ところで先のアラウンドで紹介したが本校の卒業生が高校3年時に応募した「伊藤園のおーいお茶」と銘打った俳句大会で準優勝の栄冠に輝いた谷口くんの俳句が刷り込まれた600mlのペットボトルが売りだされた。何とも言えず愉快で私は未だに「飲もうか、飲むまいか」と迷って席の上においている。しかし伊藤園も「味なことをされる」と私は痛み入った。“おーいお茶”はうまいお茶だから今後ともファンとなってこのボトルを飲み続けようかと思っている。顧問の先生には来年は36回大会だから頑張って欲しいと激励した。俳句は良い、わずか17文字という少ない文字の中に人間の想像のふくらみが自然と出てくる仕掛けが良い。俳句は日本の文化の誇りである。
学校は極めて順調である。怖いくらい静かで落ち着いている。しかしこういう時にこそ私は渋沢栄一の名言を思い出す。「得意時代だからとて気を緩さず、失意の時だからとて落胆せず、常操をもって道理を踏み通すように心がけて出ることが肝要である。」おそらく勉強家で博学だった渋沢はこの言葉の原点を「菜根譚」の中の一節から考えたものに違いない。中国古典のこの菜根譚は江戸時代に日本に入ってきたという。まさに栄一はこの書を座右の銘として手元に置いていたと思う。上手く行っている時にこそ、「失敗」の予兆が芽生えているのであり、注意すべきは「順境」の時であって、「逆境」の時ではないと「菜根譚前集58條」は私を諭す。私にとってもこの本は人生の導きであり、時に目を通して反省する。
来年度入試、これからが本番で年末にかけて佳境に入ってくる。明日「9日は第2回高校入試説明会」で翌週の「16日は第2回中学プレテスト」の日である。大体11月のこれらの数値で来年春の入学者数が読めてくる。明日の高校説明会は今現在、738人の申込者で対昨年プラス138人という大きな数値だし、中学の方は新記録となった一昨年を超えている状況にある。特に2回目ということで新規の受験生が多く新記録となっている。まさに「順境の時」であるが、ここで慢心してはならない。まだまだ「こまめに」時間の許す限り本校を開放し、興味関心のある生徒を最後の一瞬まで学校に呼びこまねばならない。それも新規の受験生である。だから急遽「12月14日に臨時の第4回高校説明会を組み入れ」、本日関係方面に出状した。
また中学校は建設中の新校舎の一教室を先行して「モデル教室」として完成させ、受験生に明るく広い教室とICTの完備した教室を見てもらう準備を進めてくれている。過日私は視察を要望され見て回ったが素晴らしい出来だった。このような先進的な教室で是非学びたいと思って頂くようにさらに完成度を高めてまいる。高校も中学も令和7年度入学者が過去新記録となるような勢いだけに私は今慎重に点検をして、落とし穴に落ちないように「脇を締めて」やるべきと私自身や関係の教職員に指導しているところだ。“人間得意の時に、失意の悲しみを生ず”である。