24日の一日16キロの行軍はさすがにこの年ではこたえた。二日たってもまだ足腰がこわばる。3年ぶりの耐寒行事への参加であったが前回と比べて様相は全く異なり、最後の3キロは所謂「へばって」しまった。最終地点である「石上神宮」では腰が痛くて参拝時に前かがみが出来ず苦労した。「鬼の木村も歳には勝てないか?」と誰かが囁いているような気がする。しかし創立100年目の耐寒行事に生徒と共に歩けたことを良しとしたい。石上神宮では境内に放し飼いにしている「鶏」が迎えてくれた。ニワトリは石上神宮の一番の人気者であり、現在約30羽が参道をはじめ境内の各所にいる。「長鳴鶏(ながなきどり)」の一種である。伊勢神宮の内宮にも放し飼いの鶏がいるように全国の神社と鶏の関係は深い。それは何故か?
ニワトリはすでに「古事記」「日本書紀」に登場し、暁に時を告げる鳥として、「神聖視」され、「神様のお使い」ともされている。所謂「天岩屋戸伝説」である。日本神話が伝えているストーリーは太陽神である「天照大御神」が弟神のスサノオ神の乱暴狼藉な振る舞いに心を痛めて天の岩戸に引きこもってしまい、世の中は真っ暗になってしまった。その結果、闇夜に乗じて悪神がうごめき世界は災いに満たされてしまったため、「八百万の神々」が集まり、一計を巡らせた。天の岩戸の前で暁をつげる「長鳴鳥」を鳴かせ祝詞を唱えたと言う。そして岩戸の前で芸能の女神である「天宇受賣命(あまのうずめのみこと)」が踊り狂い、その姿を見た神々が笑い転げ、その笑い声を聞いた天照大御神が何事かと天の岩戸を開いたすきに「手力男神(てじからおのかみ)」が天照大御神の手を取って外に引き出し、世界は再び明るくなったというものである。この有名な神話の中に出てくる朝を告げる鳥が長鳴鳥で鶏であると考えられている。このストーリーを私は新校舎建設時に「天岩戸伝説の壁画」を作って貰った。本校自慢の作品であり宝物である。
今朝の新聞各紙は2023年度府内私立高校進路希望調査の第二回目の結果を公立中学校長会の名で発表したニュースを記事にしている。16日付けだから今後動いていくが、大筋の傾向が分かる。「何と、何と浪速高校は応募総数で言えば94校中トップの位置」であった。記事では1978人であるが我々の把握している今朝段階の数字は2048人である。凄いことになったものだ。報告に来てくれた入試広報部長は「ダントツの1位です」と少し声を震わせていたが、永い歴史でこの段階でトップは初めての経験である。最も他府県の数値が加わる学校も多いから最終的な浪高(なみこう)の位置は分からないが相当な上位になるかも知れないし、落ち着くところに落ち着くのかも知れない。
勿論数の多さが良い学校の証明とはならないことを十分承知しているが、人気が無ければ応募者が増えることにはならないのだから、まずは素直に喜びたいと思う。4月5日の入学式には中学で150人前後、高校で850人前後、総合計で1000人を超えるフレッシュな新1年生を迎えることが出来るかも知れない。創立100年を奉祝して日本最古の大神神社をスタートして古墳群を踏破し「山之辺の道」終点の石上神宮まで踏破した生徒達へ、「神様」から多くの入学者を賜ったと考えればこれは間違いなく「お神慮」であり、「ご神恩」に感謝する。私は素直に感謝する心を持つことは大切だと何時も生徒に話している。