昨夕の強い雨で少し気温と湿度は下がったか?、幾分しのぎやすい日となった。学校は静かで落ち着いており、こういう時に私は「今何をなすべきか」「先手を打つには」等々と学校の先行きを考える。私にとって「至福の時」である。良い時には良いことが続くもので学校の制服を製作してくれている制服業界の雄である(株)トンボの新社長さんが就任のご挨拶に来て下さった。学校にとって制服は極めて重要であり、「世間を歩く生徒の制服は何よりも学校の教育のレベルを人々に示すもの」である。この度社長に就任されたFさんは昔から存じ上げており、当然の流れの中で遂に「本流の千両役者の登場」と言った感じである。私は「100周年記念バッジ」を差し出し、今後とも宜しくとお願いした。人々が驚くような人事よりも「自然の事」と外部に知らしめるようなトップ人事はこの会社の「質の高さ」を示している。私は学校食であるが昼食を共にしてご就任の祝意を示した。予てから良く存じ上げている人物が会社のトップにご就任する話は極めて嬉しいものだ。
冒頭書いた今後の大きな課題とはICT教育に関してである。ご存知のように、今や通常語となった感じのする「ICT教育」のICTとは、Information
and Communication Technology の頭文字をとった言葉である。パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法のことであり、あのお堅い文部科学省でさえも「もはや学校の ICT 環境は、その導入が学習に効果的であるかどうかを議論する段階ではなく、鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識する必要がある」と述べている。しかし文部科学省が音頭取りをする前から、私は「本校は先鞭を切る、他所に負けない、遅れてはならない!」とICT機器を積極的に導入し、それを使いこなすために「ICT教育推進部」の分掌を作り、教員の技量も「グーグルの認定資格」を得ることで高めてきた。
着任した15年前に宣言した新校舎のコンセプトは「IT武装されたシティスクール」を掲げ、平成28年にはその校舎も完成した。「全館ネット環境が整備」され中高2650名の生徒は全員が「クロームブック」を持ち、生徒も教員も今や簡単にこれらは使いこなしている。謙遜して言っても恐らく日本の学校の中で本校は「トップレベルのICT教育先進校」だと自負しているが、課題は「次のステージに向けて何をすべきか」である。ICT教育は機器の導入さえすれば、成果が得られるわけではなく、私はICT教育の根幹となるべき「電子教材」の開発進展が重要であると強く思っている。
具体的には「デジタル教科書の開発とその利用方法」でないか。その点が遅れている。
一部の識者、評論家の先生などは「ICT教育のメリットとデメリット」を声高く言う。最近ではデメリットの方に幾分声が大きく感じる。しかし彼らには実践力が無い。頭だけの思考からの発言であり、やる前から「あれこれ言うなって!」と言いたい。とにかく日本は民主的な国で「自由な発言」が出来る国であり、それだけで幸せに感じる人が多いが、結局言うだけでは教育の中味の改革は進まない。まず実践することだ。これで初めてメリットもデメリットも分かってくる。デメリットはそれを軽減する対応を取れば良いだけの話でICT教育、デジタル教材から「バイバイ」する話では無かろう。ICT教育が注目される理由は、教育を受ける子どもにも、教員にも多くのメリットがあるからであり、「今後とも本校はICT教育、デジタル教材の拡大を目指す」。
デジタル教科書(電子教科用図書)について言えば、現在の本校のレベルは2022年9月段階で、様々な点で整備が整っていない。これだけは本校だけでは不可能だからである。従って未だ私が採用を「声高に叫ぶ」段階ではないが「試験的に希望する教科」については使用を推奨し、デジタル教科書の使用について経験を積み、今後に備えるのが良いと考える。「デジタル教科書の購入費用は学校法人が全面的に負担」する。試験的にトライする教員には私が特別に評価したいと思う。過日、高校のY教頭に指示した。「デジタル教科書採用先進校を目指せ!」と。