2022年7月22日金曜日

「萩往還」をもじって「伊勢往還」

 終業式の翌日は「お伊勢参り」である。高校1年生と高校2年で昨年参加していない生徒を含め、5班トータルで879人だ。大部隊である。昨日の8時20分、第1班の生徒165人、付き添い教員12名が大型バス4台に分乗して伊勢に向かって出発した。今朝も順調に第2班が出発した。昨日の私は生徒よりも少し早く8時に学校を学校車で出た。愛車オデッセイを運転するのは私の相棒(?)である事務室のKさんの運転であった。Kさんの運転技術は上手いと言えるし、慎重な性格だから安心して後部座席でテレビを見たり、眠っていける。コロナ前は「2泊3日の伊勢修養学舎」なのだが、1昨年から実行できなくなり、窮余の策で「日帰りお伊勢参り」に切り替えた。今年も状況は変わらず、宿泊は不可能でやむなく今年も日帰り参りのお伊勢参りにしたのだがコロナ感染者は急激に増大し油断すると危ないから余計に神経を使う。 



常日頃の私は結構忙しくあちこち走り回っているが、それでもほぼ1学期の予定が順調に消化され、伊勢参りの時期になると「ほっと」一安心出来る。重要な学校行事だが、やはり学校内での校務とは異なり、幾分「開放感があってリラックス」し物事をじっくり考える余裕が生まれる。これが良い。理事長や学院長の仕事はまだまだあるのだが、この「伊勢往還」で私の1学期はほぼ終わったと言える。5月の中学の萩方面修学旅行付き添いで得た知識である「萩往還」をもじって私は「伊勢往還」と名付けた。今回も猿田彦神社のU宮司様や神宮会館のW事務局長さんらと親しくお話しできたことが嬉しい。お伊勢参りの責任者は高校1年生の学年団のN学年主任、神道科の教諭であり、責任を持って全面的に進行する極めて重要な学校行事である。高校校長は全班に付き添う。校長時代の私は14年間、一回も欠かさず行ってきた。




「本校であればこそ可能なお伊勢参りの伊勢往還」である。卒業したら普通は伊勢に行ける頻度などは多くは無いし、生徒の中にはこれが最後と言う者もいるだろう。それだけに「日本の原点、心のふるさと」である伊勢神宮だけは行かしてやりたいと思う。それが神社神道の学校としての責務であると考えている。過去も未来も最も記念すべき学校行事でありたい。その気配を感じた生徒は「凛として、素晴らしい立ち振る舞い」で見事なお伊勢参りを実行してくれた。本当に良い生徒ばかりで鼻が高い。私は今回も強く思った。全国の神社の頂点に列せられている神宮へお参りすることは本校が存続する限り絶やしてはならないと。この行事が無くなるということは本校が無くなるということだ。江戸時代、人々が「一生に一度は参拝したいと願った伊勢神宮」、江戸時代の日本の平均人口は3000万人だったと言われているが、「お伊勢参り」ブームの最盛期には年間500万人、実に6人に1人が伊勢に参拝したという記録が残っている。現代社会でもこの伊勢参りが、日本人の生き方の中に存在するという風になればと願う。 





期間は一日と言う短さであったが、時間軸よりも「神宮をどう感じ、受け止めたか」、その「深さ」が問題である。前述したように、本校生徒は凛として、粛々と外宮、猿田彦神社、内宮を立派に参拝した。4月に高校生になったばかりの生徒達は早くも「神社神道の学校に学ぶ誇りと自信を有しているような顔つき」で宇治橋をバックにした卒業アルバムの記念撮影に参列していた。私は歴史と自然の環境の中に身を置くという自然の教育とは本当にすごいものだと実感している。