「まめな者が勝ち」だと信じて疑わない。とにかく「まめに」「こまめに」がキーワードだと思う。「マメにする」は漢字では「忠実」と書くように「面倒がらずにする」という意味である。今日では「頻繁に」「回数多く」という意味でも使うようになっている。「メールの返事はマメにする方ですか?」などと使う。「筆まめ」はよく手紙を書くことだし、「気まめ」はよく気が利くこと、「こまめ」は面倒がらずに少しずつやることでよく使われている。体育の先生が夏場、生徒に熱中症予防の為に“こまめ”に水分補給するようにとよく使っている。
しかし組織において人間は「偉くなるとこまめでなくなる」のが一般的かも知れない。大きな机に偉そうに「でん」と据わって部下に「好きに図らえ!」と鷹揚に言ったり、「もう細かいことには口を出さない」というのが「かっこよい」と思っている人は案外と多いのではないか。しかしそのようなトップがおれば、早晩その組織は腐っていくだろう。組織のトップは偉くなればなるほど「こまめ」であるべきである。こまめなトップを有している組織は強い。部下は育ち、議論の過程で視点が広がるから、こまめなトップは「うざい」のではなくて有難い存在だと思わねばならない。だから私は良くしゃべり、語り、話す。実にこまめに言葉にして出す。
昨日から今朝にかけて私は高校校長、教頭、そして入試広報部の教頭の3人を部屋に呼び、「高校入試広報活動の現段階にける分析」を行い徹底した議論を行った。今週末の9日には2回目となる入試説明会があるのだが、今朝段階で申し込み者の数は716人と昨年度に比べ116人のプラスだ。これで7月以来のオープンキャンパスを含めた延べ人数は大きく伸びているが、来月の12月説明会は1回であり、昨年と異なり2回を1回に減らしている。代わりに「12月14日と15日に連続して集中個別相談会」を設定しているのだが、私はこの公式な入試説明会の削減が気になっていた。
個別相談会と校長の手による入試説明会は趣旨も中身も舞台に立つ俳優も異なるし、第一に個別相談にくる生徒はリピーターであって「新規ではない」。すそ野は広がっていかない。私はこまめな人間であり、自称「多動型仕事人間」で「気にしい人間」である。だから実にこまめに学校で起きている現象を注視し、考慮している。「果たしてこれで良いのか?」が何時も頭にある。基本的にアバウトでは全くないし、それに数値を極めて大切にする。今のままでは昨年を超える入学者は期待できないとの不安が胸に広がり、動いたのである。
なんやかんやと私は思うところを述べ、今朝ほど入試広報部から出てきた答えは「12月14日の土曜日に臨時の第4回入試説明会」を行うことだった。来年3月末の最終入学者の数値など誰も分からない。分からないなら後で後悔するよりは「出来うる限りやった!」という方が気が楽になる。昨年は通算4回の説明会で966人の入学者の新記録を打ち立てた。このような状況で今、「積極的にやり方を変える必要はない」という私の考えを受け入れて貰ったみたいで、私は少し安心した。このように現在は私がこまめにやり方を凝視し、数値を見ているから「立ち止まる」ことが出来ているが、私がいなくなるとそのまま担当の考えで「すっと」行ってしまうだろう。そこが最も危険であり学校は徐々に変質する。「私のこの学校での存在意義」はこまめな現象観察者と立ち止まり再考を指示することである。