2022年2月21日月曜日

「教師の顔」が輝く時

今年の「大学入学共通テスト」の問題が試験中に撮影されて外部に送られ、大学生が関与した不正が行われた疑いがある問題はマスコミで大きく報道され、警視庁は関係する人物の特定を進めるなど「偽計業務妨害の疑い」で捜査している。この報道を知って、私は情報化社会の怖さと今更ながら受験生の必死さが伝わってくる。この試験は昨年から「大学入試センター試験」に代わる新たなテストとして始められたものだが、私は不正報道よりもその「問題の難易度」に興味関心がある。新学習指導要領に定められた判断力、思考力、表現力などが問われる中身から「難しくなりそうだな?」とは容易に想像されていたからである。 

このテストの目的は「大学入学希望者を対象に、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的とする。」と書いているから、高校関係者からすれば自校の生徒の得点率こそ重要な視点である。我々の関心事は「然らば、どのような問題が出されてくるのか?」の一点であったが、今年の「難易度」について、文部科学省の末松信介大臣は2022121日、「共通テストが意図する能力を問う点がより明確になっている」との見解を示した。即ち判断力、思考力、表現力などを問うものが多くなったという主務大臣の見解である。問題はその出し方である。 


その結果、121日時点の中間集計では、「7科目の平均点が過去最低」となっている。即ち「数学IA」「数学I」「日本史B」「生物基礎」「化学」「生物」「フランス語」の7科目が、前身の大学入試センター試験を含め、過去最低点を下回っている。要は今年の受験生には問題が少し難しかったというである。主催者側からすれば「もう少し高校教育の現場でこの程度は教えて」と言うかも知れない。いずれにしても今年の共通テストは双方に大きな課題を残したと言える。100点満点で全国全受験生約50万人の平均点が60点前後と言うのが良い問題とされているだけに進学校では今後の対応に頭を絞らねばならない。


 
本校ではこの共通テスト結果を極めて重要視しており、毎年この時期に5教科の高校3年生の担当教員が問題を分析し、本校生徒の得点率と全国平均との差などについて理事長、校長に直接説明し、今後の教科指導に活かすようにしている。やはり学校のトップとして教員の分析に耳を傾け、現場での学習強化に知恵を巡らせることは極めて大切な事であり、このことは「教員への励まし」に繋がる、理事長、校長の本来業務だと考えている。今日は英語と社会があった。共通していたことは「先生方の分析の的確さ」であり、出題傾向を正しく把握しクロームブックを有効に活用していることであった。決して問題そのものは難しくはなく、読解力、資料読み取り、横断的思考等々が受験生には手ごわかったことが私には分かった。にも拘わらず、優秀層では全国平均を上回っていたことだった。

今までは理事長室において実施してきたが昨年から場所を中央館5階の校長室に移した。やはり校長室が最適だと考えたからである。次回は26日が国語と数学、32日が理科の予定で行われる予定だ。この種の会合では「教員の顔が輝いている」。まさに「教員の顔」をしているのである。生徒に教科を教えることが「生業」の教師の顔はこのようなテストの分析と結果において大いに出て来る。今更ながら私は感心し感動するのである。