生涯をかけて平和な国づくりを成し遂げた徳川家康の理念や理想の精髄は「人の一生は・・・」ではじまる「東照公御遺訓」として今日に伝えられている。私自身は若い時分は織田信長に心酔し、そして豊臣秀吉の「出世物語と人たらし」に心を動かされてきた。しかし長く生きてきた今は家康公に心惹かれる。大阪の人は秀吉びいき、家康嫌いだと巷間言われているが、それは為の話で真実ではあるまい。家康が残した人生訓は、組織のリーダーとしての有り様に時に心に楔を打ち込む。幼少時から人質として他家にて育ち、その生涯はまさに「波乱万丈」であった。「忍耐に継ぐ忍耐」で「我慢に継ぐ我慢」、「知恵と工夫」で「組織を第一」と心得、優秀な部下を育てた。そして江戸幕府の265年間の礎を作ったのである。中でも私は以下の文言が内なる「自己を顧みるよすが」だ。
人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。
おのれを責めて人をせむるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。
人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。
不自由が当たり前と考えれば、不満は生じない。
心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。
がまんすることが無事に長く安らかでいられる基礎で、「怒り」は敵と思いなさい。
勝つことばかり知って、負けを知らないことは危険である。
自分の行動について反省し、人の責任を攻めてはいけない。
足りないほうが、やり過ぎてしまっているよりは優れている。
3月になったので今朝早く新中学校棟の建設現場を視察した。現場は整理整頓され順調に進んでいた。3月末には遂に1階部分が目に入ってくる。月末に生コン車、100台で3日間にわたって「型枠」にコンクリートが流し込まれる。丁度25日が理事会・評議員会の日だからこの日、皆様にご覧頂くのもありかなと感じた。ようやく形が見えて来た。間違いなく浪速は上昇気運に乗っているが、家康公の謂れたように苦しかったことを忘れずに謙虚な気持ちを忘れてはならないと自分に言い聞かせている。