今朝の産経新聞の1面「産経抄」は素晴らしい記事を載せていた。私は「衝撃に近い感動と同感」を感じた。心の中の「もやもや、曇りみたいな」ものがこの記事で晴れ上がり、「教育の現場にいる幸せと責任」を改めて認識した。産経抄は台湾の「オードリー・タン(唐)」さんをテーマに人間の評価について紹介している。彼女は中華民国の政治家、プログラマーであり、「台湾のコンピューター界における偉大な10人の中の1人」とも言われている。2016年10月に台湾の蔡英文政権において35歳の若さで行政院に入閣し無任所閣僚の政務委員(デジタル担当)を務め22年8月27日に新たに設置されたデジタル発展部の初代部長(大臣)に就任している。
経歴は幼い頃からコンピューターに興味を示し、12歳のときにPerlを学び始めた。2年後の14歳のとき、学校生活に馴染めなかったため中学を中退し、19歳のときに、シリコンバレーでソフトウェア会社を起業した。2005年、外見と自己意識を一致させるために、名前を変更するなどの女性への性別移行を始め、ブログ上において「私の脳は私が女性であると認識しているのに、社会的にはそうでないことが要求されるので、私は長年に亘って現実世界を遮断し、ネット上で生活をしてきました。」と述べている。以下「産経抄」の記事をそのまま転載する。
「台湾のデジタル担当相のオードリー・タンさんは、マスクの在庫を管理する画期的なアプリの開発者として知られる。コロナの感染拡大を防いだ「天才」の学歴は、中学校中退である。小学生のタンさんは、先生が教える「1+1=2」に納得しなかった。「2進法だったら、そうはならない」と反論する。先生にも友達にもなじめず、家に閉じこもって読書にふけった。
精神科医の岩波明さんによれば、タンさんには「自閉症スペクトラム障害(ASD)」という発達障害の傾向がみられる(『発達障害という才能』SB新書)。生まれつきの脳機能障害が原因とされる発達障害には、知的発達に遅れはないのに読み書きが難しい「学習障害(LD)」や落ち着きのない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」なども含まれる。
全国の公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の8.8%に発達障害の可能性があることが、文部科学省の調査でわかった。適切な支援がなければ、いじめや不登校につながる恐れがある。タンさんの場合は幸い、台湾大学の数学者ら才能を理解する人との出会いに恵まれた。
発達障害は学校だけの問題ではない。民間シンクタンクの野村総研は昨年、発達障害の診断を受けた人の不就労などによる損失が、2兆3千億円に上るとの推計を発表した。もっとも、発達障害を「才能」を捉えると話は変わってくる。
岩波さんは、エジソンやダビンチ、モーツァルトら歴史上の偉人たちにも発達障害の特性が見られるという。世界一の大富豪だったイーロン・マスクさんもテレビ番組で障害を告白している。「異能」を持つ人材が活躍できるか。「変わり者」として排除されるか。日本の生き残りがかかっている。」