2020年11月9日月曜日

卒業アルバムは悩ましい

学校には写真撮影の機会が多いが、これは「卒業アルバム」作成の為である。卒業アルバムは、学校の卒業生に対し、卒業後に在学時の思い出を振り返ってもらうことを目的に編集され、卒業時に各卒業生のみに配布されるアルバムで、小学校から大学、また専修学校にも共通して作られている。学童保育の「卒所アルバム」、警察官の学ぶ警察学校や消防官の学ぶ消防学校、自衛官の学ぶ教育隊、術科学校などといった職業関係の卒業アルバムも広く存在し、幼稚園・保育園では、「卒園アルバム」と呼ばれている。 今日も先月の中学校教職員撮影に続いて浪速中学校卒業生予定者の集合写真の撮影があった。





現在の中学校教員

 

創立当初の中学校教員

今日ではこの卒業アルバムには多くの意見がある。有り過ぎるくらいだ。「あんな物は要らない」「個人情報が入っている」「お金がかかる」等々だ。さらに学校に楽しい思い出がない、あるいは大した思い入れがないから不要とか、多くの人間が卒業後にアルバムを見返す、読み返すことは余り無いのが普通である。しかし学校においては、児童・生徒の在籍の事実を証明するための資料として「学籍簿」とともに保管しているが、アルバムの性格上、個人の顔写真や情報等プライバシーに関する事項も多く載せられることから、保管には留意している。従って本校の卒業アルバムには個人情報管理から、在籍していた人の、自宅住所や電話番号などは一切記載せず、顔写真と名前のみでレイアウトされて個人情報流出のリスクを図っているが、顔写真も氏名もダメとなれば卒業アルバム自体が意味をなさなくなってしまう。

 卒業アルバムは、学校の歴史とともにあり、多くの写真が使われているので、写真の歴史と重なる部分もある。もっとも古いもので、明治時代の中ごろには卒業アルバムは存在していたといわれているし本校では創立時の旧制浪速中学校の卒業アルバムが今に残っており、貴重な当時を知る資料となっている。本校の歴史を紐解く時に一枚の写真が全てを物語っていることもある。私は写真を撮ることも見ることも大好きである。今日では多くの人々も写真そのものには抵抗感はない。だから携帯電話でSNSや写メが日常のものになったのだろう。

 

このように個人が好きなだけ、自分のスマホに多くの写真を有している時代にあの重たいアルバムが要るの?の声は確かに分かる。だが歳をとってくると「昔が懐かしくなり」、特に集合写真は個人では持てないだけに時にアルバムを開くことも出て来る。その時の感慨はまた特別なもので私は「現時点では、そう簡単にはアルバム不要論に組しない」主義だ。今、日本の学校で「卒業アルバムは廃止した」と言う学校は今だ聞いていない。しかし何時かの時点で写真のアルバムが「デジタル化」された「デジタルアルバム」に衣替えする時代はもう目の前になったという気もする。現在の中学校のアルバムはA4版の大きさで重さが1100グラム、これを仮にDVDにすればわずか15.2グラムになる。卒業時に全ての卒業生に添付ファイルで送ってやればDVDも不要だ。個人のスマホに内蔵しておけば何時でも見られる。