本校も本格的に教員採用の時期が来つつある。学校にとって教員採用ほど重要な事は無く、とにかく素晴らしい人材を確保したい一念に尽きる。誰を採用するか両校長先生の意見を聞きながら最後は私が決める、これが私の抱える仕事の中で最も重要で、神経を使うものだ。後で「失敗した」では取り返しがつかない。本校は浪速高校がメインだが併設の浪速中学校もある。生徒数は高校が約2100人強、中学が400人弱で総勢2500人、クラス数で62クラスを数える大規模校と言えるが、教員数で比較すれば、中学に比べ圧倒的に高校の先生の数は多い。これ以外には保有する学校は無いから採用した教員は中学、高校とローテーションを組むことになる。「行ったり来たり」だ。何か中学に行かされると、見た目、落ち込む先生がいるように見えるがそれは間違っている。教員として難しいのは圧倒的に中学校で、高校は言ってみれば生徒は幾分成長して大人になっており、又教員には「伝家の宝刀」がある。それは成績や素行で問題があれば「原級留置」といって留年を言い渡すことが出来るからだ。中学校は義務教育だからそれは出来ない。とにかく中学には教師としての必要な素養や資質の全てがあると私は確信している。だから中学校には相当優秀な先生を当てている積りだ。
今の高校教員も何時かは中学に回され、中学校教員も何時かは高校に回される。従って本校の教員に必要なことはまず「幅広いリテラシーと学力」である。これがあるから社会から「先生、先生・・」と言って貰え、リスペクトされるのである。本校の如き多様な学校では生徒の偏差値も40から70程度まで幅広い。ポイントはここである。偏差値輪切りの明確な公立高校ではローテーションによって偏差値40以下の学校から70を超える学校に転勤する可能性がある。人事で「ハイ、4月から○○高校に転勤です」と言われたときにその学校の偏差値が80程度だったら普通の教員だったら「ビビる」と思う。本校とて同じことである。
教員に求められる資質は偏差値だけではないことは十分に分かっている。最後の決め手は「人柄」である。お人柄とは裏表のない、誠実で努力家、それでいて社会性や常識を知り、礼節ある言動が「総合的に滲んでくる」ことを言う。それでも学校に勤務する教師たる者、教科指導である。これに加えて本校の如く殆どの生徒が大学進学をする進学校では進路指導の知識も必要だ。人柄が良く、クラブ活動の指導に突出して優れていても、これだけでは専任キップをお渡しする気はない。言いたいことは「勉強して」「もっと勉強してください」である。特に「専門教科の偏差値が70」はないと、将来、地獄を見る可能性がある。教える側が教わる側より教科知識が乏しいというのがどれほどまずいことかはわかりますよね?もう一度言います。今から腹を据えて勉強して欲しい。教師を志した人だから出来る筈です。
どうも卒業した高校や大学の偏差値レベル、私立大卒、国公立大卒、中高一貫校から無試験で系列の大学に進学した経歴のある先生などを凝視すると違いが見えてくる。教科指導を高める努力なく、本校にたまたま就職出来、楽しく毎日を過ごすだけでは見掛けだけの専門職である。「教師と言う超専門職」にあり、教科指導を司る人間が、普通科の若干16歳の生徒より学がないということが問題になるんですよ。その怠慢を、その責任を、授業研究ができない校内体制のせいにされても困るから私は全てが揃っている教室を作り上げてきた。新採用の常勤講師の感想文に共通しているには教育環境の素晴らしさと中でも「ICT教育の完備」だった。しかし施設設備だけでは立派な教師は育たない。ご本人の学びである。常勤の先生方に申し上げたい。雇用継続の3か年以内に少なくも専門教科の偏差値を70以上に上げて頂きたい。もう一度言いますが、君たちは教える側の人間として配属されます。生徒の事をよくよく考えて、今から教師として自分の専門の腕を磨いてください。お願いします。
着任後2ヵ月を経過しての所感 国語科 ○○ ○○
浪速高等学校に採用していただき、赴任してから約2か月が経過しました。勤務するなかでどれも新鮮なことばかりです。その中でも特に印象深いことが3つあります。
まず1つ目は、ICTの環境が非常に整っていることです。全校生徒がChromebookを購入し授業並びに課題等で毎日使いこなしていることにも驚きました。それよりも学校全館にWi-Fiが完備され、教員にはパソコンとタブレットの2台が貸与され、出欠入力、連絡や書類等までもネット上でやり取りがなされていることに大変驚嘆しました。これによって紙の使用と会議の回数を減らすことにも繋がっているのだと感じました。また、今まではOfficeしか使用したことがありませんでしたので、初めてのGoogleに戸惑うこともありますが、その時には先輩方がお忙しいのにもかかわらず丁寧に教えてくださいます。ようやく自身の教科や部活動等でclassroomをはじめとして様々な機能を活用できるようになってきました。例えば、生徒の中には人前では自分の意見を発表することが苦手な生徒もいますが、Googleフォームに無記名で入力してもらうと、そのような生徒たちも自分の意見や考えを発信することができます。今後も試行錯誤を繰り返しながら、生徒たちの実になるようなICTの活用をしていきたいです。
2つ目は、運動部、文化部問わず多くの部活動に力をいれていることです。学生にとって部活動は、学生生活の大部分を占めるものです。その活動を学校から応援・支援してもらえることは生徒たちにとっては嬉しいことであり、活動の励みになると思います。校内のグラウンド、武道館をはじめ、4月に見学したふくろうベースボールスタジアムや高天原スポーツキャンパスといった、各競技に合わせて十分に練習できる環境が整っています。また文化部に関しても、神社ならではの雅楽部、神楽部があるうえ、華道部、茶道部、放送部、津軽三味線部など未経験者でも新たに始めやすい部活動が多数用意されていいます。浪速高校で部活動に打ち込んでいる生徒たちは非常に恵まれているなと感じます。
3つ目は、学校の中に書作品がたくさんあることです。大阪天満宮名誉宮司、寺井種伯先生の書、赤堀先生がお書きになった「大祓詞」や御柱ピロティの上には隷書で書かれた「古事記」があります。さらに武道館の玄関のところには木村理事長がお書きになった迫力ある「武」という文字があります。大学4年間書道を専門に学び、今でも勉強中である私にとっては毎日観ることができ、嬉しい限りです。
他にも素晴らしい点は様々ありますが、特にこの3つのことに関して身に染みて感じました。このような恵まれた環境で働かせていただいておりますので、今後より一層、設備を活かしながら私自身の教科指導、生徒指導の技術を高めることに努めて参ります。