本日は3限目の時間を使って「大阪880万人(防災)訓練」に併せて本校も「防災避難訓練」を行った。毎年9月初頭に行う。11時大地震発生、11時03分頃、大津波警報発令の状況想定で2500人もの生徒を避難させる訓練である。高校生はグランドに、中学生は体育館に安全に早く避難させるというものだが、当然あるべき姿と目の前の訓練の状況が一致しない。だらだらと、酷いのは友達同士談笑しながらの避難を眼にして、まあ幾分仕方がないと言ったらそれまでである。しかし昨年に比べ点呼までの時間は1分ほど長かったが、退避後の待機している姿勢や態度はここ数年で最も良かった。
やる以上はしっかりと訓練しなければならない。「時間を無駄にするな!今を一生懸命にやれ!」と叫びたいところだ。特に大切な事は「防災意識を高める」ことがこの訓練の目的である。従って訓練後の「講評」が重要である。通常は「講話」であるが、このような場合は、時には鋭く指摘や指導を入れないと意味は無い。だから講評なのである。これは生徒だけを対象にしたものではなく、教職員に対する指摘・指導がより重要だと私は考えている。思い起してみよ!東日本大震災の津波で宮城県石巻市立大川小学校の児童74名、教職員10名が死亡・行方不明になった事故である。これは「学校管理下で失われた大勢の命」であった。教員の避難指示が適切に行われず、事前の対策も怠っていたとして石巻市と宮城県に対して訴訟となった現在も進行中の案件である。
私は今日の講評で前述した大川小学校の痛ましい事故に触れ、生徒を預かる学校と教職員の責任の重さをまず話した。そして大正12年(1923)、本校が創立された年に発生した関東大震災の災害と暦の上で台風の多い二百十日に当たることから昭和35年(1960)に地震・津波・台風・高潮などの災害に対する認識を深め、平時の備えへの確認の為に「国民防災の日」が定められたという歴史的経緯に触れると生徒は真剣に話を聞こうとする。校長たる者、教職員と生徒に滑舌良く話を伝えることが出来なくなったら潔く辞めた方が良い。私はそうする。
そして最後に南海沖地震の発生の確率について身近な問題として生徒に知らしめる必要があった。南海トラフの話であるが、過去1400年間を見ると、約100~200年の間隔で蓄積されたひずみを解放する大地震が発生しており、近年では、昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)がこれに当たり、既にこれらの地震から70年近くが経過しており、近年では今後30年以内にマグニチュード8から9クラスの大地震が発生する確率は70%から80%だと研究結果が出ていると生徒に述べた。ここまで来ると身近な問題として生徒は声一つ立てず聞き耳を立てていた。今日の訓練の成果である。
今日は素晴らしいマニュアルの上に沿った訓練であったが実際は「何時、なんどき、何処で災害が発生するか」、誰にも分からないだけにまず以て「もしもの時はこうする・・・」と言った意識を有することが重要である。どこまで生徒に伝わったかどうか?こういう訓練は私に取ってストレスになる。しかし本校の敷地内で災害による生徒や教職員の命を守るのは私の責任である。