今日が本学院の「仕事始め」の日であった。生徒が登校して来る3学期の始業式は7日だが、それよりも前に教職員は走り出す。まぁ事前のウォーミングアップみたいなものかも知れない。朝9時から「最初の職員会議」があった。個人では1年の計は元旦にありだが、組織としては「1年の計は初出」にある。従って最初の職員会議で発する理事長・学院長のメッセージは極めて重要であると心得ており、何時も以上に時間を取って、現在の課題と展望について教職員に語る。話すのではなくて語るのである。約30分間、原稿など用意せず、起承転結を込めながら、重要ポイントは繰り返し、とにかく語った。これは数少ない私の得意とするところで頭に整理されていたものが、次から次へと秒速単位で言葉となって口から出て来る。
身近な職員は何時も言うが、他の人にはそう簡単に真似は出来ないと。確かに小さな組織だが、それでも150人を超える人々を雇用し、労働対価として給与を支払い、教職員の生活基盤を支えている組織管理者の私だからこそ出来る語りだと思っている。でもこれらは噺家のような独り舞台の独壇場のしゃべくりではなくて教職員への語り、説得、説明責任なのである。組織を守り、雇用している教職員への愛情溢れる私流の責任感と愛情がなせる表現であると思って欲しい。職員会議での冒頭の一句は今年の干支である寅から「虎は千里を往き、千里を還る」から始めた。この句はご承知のように虎は一日に千里もの距離を行き、さらに戻って来ることができる、ということで、活力に満ちた、行動力のあるさまなどを表す言い回しである。と同時に母虎が餌を待つ小虎の所に必ず戻ると言う母親の子供を思うがゆえの行動力を喩えることが多い。
職員会議の前に一人の男性教諭が部屋に来て「元日に女の子が生まれました」と報告に来てくれた。第2子で余程嬉しかったと見えて全身から喜びのオーラが出ていた。「お名前は?」と聞くと「絃(いと)」と名付けたと言う。良い名前だ。絃は弦楽器の中でも琴のような和楽器のイメージがあり、古風な雰囲気を添えられる漢字であり、音楽の才能に恵まれることを願い、また、弦楽器の音色のように、優美で人を引き付ける魅力ある人に成長するようにとの親の思いを込めて考えたものであろう。国語の先生だからこの辺は「お手の物」である。彼もこの寅年生まれのお嬢さんを強く立派に育てなければならない。その為に二人の子を持つ父親は強く、速く、良い仕事をして、何時までも健康でドンドン給料を上げる努力をし続けなければなるまい。
今日の私の話の主題は「働き方改革」であった。徹頭徹尾、この話に終始した。仕事の優先順位をつけ、集中力を高め、スピードを上げて処理をせよ。その為には自己の能力を更に開発して欲しい。自分一人で何でも出来ると思うな、チームを組め、時に管理職や他に頼れ、そして最後は「割り切り」であると、「開き直り」も許せると。「法や規則や内規」を忘れてはならないと。