調べてみると正規の「多聞尚学館での生徒校外学習」は前回が2020年8月3日の事であり、実に3年振りの多聞学習となった。このようにコロナは本校教育活動の目立たないところにも大きな影響を与えたと言える。仕方のないことであったが私は内心では「鬱積したもの」があって早く多聞尚学館の再開活用を望んでいた。そして遂に6月12日の日曜日に本格的な多聞学習が始まったのである。嬉しかった。仕掛けてくれたのは国語科の教諭で指導教諭でもあるT先生だ。教科指導力、人物識見共に素晴らしい本校が誇る教諭のお一人である。
今回のテーマは「思考力養成多聞セミナー」と銘打って引率教員3人で生徒は学年合同で86人という数の多さである。大阪で唯一の村である千早赤阪村について「SDGs」も視野に入れた「地方創生の課題」を現地で考えることにより、問題解決能力やプレゼンテーション能力を養うものである。これは大学の新入試制度に伴う「思考力」「判断力」に繋がる「主体的に取り組む」姿勢を養い、高校1年から3年までの協同性も重要視している。目玉は何と地元の方々を8人お越しいただきグループに分かれて様々なテーマで「人のお話を聞く」ことからスタートした。全く経験のない初めての取り組みであった。私は企画の素晴らしさに感動し高い評価を与えたいと思う。これこそ「ケーススタディ」である。教師から一方的に教えることだけが教育ではない。
現在、生徒アンケートを纏めている最中であるが生徒にとっても「生の声」を聴くことは大きな刺激があったみたいでワークシートを用いたグループワークの効果を付き添った教諭も実感している。まだ宿泊合宿とはしていないが、今後は徐々に活動の幅を広げてあらゆる方法で生徒の「考える力」を育んで行って欲しいと思う。多聞尚学館は他校が有していない「本校の宝物」みたいな校外学習施設であり、私が着任して最初に建設した、いわば学校改革の最初の成果の一つである。夏休み期間中の企画も現在検討が進行中であり、大いに期待したいと思う。「宝の持ち腐れ」になってはいけない。活用してこそ施設は生きる。
そのような背景もあって本日私は千早赤阪村の南本村長を表敬訪問して色々とお話を伺った。府内で唯一の村であり、名峰「金剛山」の山麓に抱かれた多聞尚学館とのご縁はその後「多聞茶寮」「多聞果樹園・農園」と拡がり、今後とも学校法人浪速学院は千早赤阪村の行政当局と地元の方々とはご縁を深めていきたいと思っている。大阪府から出向されているI副村長にもご挨拶が出来、私は何時でもこの施設をご利用くださいと申し出た。現在本校からは千早赤阪村の教育委員にD教頭先生が就任しており、人的繋がりも強固になって来ている。村長からはD教頭に対して高い評価のお言葉を頂き、鼻が高かった。今日は本校常務理事と筆頭理事のM理事にも同席して貰い、会談は大いに盛り上がったのである。