13年も続けてきた私だけが言える言葉ではないか!今やこのような経験を踏んだ大阪教育育界の人間も私以外は居なくなった。「老兵」になったが今や私だけだ。それだけに本校の教職員には最後の力を絞って発信しなければならないと思っている。「甘えていたら火の粉は我が身に降りかかると」。
前述したように昨日と今日は高校のクラブ体験であったが、昨年までは7月末に1回、8月末に1回と合計2回の機会であったが今年から土日連続で延べ4回の体験機会とした。中学3年生の参加者が多いクラブもあれば少数の処もある。それは当然であるが、少ないからと言って「手を抜く」ようなことは無い。逆に多いからと言って「ぞんざいに扱ってはいけない」。硬式野球部、軟式野球部、吹奏楽部などは極めて多くの中学生が来てくれた。恐らく新記録の数値ではないか。