読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋など、秋を表す言葉はいくつかあるが、「食欲の秋」という言葉がある通り、秋は食べ物が旨い季節である。中でも私は「実りの秋」が好きな言葉だ。実りの秋とは「穀物や果実などの収穫が多くなる季節を表す言葉」と書かれているが、気候も穏やかなうえ、春から夏にかけて育ってきたさまざまな作物や穀物が収穫されることで、四季の中でも満ち足りて豊かな季節であるからと考えられる。これからやってくる寒く厳しい冬を乗り越えるためにも、「実りの秋」は大切な季節であり、このことは学校、特に私立の学校においても全く同じことである。「今、実っていなければ冬は寒く、春は楽しくはならない。」
本校には千早赤阪村に浪速中学校付属の「多聞いちごハウス」「多聞農園・果樹園」を有しており、中学校教育の一環として有効利用している。極端に言えば「今日的子ども、児童生徒はイチゴはスーパーにあるもの」としか捉えていない面が時に伺える。しかし自らハウス内に生っているイチゴを採り、口にして甘さと酸っぱさを感じることは教育的意味がある。柿には甘柿と渋柿があり渋柿が甘柿以上に甘くなることを知ることは十分教育的意味があると私は信じている。このような考えでこの施設を作り、今や私はこの農園で季節、季節の収穫物を採ることが楽しみの一つになっている。唯一癒しの場所だ。
今年の秋の実りは「栗はまぁまぁ」であった。「いちじくはダメ」で、今年初めて収穫出来たのは「シイタケ」と「キューイ」であったが、数量は少なかったが、しいたけは大きく分厚く、味も良かった。キューイフルーツも大きく甘かった。収穫までに足掛け約4年もかかった。今は「渋柿づくり」に精魂を傾けている。これが実に手間がかかる。皮むき、熱湯消毒、吊るし、焼酎による表面散布、もみもみ、これを数回行わねばならない。均一な固さと上品な甘さが期待できないのである。また時々焼酎を散布して消毒が必要など、とにかく渋柿つくりは手間暇がかかるが、それだけに上手く出来たときは小躍りして喜ぶ。昨年良く出来た「イチゴ」は今年も順調で12月クリスマス前ごろに今年の初収穫になるかどうか?渋柿は400個吊るしたので収穫したら「中学1年生全員に一人2個づつプレゼント」する。昨年は一人1個だったが2個に増やす。今朝は大量のカブが採れた。初めてであったが大豊作で教職員お一人に「赤かぶ、白カブ」を合計6個づつ20人の方々にプレゼントした。配布先は順番である。とにかく実りの秋を実感しているところだ。