2021年9月30日木曜日

その2 大学への進路指導

 生徒は感染しても発熱等で済み、概して無症状であるが登校は禁止させられ、または家庭での濃厚接触者として自宅での待機を余儀なくされている人数は、全く社会の状況に連動して下がり、明日、明後日中には一人もいなくなるだろう。今日で緊急事態宣言は解除され学校は通常の状態にほぼ戻る。府立学校に対して府の教育庁は「今後の教育活動」と題して通達文を発した。私立学校は「準じて」となっているがほぼ同じ対応を執ることになる。飲食店への営業時間の制限や酒類の提供などまだ制限があるように学校においては「部活動に制限」がかけられている。合宿や府県をまたぐ練習試合などはまだ禁止である。 

こういった中で「高校3年生は後3か月で実質的に高校生活が終わる」。次は彼らにとって人生の大きな節目となる「大学進学」である。本校は進学校であり、ほぼ100%の生徒が大学に進む。心配していたが、幸いにも本校では高校3年生のコロナ感染はほとんどなく、順調に大学進学指導が佳境になってきている。今は最後の「保護者を交えた3者懇談」の真っ最中である。先ほど「指定校推薦枠」が埋まった。コロナ禍であるが「新記録の数値」である。710人も卒業生が居るので、今後は一般入試として「入試本番」となる。歳の明けた1月の大学入試共通テストに向けて3年生は頑張ってくれている。私は高校校長、高校3年学年主任、そして進路指導部長に来て貰って足元の現状をヒヤリングし、方針を再確認した。


 
受験生の中にはコロナの影響で大学がリモート講義であれば「わざわざ遠隔の地にある大学に行く必要はない」とレベルを落としてまで近場の大学で自宅から通学できる大学を選ぶ傾向が顕著だという。しかしだ。この点こそ進路指導のポイントである。大学とて何時までもリモートではないし、行きたい大学、一歩でも二歩でも総合的に学び、研究の体制が充実している大学を目指すべきであり、これからの長い人生で「卒業した大学が出発点になる意義」を私は強く学年主任と進路指導部長に指導した。この事は彼らも十分分かっている事だ。

 


今朝の新聞にはコロナで行き詰った大学生が自死を選んだという記事があったが、コロナの影響でアルバイト先が無い、家庭の経済状況による親からの「仕送り」の削減など大学生の貧困と大学の存在感の希薄さは、休業を余儀なくされた飲食店への被害以上に大きく長い影響を受ける。このような大学生の惨状は単に高校3年生の問題に限らず、我が国にとって大きな損失となった。大学生への支援を強化し、大学は早急に「リモート講義」など中止し大学キャンパスに学生の声がこだまするようにして欲しい。高校生を預かっている身からすれば、進路指導において受験生と保護者に語る迫力が持てないのが何より辛い。全国約600校ある4年制の私立大学では定員割れが277大学と大きな数値である。18歳人口が減ったなどと言うのは言い訳に過ぎない。21世紀の我が国は当然ながら「知的立国」でなければならない。大学人には頑張って頂きたい。自信をもって我々が生徒を送れるように早急に「希望の灯」をかかげて頂きたいと思う。