朝一番に顧問の先生と一人の生徒が入って来た。何と先般行われた「第68回NHK杯全国高校放送コンテストの朗読部門」で本校3年生のTさんが全国5位の入賞を勝ち取ったとの報告だった。賢そうなTさんの笑顔が素晴らしかった。努力して報われた喜びがそこにはあった。都道府県参加数は5132人で予選があり本戦には294人の出場で5番目だから素晴らしい。普通このような大会は主催,共催、後援と大きな組織名のオンパレードとなるのだが、ご多聞にもれず、主催のNHKは当然であるが文部科学省、全国高等学校長会、一般財団法人日本放送作家協会などなど権威あるものだから学校の栄誉も大きい。外から表彰されて初めて本物になる。内輪で良かった、良かったと言っても詮無い話だ。外で戦って初めて栄誉を得ることが出来る。
学校は静かに夏休みに入った。ただ校内には教職員は通常通り、生徒も幾分少ない感じであるが普段と変わらない雰囲気である。違うのは幾分、開放された趣が漂うくらいか。義務とか強制とかから離れた名名が自分のスタイルで時を選び、自主的に取り組むスタイルはこうした長期休業期間中にはマッチする。時にはこのような状況を作り出すのも私の仕事だ。教室でカリキュラムにのっとった授業を受けるのも大切であるが、このような非正規授業の形も生徒の理解力を高めると思う。
今日から高校3年生は「夏季特別選抜講座」と銘打って8日間の学習特訓が始まった。私は「地獄の特訓」と称している。中身が凄い。駿台atama+共通テスト模試と河合塾の全統共通テスト模試の受験を通して解説・又演習、質問受けなどを毎日毎日繰り返し、現時点での自分の弱点を知らしめ、自分の受験学習の課題を自ら考えさせる本校独特の大学受験特訓である。今から12年ほど前から他の進学校に倣って私が始めた。場所は多聞尚学館、石清水八幡宮研修所、京都の旅館など変遷したが今年はコロナの事もあり、学校で行うことにした。選抜された80人程度の生徒に各教科から教員が28人も付くおおがかりなもので生徒は国公立大学を目指してこれからの半年の受験対策のキックオフとも言えるものである。真剣な面持ちで取り組んでいた。
高校3年生だけではなく2年生にも課している。2年生はさすがに8日間と言うのはしんどいから5日間とし、入試問題に対応する力を養成すると同時に河合塾の全統模試を使う。2年生の段階で一部の生徒は頑張っている3年生の姿を見せることで間違いなく顔付が変わってくるから不思議だ。学校では教師の顔を見ることも勉強になるが生徒は生徒同士、友人や先輩から学ぶことは極めて多いし、有る面先生よりも効果がある場面も多い。受験と言っても「技術が必要」であり、問題に向かい、回答する基本的な業、技を身に付けることは役立つ。このように手前味噌ながら本校の先生の生徒の面倒見は実に良い。
しかし若者の豊かな成長には勉強だけでは不足だ。勉強外で好きな事に一生懸命に取り組む姿勢と努力は大きな効果を生む。今日は大阪吹奏楽部コンクールが大東市立文化ホールであり部員は学校出発前に事前練習に取り組んでいた。私は激励に訪れたのであるが生徒たちの顔つきが素晴らしいのだ。8年連続金賞狙いで吹奏楽部には大きな目標があり、やりたいことと目標があることは生徒達を大きく成長させる。そういう意味でクラブ活動の意味は極めて大きい。しかしそれにしても吹奏楽部の部員の数が増えたものだ。私が着任した時は数名だったものが今では114人になった。大きな力である。ところで吹奏楽の演奏にオカリナは駄目なのかな?オカリナも吹く楽器だ。私が造るオカリナを使ってくれたら嬉しいが、駄目だろうな。音程が狂っていると言われて!