2024年3月29日金曜日

第二学院曲「歓喜の歌」高校吹奏楽版の可能性は?

 朝一番に吹奏楽部の顧問の先生が部屋に来てくれ、昨夕の「第15回定期演奏会の結果報告」に来てくれた。一言で言えば「完成度が相当に上がった演奏会」となったことは十分に確信できた。15年目にしてこのような定期演奏会が出来るようになったのは本当に嬉しい。17時開演で会場はフェニーチェ堺。本年度から他校と同じように有料で事前予約の指定席とし、入場料は一般は1000円、高校生以下は500円とさせて頂いた。開校100年目の定期演奏会であり関係者はぼつぼつ有料でと思い、私も同意したのだが、個人的には未だに引っかかるものがある。大半が保護者、同窓会、教員、理事会役員などのファミリーの参列であり、まだ無料でも良いのではないかと言うのが理事長の本音である。今朝の報告では「売り上げ?」が現金で70万円程度あったと言う。来年度どうするかは今回の分析の上で判断して行こうと思う。確かに会場費や楽器の運搬車手配、プログラムの印刷などコストは相当なものだが「物事には時機を誤らないように!」しなければならない。



音楽監督の萬浪先生のお陰で生徒は素晴らしい音を出し、極めて感動的な演奏であったことは私の周辺の人々の感想からも十分分かった。演目にも工夫が見られたが、まだ高校の一般的な定期演奏会の匂いが「ぷんぷん」している。「これが浪速の音楽だ!」という独自のものは「海道東征浪速」以外には無かった。本校らしい特徴や今年の特色などが感じられない。この点がもう一つあればと感じた。事前配布のビラにもプログラムにも開校100周年記念など書いていないのは残念だった。もっと学校への気配り心配りが欲しい。学校有っての吹奏楽部であり、吹奏楽部あっての浪速学院ではない。


私が吹奏楽部の顧問なら今日の演奏会のメインはまずベートーベンの「第九」第4章の「歓喜の歌」の吹奏楽版だろうと思った。「本校開校100周年の終幕を飾る演目」として、あの有名な作家シラーの1785年に書かれた詩「歓喜に寄せて」が演奏されたらと強く感じた。毎年毎年世界で大晦日に演奏される「第九」の4楽章である。1792年、ベートーヴェン(当時22歳)はこの詩に出会い、この詩に旋律を付けることを計画し完成された交響曲である。合掌入りのシンフォニーだ。その一部の歌詞は下記のような歌である。まさに本校にふさわしい。

「あゝ、造物主(つくりぬし)、日の神の 遙けき御空(みそら)を天駈(あまかけ)るごと、行け、汝が道を、勝利の道を、勇みて、兵(つはもの)の行くがごとく、行け、我が友よ、いざ行け、友。」

私は特に昨年亡くなられた小澤征爾さんの指揮する「ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》」(2018,12月)に心惹かれる。世界が待ち望んだ、小澤征爾15年ぶりの9回目の録音となった「歓喜の歌」であり、201710月に行われた「水戸室内管弦楽団第100回記念定期演奏会」は、楽団初で世界を代表するソリストの見事な歌唱、総勢18名という少人数の合唱団による力強いコーラスは実に感動的である。これは平成最後、21世紀を代表する新しい第9の名盤として、長く語り継がれるであろう演奏で有名である。本校吹奏楽部も「歌無し」で良いから「第九の4楽章歓喜の歌:吹奏楽用編曲版」を開校100周年記念演目として日本全国の高校で初めての演奏お披露目となれば私は「海道東征浪速」に続く第二の「浪速学院第二学院曲 歓喜の歌」として大切にしたと思う。まだ諦めていない。