今日は私の愛車である「オデッセイ」の話をしよう。愛車と言っても個人所有ではなくて学校車なのだがここ2週間ほど「調子が悪くて」、出入りの自動車会社に診断して貰ったところ、そろそろ寿命だと言う。ハンドルを切ると「ウギーン」と大きな唸り音が出て若干ハンドルが重たくなるのである。一定の速度でハンドルも動かさない時は良いのだが速度を落としてハンドルを切ると嫌な感じの異音がしてくる。まだ15年、まだまだ使える筈と此方は強調したが「ステアリング部品から油漏れ」が原因と言う。もう古い車で部品の入手に時間がかかるし高額だと言い張る。これを受けて常務理事などは「この際、買い替えませんか!」ときた。
14年間、この車に乗り続け、この間6回ほどの車検を取り、走行距離数は14万3000キロを超えた。極めて愛着有る車であるが「仕方がないかな」と思案せざるを得ない羽目になった。このコロナの影響で中国からの半導体の手配などで新車でも納車には最低でも半年以上はかかるらしく、せかされて、発注するには今だと言う。先の理事会でも話題になり、「買い換えたらどうですか?テスラが良いですよ」などと自分の乗っているアメリカ製の電気自動車の宣伝まで出て来る始末となり、結局買い替える決断をした。私は愛車に別れを告げたのである。愛おしむように「有難う、大変お世話になりました」とボディを撫でたのである。
「寂寥感(せきりょうかん)」という言葉がある。物悲しい気持ちや様子のことを言い表す言葉であるが今の私にはこの言葉がぴったりとくる。古い車から新車に乗り換えるのだから「嬉しい気持ち」が無いと言えば嘘になるがそればかりではない。これが惜別の寂寥感である。このオデッセイにはとにかく「学校改革の思い出」が詰まっており、伊勢神宮や千早赤阪村、とにかく様々な場所に行きまくった。この学校に理事長として着任したのが平成18年12月、そして平成19年4月には高校、中学双方の校長兼務となった。その時に「車が無いのはご不便でしょう」と言って平成19年度7月に当時のPTAからこのホンダオデッセイの新車を寄贈して頂いたのである。学校は倒産寸前の貧乏だったが当時のPTA会計はまだ潤沢で、背景には「学校改革への期待」と「新理事長・校長への期待」があったのは間違いない。要はこの車に乗って改革を突き進んで欲しいという「応援歌ならぬ応援車」だったのだ。
ナンバーは「728」(なにわ)。2019年9月7日のアラウンドにはこの辺の事が記述されているが、この時私は「このオデッセイを替える気にはなれない。学校が貧乏だった昔を忘れないためである。私が居る間はこの車を使う積りだ。」と書いている。自動車屋さんはここぞとばかりに様々な車を持ってきた。最初はトヨタのハリアーで次がベンツのワゴンであった。私が出した条件はトランクルームが広く、ポスト木村時代になっても学校として便利な車が良い。出来れば今の車と同じ「バン」が良いと強調した。他の私立学校のトップには運転手付きのセダンが多いが私は自分で運転する実用車を好む。
結局、最後は今と変わらぬ「オデッセイ」に行きついた。そう本校2代目の理事長車は同じ本田オデッセイになった。ただ今の時代、地球環境を考え「ハイブリッド」にした。そして2代目のナンバーも「728」と同じにしたのである。「ODYSSEY(オデッセイ)」は「長い冒険旅行」という意味で、語源は古代ギリシャの長編叙事詩Odysseia(オデッセイア/主人公オデッセウスが体験する10年間の冒険物語)」からきたものであるが、私の長い冒険旅行は2代目のオデッセイでまだまだ続く。色はカタログなどの主役は黒であったが、私は迷うことなく「白」にした。黒よりも白が良い。私は何よりも色彩では白が好きである。「ホワイトナイト」、経済用語であるホワイトナイト「白馬の騎士」になりたい。だから断然白が良い。果たして納車は何時の事になるのだろう?