大体、1週間か10日間のピッチで建設現場を視る。これが「施主」たる私の仕事である。まだ正式な工事は始まっていないが、7月中には建築確認が下りて着工となるだろう。今日の現場は丁度「かかりの前の安全ミーティング」をされていた。大切な事で「完全無災害」で工事をやり遂げて欲しいと思う。まだ「更地」の場所には区分けがしており、一目瞭然で建物の輪郭が私には目に飛び込んでくる。2年後であるが、健康に気を付けてこの100周年記念事業である「新浪速中学校新校舎」の竣功まで私は見届ける積りだ。この15年間、「建設の槌音のする学校は良い学校」と言い続け、実践してきたが、実際に槌音の途切れることはなかった。だから「良い学校」になり、生徒も増えて来たのである。私立学校の学び舎は機能的で美しい校舎でなければならない、これは私の信念である。
「短期留学」(Short-term study abroad)という言葉がある。大学生の海外留学は極々普通の事であり、期間も1年と言うのが一般的であるが、これに対して高校生には短期留学という言葉があるように数週間、3か月、6カ月、そして1年というのが多い。今や高校生の海外留学がブームになってきており、私の高校生時代と比べれば「隔世の感」がある。本日、7人の高校生が見事に海外留学を終えて浪速高校に復帰してくれた。一人は男子生徒で、個人でカナダのアルバータ―州の高校で頑張ってくれた。カルガリーから車で1時間程度の人口1万人程度の町にある高校であるが、この学校は前期後期のセメスター制であり、約1年の留学経験をした。今朝ほど本人に話を伺うと最初の半年は英語で授業を受けることに高い壁を感じ、相当苦労したが諦めずに努力して後半は成績も大幅にアップしたと報告してくれた。努力した人間が見せることのできる素晴らしい顔をしていた。
次は国際コースの生徒で6人は全て女生徒であったが,これまたカナダに5か月間の短期留学である。当初はこれも相当な苦労があったが乗り越え、学校とホストファミリーにも慣れ、充実した海外経験をした様子が今朝の顔から容易に読み取ることが出来た。費用が220万円というから簡単な話ではないが、娘や孫娘の留学に「ポンッ」と費用が出せる経済的余裕があったればこそ可能であり、私は親への感謝の気持ちを忘れてはならないよと諭したのである。短期留学を高校生でするメリットは、価値観や考え方を広げることができ、留学の経験を今後の人生に役立てることができることだ。別に英語が「ペラペラ」に成らなくとも良い。「世界は広い」ということを知るだけでも良い。若い段階で他民族多、異文化の中で生きると言う事の経験は何事にも代えがたい。
この7人は滞在中、ホームステイや学生寮を利用しており、常に学生や大人がまわりにいる状況で過ごすことができており、自分にとっても親にとっても安心な環境であったが、それでも家族と離れ、長期間、頑張った7人に100周年記念の「ご朱印帳」を一人一人に手渡した。そして「留学はあくまで起点」であり、今後とも努力するように激励した。今や日本でも留学の情報を発信している経験豊富な「留学エージェント」は極めて多い。本校は留学生の受け入れには熱心であるが、留学生を出す方にも今回の経験を活かして積極的に進めて行く積りだ。そして浪速高校から直接に海外の大学に進学していく生徒を増やす。そういう意味で令和5年は金字塔の年になった。7人の高校生が短期留学を経験し、彼等とは別に海外の大学に7人の生徒が進学するのだから。