2021年2月12日金曜日

「明鏡止水」ならず「人事を尽くして天命を待つ」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森さんが「明鏡止水」と言う言葉を残されて会長職を辞される。明鏡止水とは、邪念のない、落ち着いた静かな心境をいう言葉だが、内心はそのようなものではなかろう。女性蔑視発言の責任を取って辞任をされるのだが、個人的に残念でならない。総理を務められ、今日まで多くの功績を挙げられ、83歳の御高齢で病気と闘いながら、世界とネットワークを組み、大きな「存在感」を持ってここまで組織を引っ張って来られたお人である。何時から日本人は寛容さを失ったのか。あれはまさに集団リンチみたいなもので不愉快極まりない。 

寛容こそ日本人の美徳であると信じている私には連日連夜の報道は目に余るものだった。正式に謝罪をされたではないか。一度の失敗を許すことは出来ないのか!後5か月後に迫りコロナ禍の中で五輪が今後どうなっていくのか心配である。誰であれ、組織内の一人の失敗を全員が一枚岩になってカバーし、全力で立ち向かっていくのが「国益を守る」ことだと私は思う。日本人は変わったのか。擁護する意見もあっただろうにそれは全く報道されないし、あの騒ぎなら擁護など言い出せば火の粉が我が身に降りかかってくるから、まさに異常な世の中である。国内外で反発や批判というが国内で騒ぐから海外でも話題になるのである。「寛容さと許すという国民風土」を無くしたら、生き辛い世の中になっていく。コロナの上に今回の騒動は私の気持ちを更に萎えさせるものでとても明鏡止水どころではない。 

私の今の気持ちは「人事を尽くして天命を待つ」である。自分の全力をかけて努力をしたら、その後は静かに天命に任せるということで、事の成否は人知を越えたところにあるのだから、どのような結果になろうとも悔いはないという心境のたとえだ。10日が筆記試験、11日が採点、そして今日が12日と入試作業も3日目に入った。早朝、理事長・学院長を交えた入試広報部作成の原案を私の部屋で全管理職が集まり、数値を眺めながら議論し、その後の「合否判定会議」に上程する原案の最終案を決める。判定会議の出席メンバーは校務運営委員会のメンバー並びに教科主任が加わり、そこで正式決定がなされる。その後、教務部と情報委員会が印刷物のアウトプットを出して「合否通知の封入」作業だ。個人宛と中学校宛に出す封筒で氏名や学校名などが「入れ違い」にでもなったら「万事休す」である。個人情報がさらけ出ることだけは絶対に避けなければならない。一番気を使う場面である。しかし極めて順調に終わり、正午には封筒入れが完了した。素晴らしい。


このようにして私立高校の入試作業は続いていく。小緊張が3日間も続くと結構しんどいが、数が多いのは逆に「やりがい」もあって蓄積される疲労ではない。本校では外部専願、外部併願、内部生で合計1728人分の封筒だから余程緊張感を持ってやらないと失敗する。ここだけは「口を酸っぱく」して言ってきたから幸い今までトラブルは無かった。しかし今まで無かったからと言って、今年もないとは限らないところがこの種の作業の大変なところである。「ペーパーレス」という考えは勿論あるが、まだそれが府内私立の主流にはなっていない。本校は今日の18時から20時の2時間、ホームページ上で「WEB合否発表」を例年行っているが、それでもまだ郵送がある。当面は「両刀使い」である。 

合否判定の事は詳しくは書けないが、概して今年の受験生は得点率が高い。嬉しい話であり、中学校から送られてきた「内申」の5段階評価でもヒストグラムの山が右側に寄っている感じである。過去のデータからシミュレーションをすると令和3年度も16クラス規模になるかも知れない。まだまだ変動要因はあるが、場合によっては17クラスも視野に入れての教員手配が必要かも知れない。男女別では何と、何と女生徒比率が初めて40%台に乗るかも知れない。名実ともに共学校になった。私は今日の判定会議で「浪速を希望する受験生」の為に「2月17日(水)に1.5次入試」を行う旨、決めてその準備に入るよう指示をした。今ここで満足し手を緩める訳にはいかない。