茶道といっても、基本の単位は「流派」になるが、本校茶道部は「表千家」の指導を受けており、中心人物は「木村雅基宗匠」である。ただお忙しい御身で全国を飛び回っておられるから「木村ご社中の高弟」として3人の先生から日常はご指導を受けている。お茶を学んでいる人はそれぞれの流派に属しているのが普通で、そこには厳然とした指導者が居られ「階層」がある。私の感じでは茶道の世界ほど、この階層を重要視して運営している組織は無い感じだ。良く聞く言葉に「宗匠」と呼ばれる高位の指導者が居られるが、元来は宗匠は「家元」などと言われたりして、「総理大臣」「社長」「理事長」など一般の組織とは全く異なる選挙や互選で選ばれるものとは違い「一子相伝の血統の家」に生まれた嫡男がお家元である。
表千家の場合の正式な呼称は「お家元」及び、「家元後嗣に当る若宗匠」、家元の父などの前家元には、いかなる場所にても「宗匠」と呼ばれている。現在のお家元は猶有斎宗匠又は家元宗匠と呼び、前家元には而妙斎宗匠又は宗旦宗匠とお呼びしている。私は宗旦宗匠を囲む而妙会のメンバーに名前が入っており時に現家元や前家元、多くの宗匠と席を同じくする機会があるが呼び方には気を遣う。その他、宗匠とお呼びするのは、家元の弟君の三木町宗匠、ご親戚久田宗匠(現代はご不在)、堀内宗匠のみで、千家の家元内では、家元、若宗匠、前家元以外は、たとい三木町宗匠や久田宗匠であっても宗匠とは呼ばれず、「三木町さん」「久田さん」と呼ばれているらしい。
しかし、実際は家元のお傍近くで修業し、「皆伝」とか「乱飾」とかの免状を有しておられる男性を宗匠と呼称している。長年千家にて寄宿し修行を積まれた家元教授の方々を「お玄関さん」と呼び、この方々は宗匠と呼称されるのを許されている。このように「表千家の玄関という呼称」は大きな呼称なのである。前述した本校茶道部の指導者、木村雅基宗匠はこの玄関でご修行し、祖父、父君と3代に亘るお茶人の家に育った生粋のお茶人であり、NHKの教育テレビにもよく出演されている有名な宗匠であらせられる。温厚で生徒にも優しく素晴らしい人間力のある指導者である。茶道の世界では歌舞音曲の世界と違い、「師匠」とか「お師匠さま」、「お師匠はん」とかは使わず、宗匠か先生である。又前述したように木村宗匠のご社中の高弟で代稽古をして下さる3人のお弟子さんは生徒から見れば「先生」であり、呼称も先生で同じように素晴らしいお人柄だ。
昨日は木村宗匠、西田、以下3名の先生がお越し下さった。全部員に宗匠自ら「お点前」をして下さり、これを拝見した生徒は感激の面持ちだったと言う。これに先立ち私はお茶室「洗心亭」で、指導者の木村宗匠、ご社中の方々お揃いのところで新入部員20人に対して「茶道具一式」の授与式を行った。これで総部員数は何と71名になった。創立当初は男子校で勿論茶道部など無かったが共学に転じた時に私は茶道部を作り今や部員総数も格段に増えてきた。一人一人にお道具を手渡しながら激励の言葉を付け加えた。そして新入部員に対して茶道の精神は「和敬清寂」であり、和を尊び、相手を敬い、清々しく、自己と周囲を見詰める寂の心を生徒には感じ取って欲しいと述べた。お茶の心があれば相手を許せるし、それで自分の心も豊かになれる。決して茶道部の中で友人同士のいさかいなど有ってはならないとも付け加えた。生徒達は静かに聞いてくれた。

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