本校は神道系の私立学校である。私立高校を分類すれば「神道系」「仏教系」「クリスチャン系」「大学系列」「全くの独立系」と大きく5系列に分来されるが実は神道系の学校とは多くない。神道組織が設立母体となっている日本国内に現存する学校、および神道組織と関係の深い人物が設立した教育機関が母体となっていて日本国内に現存する学校に関して言えば皇學館中学校・高等学校、國學院大學久我山中学校・高等学校、國學院大學栃木中学校・高等学校に「浪速高等学校・中学校」がある。天理教は、教派神道の一種であるが、一般的な神式とは異なる点もある。従って我々は「神社神道系の学校」に勤めているという方がより適切である。
着任以来、学校改革の過程で私が最優先にしたのは「神社神道系の学校と言う歴史的事実」を前面に押し出した。それまではどちらかと言えば「出自を微妙に隠す」みたいな雰囲気があったが、「それは間違いである!」と断定して学校案内もどの資料も「学院神社」を前面に押し出して「本校の旗印」としたのである。戦後、神社神道は戦争犯罪の元凶とばかりに「民族的、右翼、国粋的等々のレッテル」を貼られ、苦労した先人の思いを知っていただけに「古事記以来の日本文化の原点」を私は標榜し、新校舎がなった段階であらゆる場所に「神道の息吹」を生徒に感じて貰うように殊更務めた。結果としてそれは間違った戦略ではなく、逆に「明確な教育の理念」が受験生、保護者に認知されて生徒数が倍増したのである。神社神道を前面に押し出したことで我々は「ご神恩」「ご神慮」「ご神威」を戴き、「神風が吹いて浪速は復活」したのである。
弥生3月1日、「高天原スポーツキャンパス・・・乾坤一擲ドリームフィールド」の竣功清祓い式を施工業者さんである日本道路さん、南海辰村建設さんはじめ関係者とラグビー部、サッカー部、アメリカンフットボール部、陸上競技部の選手代表、それにクラブ顧問の教員を入れてコロナ対策を徹底してささやかながら記念式典を行うことにした。大体この競技場のネーミングを見て欲しい。高天原は天上世界の事であり、乾坤とは古事記序文に最初に出て来る「天地のこと」である。ここに来る人、使う人に「自分は今どこにいるか」を知って欲しいが故である。私は豪華なクラブハウスに「神棚」を設置し、ここに「産土神」と学院神社の神々の分霊をお祀りする。
又大切な事は「伊勢神宮」の御事(おんこと)である。国旗掲揚台の傍に「神宮遥拝所」の碑を建てることにした。学院神社を設計建設してくれた松原工務店さんが過日「素晴らしい檜」を調達し、私に見せに来てくれた。この真新しい柱に私は墨痕鮮やかに揮毫し、それを彫ってこの美原の地から遠く伊勢市の内宮「天照大御神」を遥拝するのである。逆に言えばこの競技場は皇祖神、国家神である伊勢神宮の神々から見守られていることになる。霧雨が体に静かに降りかかり、体に沁み込んでいくような配慮が逆に深く静かに生徒の心に根を張って、「敬神崇祖」と「報恩感謝」の心を育むと私は信じて疑わない。教本や教義を振りかざして大声で宗教の根本を攻めるよりか、自然体で「風と体で感じる宗教・修養」として浪速学院の精神土台をこの地においても内外に明らかにするのだ。