2020年9月3日木曜日

おもてなしの心

「おもてなし」は、「もてなし」に丁寧語「お」を付けた言葉であり、その語源は「モノを持って成し遂げる」という意味だそうだ。 また、「おもてなし」のもう一つの語源は「表裏なし」、つまり、表裏のない「心」でお客様をお迎えすることだという。これは東京オリンピック誘致の時に、あるタレントが使って一躍流行語になったが、昔から日本にあった「美しい日本、日本人の心」としての存在感の有る言語である。英語では「ホスピタリィティ」と言うが、世界中に同じような言葉はどこにもある。即ち人間社会は世界共通概念として人を迎える時にはそれなりの礼儀と心のこもったもてなしが文化として確立しているのである。

2学期は順調に始動し、コロナも幸い見た目、鎮静化の方向で私は安堵している。来週の9日水曜日は「塾長様への来年度入試の説明会」が予定されており、今その準備に余念がない。コロナ感染防止の観点からすれば「リモート説明会」が適切かもしれないが、私は今年は参加者が幾分減少することを覚悟して、とにかく学校にお越し頂き説明会を開くことにした。「百聞は一見に如かず」だ。昨年はコロナなどはなく大盛況だったことを思い出す。この一年の変わりようを誰が想像しただろうか?

 

まず席は1.2メートル間隔を空けて設置し、換気を徹底し、校内案内も工夫を凝らした。特に気を遣ったのはお昼時なので用意する「昼食」だ。新鮮な食材を使い、勿論当日に調理するのだが、去年までは6階の天空レストランで召し上がっていただいたが今年はお持ち帰り、すなわち「テークアウト」スタイルとした。その内容は「和洋風折衷のお弁当」と「サンドイッチ」とした。私はもてなす側の亭主として試作をして貰い事前にチェックした。主人が知らない味のものをお客様にお出しするわけにはいかないからだ。



又重要なことは「トイレ」である。家のトイレを見ればその家が分かると言って日本人は昔から「トイレ掃除」を徹底して美しく保ってきた。特に来客がある時などは特別に扱ったと思う。本校は恐らくトイレの数の多さでは府内でも有数の学校だと思うが何時も美しく清潔だと言われてきている。東館一階にはご来客用兼教職員用トイレが特別仕様で設置したが、ここは最も重要な場所として「ハンディの有る方専用」と並立して設けている。特に塾長様が多く来られる時などは生徒の使用を遠慮させるために立て看板を立てて制限をするようにした。ご来客と生徒が並んで用をたしている光景は日本のおもてなしの精神の根幹部分では違うだろというのは私の考えである。これはこれで行かせて貰うと制限をかけた。

 

おもてなしの心の具現化は案外難しい。こういう方面について基本的なセンスと言うか感性が求められる。お越しいただいた塾長様に本校の理解を深めていただくために「お弁当」「お土産」と言っても社会通念上許される範囲のものでなければならない。エルメスのスカーフなど用意できないが、それでも心のこもったものは知恵としてあるものだ。しかしこのような物よりも何よりプレゼンテーションの中味が重要な事は言を待たない。高校、中学に亘った説明となるので冒頭のプレゼンは理事長・学院長たる私が行うが、まず4月から新任の高校校長、中学校長を壇上に上げて私の口から紹介する積りだ。コロナの影響で参加者は今のところ昨年対比で幾分減っているが我々は心を込めておもてなしの精神でこの説明会を成功させたいと思う。