2020年11月4日水曜日

某大手塾の幹部先生のご来校

「静かなる戦い」が始まっている感じだ。静かなるとは会場を埋める参加者と学校側の説明者の熱気、勢いみたいなものが全く空間にない入試説明会の事である。コロナ禍の中で体育館に大勢を集めて一堂に会して入試説明会をすることは危険と考え、本校では徹底したリモート・オンラインの入試説明会を実施している。私の観察ではどうもこのやり方も悪くはないとうよりは小グループでの分散の方が参加者は集中して学校側の説明を聴収しているからである。お祭り的なものから実際的なものに変わりつつあるというのが私の感じ方である。オンライン・リモートは決して悪くない。来年度入学者を一定程度確保するために浪速高等学校、中学校の関係者は校長以下頑張ってくれている。その先頭に立って走り回ってくれているのが入試広報部である。

 

入試広報部は私立学校にとって、ある面最も重要な組織と言える。本校でも過去、入試広報部の重責を担ってきた人物は管理職に登用され組織の中枢に殆どの先生が昇進している。私は今理事長・学院長として関係者にコロナ禍の中でご家庭の経済問題から私立敬遠の流れにならないよう、「私立授業料無償化」施策と更に知恵と工夫で本校の良さを自信をもってご納得いただき、向かい入れるように頑張って欲しいと「発破」を掛け続けている。キーワードは「女生徒比率の向上」と「専願率の拡大」だ。特に最近ではこの傾向が強まっており、「本校の勢いの源泉」はこの点にある。「女生徒の声がこだまする学校」はまさしくバランスの取れた学校であり、男子生徒にも良い影響を与える。「どうしても浪速で学びたい、クラブをしたい!」と言う生徒は「専願入学者」となる。1人の専願希望者は20人の併願希望者に相当する。

その為にはまず我々の仕事は「学習塾」との連携が極めて重要である。日本において民間教育の果たしてきた役割は極めて大きい。むろん、江戸時代後期以降の日本の教育の一端は私塾が担ってきたとも言える。たとえば、山口の松下村塾を初めとして、大阪の適塾、大分の咸宜園、長崎の鳴滝塾など多くの私塾が存在し、幕末に幾多の人材を輩出したことは良く知られている。近世に入っては、習字やそろばん、音楽(ピアノ、バイオリンなど)から体育・スポーツ(柔道・剣道、バレエなど)といった「お稽古塾」も含まれるが、現代教育においてより重要な役割を担っているのが「学習塾」である。親御さんがまず考えるのは「学力」なのである。学習塾の歴史を知れば日本社会の構造変化を嗅ぎ取ることが出来る。この事は又別途Aroundに書いてみたい。

 今日は塾業界で大変に有名な某大手塾の幹部が学校を訪問してくださった。普通は余り見掛けない光景である。ここ数年色々とご指導、ご厚誼を賜っており私と大変気が合う立派な先生方である。私は心から歓迎し現在の塾業界の話題などを教えて頂き、話題は大きく広がり盛り上がったものとなった。お迎えする我々は人事異動もあったので紹介も兼ねながら高校、中学の校長と入試広報部教頭、入試広報部長の5人でお迎えした。一時期府内でも大きな社会問題となった私立学校と塾との癒着などはあってはならないから、この点だけは気を付けて我々の得意分野をPRさせて頂き是非一人でも多く、受験生を出して頂きたいとお願いしたのである。先生方は生徒の顔を見たいと言われ、瞬時を惜しんで教室を巡回された。私立高校の授業を見学されるというのが凄いことだ。多くのお褒めの言葉を戴き恐縮したが、特に嬉しかったのは教職員と生徒の挨拶を激賞して頂いたことだ。しかし成功する塾はやはりどこか見る目が違う。