2020年2月29日土曜日

ウイルスと海外修学旅行?

全国一律に小・中・高の臨時休業を決断した安倍総理への批判が「かまびすしい」が、一体何処がいけないの?国のトップとして国民の健康を守るために、現下の状況からトップダウンで決断したことだ。例え結果から、少し行き過ぎだったとしても責められる話ではなかろうに。逆に日本国中に感染が拡がって体力の弱い児童生徒が罹患し、あちこちの学校で死者がでるなど大混乱したら、それこそ大きな責任を問われるだろう。今世界はそのような事態ではない。何で分からないんだろう。こういう時に「手順を踏め」という人が必ずいるが今は非常時だ。下から順番に上げて稟議するような時間はない。手遅れが一番怖い。「スピード」が最も大事である。かまびすしい人は「暫く黙っていてくれないか!」。

総理の、この大きな決断を受けて後は所管官庁や行政組織と「現場の我々」が具体的にどのように進めるかが問われている。和歌山の県立トップ校である和歌山桐蔭高校は試験が終わった直後に卒業式を行った。それで良いのではないか。私立、公立それぞれの事情や考えがあってまずは生徒への罹患防止と「その後」を最優先に考えて方向を示すのが校長の仕事だ。こういう場合、学校の責任者たる校長先生は、あまり「嘆き節」は唸らないほうが良い。言ってみたい気は分からないでもないが言ってどうなるものでもない。マスコミはその声を待っているだけの話で「現場の混乱」として、既に記事の原稿は出来ているのだからね。その手に乗らないほうが良い。

昨日夕刻16時12分、大阪府私学課からファックスが入ってきた。これが公式要請文である。手間取ったのは内部でも相当の議論があったからだろう。それによれば3月2日から4月始業日までを“原則として”児童生徒の活動を停止すること、ただし卒業式や入学式、入学者選抜などの「必要最小限な規模」とすること等が書かれていた。私はこれらの文章を読んだ上で本校の対応を決め、生徒・保護者への説明文を作成した。今日の試験最終日後に生徒に手渡す。すなわち臨時休業とする期間は3月2日から3月17日までとし、「3月18日の修了式はやり方を変えて実施」する。その後は春休みだ。優秀な教職員が粒ぞろいの本校は今日でもってすべての段取りが終わり、臨時休業問題は「一件落着」である。


ただ事態は揺れ動いており、今後の新型の感染の拡がりによっては対応が変化する。これとて当たり前の事で、一旦決めたことが変わると、批判する人が多いが、間違っている。「しなやかに柔軟に」対応していくことこそ「大人の知恵、組織人の知恵」ではないか?よくよく観察しているとそのような人は「意思決定に参画していない人」が圧倒的だ。実情や経緯などを知らないから好き勝手なことが言える。知らない人と関係ない人は暫く「口を閉ざしておいてくれませんか!」。

WHOは「パンデミック」の可能性を示唆したように、未だに流行の兆しは大きい。専門家でも右往左往で、まして専門家でもない私だが、何とか暖かくなれば終息するかも知れないと微かな期待を持っている。しかし2002年の「SARSサーズ」の時は約9か月間もかかっているから油断はできない。


私は本日この11月に海外修学旅行を迎える高校1年生を試験終了後に部屋には集めず、各ホームルーム教室でテレビによる校長講話を行った。現時点でフランス112人、ドイツ70人、アメリカ120人、オーストリア39人、東欧北欧69人、イタリア277人、南西諸島25人となっているが、心配はイタリアである。今世界で最も感染者の伸びが高いのはイタリアであり、万が一新型コロナウイルスが11月までにイタリヤや各方面で終息していなかったら次の手を考えておかねばならない。2009年のパンデミック宣言が出された新型インフエンザの時はやむなく中止して国内修学旅行に切り替えた経験がある。とにかく「色々と、次から次とあるのが学校」である。平穏無事に毎日が過ごせる学校などはどこにも無いのではないか。それらを生徒大事に処理していくのが我々の仕事だ。