2022年2月19日土曜日

「early decision application」(専願)

 「時は流れる」ように進む。遂、先日までは入試で走り回っていたが、学校は一挙に静粛になり今日からは高校の「学年末試験」が始まる。中学は21日スタートだ。これが済めば中学3年生の修学旅行となり、3月19日が修了式となる。本校では3学期の終わりは終業式と言わず修了式と言う。その後中学校の卒業式だ。まさに学校行事は流れるように移ろっていく。17日が公立高校の合格発表の日だからその日まで併願生の数が定まらないが、学校はその日まで待つことは出来ないから、まず専願入学者の受け入れ準備から始めている。今日はその「高校専願者の制服採寸の日」であった。制服は出来合いではなくて「イージーオーダー」であり、身体に合ったものを来て貰うように本校専属の業者さんが採寸をするのである。 

「私立専願(しりつせんがん)」とは、日本独特の言葉で大学や高等学校の入学試験の際に、国公立の大学や高等学校を受験せず、私立の大学や高等学校のみに出願することである。「もうこの学校に決めた。この学校が好きだ。自分に合っているような気がします。他の高校は受験しません。合格すれば、この学校に必ず入るということを約束します」ということが専願だ。私立学校側からすれば有難い申し入れであり、当然専願と併願では合否判定に幾分の合理的な差違があるのは当然である。専願を英語で何と言うのか、興味を持って少し調べてみたらぴったりくる単語は見当たらなかった。敢えて言えば「early decision application」が使えるかも知れないが、これではよく分からない。専願とは日本語にしかない言葉なのだろう。

 



それに対して併願は「regular decision」と言っても良いとあった。特別の配慮を得て私立高校に合格しているのだから、内密で公立に出願するなどは出来ない決まりである。公立は募集人員のみの合格者数だから、若し公立を失敗した生徒が併願合格の切符を持って私立に来れば受け入れる。だから私立高校とは専願入学者プラス併願合格入学者となって、我々が狙い通りの入学者数になるなど不可能なことである。私立高校には「学則定員」というのがあるが、その数に「ぴったし」と言う風に決められないのである。この点を理解しないと「何であの学校は専願も多く、又併願も多いの?」という議論になってしまう。学校選択は受験生と保護者の意思で決まるから、その数の差は学校側の制限と「結果的には人気度」だと言って良いと思う。人気のある学校は生徒が多く、今一つの学校はそこそこの数値になる。浪速学院浪速高等学校は自分で言うのも気恥しいが「今、人気の学校」なのである。

 生徒を集めるのは本当に苦難の道、いばらの道を、背中に重い荷物を背負って歩いた結果の数値であり、ある日突然に生徒が増えたという夢みたいな話はない。本校も今から10年前の専願生は433人であったが、令和4年度は615人を超えるレベルまで増えて来た。本日制服採寸の日であるが600人を専願生が登校して来たのである。600人台になったのは100年の歴史で初めての事であり、「凄いこと!」なのである。私は本校教職員と生徒を称えたいと思う。今いる先生と生徒が「確実な嘘偽りのない歩く広告塔」であり、良い環境で良い教育をしていれば必ず社会は浪速学院を評価してくださるという事だ。多くの専願生を迎え私は自分のやってきたことが少なくとも間違いではなかったと安堵し、次の世代へのバトンタッチが順調に進んで行っていることを嬉しく思う。