今私の頭にある最大のテーマは「教職員の働き方改革」である。教育の中味は両校長以下先生方が頑張ってくれており、この人たちが本校で豊かな毎日を送れるように少しでも「ゆとり」が持てるような職場環境へと改善していくことが働き方改革である。これは組織のトップである私しか出来ない仕事である。先生方には教育という本来の業務に集中してあげたい。ただ学校現場は本来の教科指導を中心とした教育活動とそれ以外の付帯業務の「線引き」が極めて難しい。ここまでは教育、これ以外は準教育業務などと簡単には区分けが出来ない。それは一つ一つの中味が微妙に違っているからであり、線引きの境界線自体も動いているから殊更難しい。教育はモノづくりと違って生きた一人一人の生徒を対象とし、誰一人として同じではない。これをひとくくりに纏める事は出来ないのが学校現場だ。
以上は正論であり何方も反論は出来ないだろう、などと私が言えば働き方改革など進む訳がない。そこを押して考えて行かないと学校現場の教職員は朝から晩まで「動きっ放し」で労働時間と言う概念が無くなり、くたくたに疲れ果てるだけだ。問題はそこに「教職員間の不公平感が出る」ことだ。部活動にも頑張ってくれている先生と定時になれば「サッ」と帰る先生を比較し評価することは難しい。「様々な方法や仕組み」を私は考えているが、直ぐに手が付けられるのは部活動について外部の人材の積極的な登用や、有力な組織と連携することである。部活動の大きな教育効果は「成果を出す事、強くなる事、賞に浴する事」等ではないか。何時まで経っても強くなれないクラブでは仕方がなかろう。
部活動の指導や関与は教員のボランティアなどと言っているうちは駄目だ。勿論スーパーアスリートが教員でいるのは本来の姿であるがそのような専門家を雇用できるチャンスは本当に少ない。然らば「外部との連携」である。餅は餅屋のついたものがいちばんうまい。だから「餅屋は餅屋」と言う。その道のことはやはり専門家が一番であるという例えだが、ある物事を職業として行い、それで生活をしているプロフェッショナルの手にかかれば、やはり結果は出る。体操部を作り外部の有力な機関と連携して僅か5年で全国大会に出場出来る実力になってきた。本校での大きな成功例の最初である。今私が力を入れているのが「ボクシング部」である。長い伝統を有するこのクラブの為に練習場を整備し、経験豊富な卒業生を呼び指導をお願いし、そして街のボクシングジムに目を配り、その連携を進めてきた。
今年高校で女生徒が入部して来たが、何とその能力から来週カザフスタンで行われるアジア大会のジュニア部門で日本代表に選ばれ明日出発する。私は過日彼女を育てた堺の「勝輝ボクシングジム」の大川会長さんと父君」に来て貰い、親しく今後との連携方針などを話し合った。お二人とも大変に立派なお人であった。その長女である渡邊ひまりさんは、幼少期からボクシングを始め、その才能が開花し、勝輝ジムから将来を嘱望され本校がお預かりすることになった。まさに才色兼備の女生徒であるがそのパンチ力は私を圧倒するほど力強いものだった。まさに女性の時代の到来を象徴するようなパンチであった。アジア各国から200人を超える若きボクサーの中でどこまで頑張れるか、私はエールを送り旅の安全に本校の象徴であるふくろうのストラップをプレゼントした。学校で学び専門技術は街のジムのプロから指導を受ける。良い形が本校では次々と芽吹いてきている。少しでも教員の負担軽減に繋がれば良い。