2019年1月29日火曜日

仰げば尊し わが師の恩




私にとって12回目となる卒業式、府立高校の時代を入れると何と通算16回目となる。
思えば長くやって来たものである。
しかしこの卒業式だけは真に「感慨深い」もので、これがあるから校長と言う職位を続けられると思っている。
3年間、あるいは6年間、手塩にかけて来た生徒達と今日でお別れだと思うと、正直心中には「やれやれ」「ほっと一安心感」みたいなものと同時に「寂寥感」みたいなものがある。
これから先の彼らの人生道中の厳しさなどを考えれば「いとおしさ」が胸に迫り、「頑張れよ、くじけるな、立ち向かっていけ」と心の中で叫んでいる自分に気づく。





お時間があれば別ページの公式メッセージにアップしている校長式辞に眼を通して頂ければ有難いと存じます。
今回初めてご列席戴いたご来賓の大阪府神社庁の庁長様から「初めて聞く素晴らしい式辞だった」とお褒めのお言葉を頂きました。
恥ずかしい限りです。
毎年毎年生徒は変わるし、何時も喋ることは大体同じになるのはやむを得ません。
それでも、幾分ニュアンスを変えたりしてメッセージを伝えています。
このような場合、ポイントは抑揚と間の取り方で、原稿は用意しても大切なことはアドリブです。私は卒業生と保護者にお顔を凝視しながら話を進めています。










仰げば 尊し 我が師の恩

教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)

思えば いと疾(と)し この年月(としつき)

今こそ 別れめ いざさらば

2.互(たがい)に睦(むつみ)し 日ごろの恩

別(わか)るる後(のち)にも やよ 忘るな

身を立て 名をあげ やよ 励めよ

今こそ 別れめ いざさらば

3.朝夕 馴(な)れにし 学びの窓

蛍の灯火(ともしび) 積む白雪(しらゆき)

忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月

今こそ 別れめ いざさらば
 

「仰げば尊し」は、1884年(明治17年)に発表された日本の唱歌、明治から昭和にかけては学校の卒業式で広く歌われ親しまれてきた。
2007年(平成19年)に「日本の歌百選」の1曲にも選ばれている。
明治から昭和、及び平成の初頭にかけては、学校の卒業式において常に歌われた定番の曲であり、2010年代後半の現在でも30代以上の世代を中心として多くの日本人の記憶に残る歌である。私などもこの歌を聴くと今でも涙ぐむ。
 

ところが、1990年代半ば以降の平成期においては、大都市の公立学校を中心に卒業式の合唱曲を「仰げば尊し」から「旅立ちの日に」「贈る言葉」、「さくら (森山直太朗の曲)』など、その時々の流行曲に変更された学校も多い。
その理由としては、歌詞が「いと」「やよ」のような古語を多く含む文語調であるためで、特に古文の学習前の小・中学生にとっては分かりにくいということが、背景としてある。

ただ高校は違う。
ところが2番の「身を立て名をあげ」の部分が「立身出世」を呼びかけていて「民主主義」的ではないという見方から、教職員組合の中から反対と言う声もあって採択していない高校もあると聞く。
これなど運動会で手を繋いでゴールをする」ようなものだ。
世の中は競争社会でもある。
別に立身出世は悪い事ではない。
歌の中にあるように「やよ、励めよ」とあるではないか。
努力を促しているのである。
浪速高校では未来永劫「仰げば尊し」を卒業式には歌い続けて欲しいと思う。
このような名曲を伝承することも今に生きる我々の責務ではないか。古い物にも良いものがある。
 
 
関連リンク
 
 
 
 


浪速高等学校School watchに「平成30年度 浪速高等学校卒業式」の記事があります。

是非ご覧ください。