新年になって初めて新浪速中学校棟の建設現場の視察に赴いた。昨年末に最後のコンクリートを打っており、これで外郭・骨格は固まったから今後は内外装の工事に入って来る。まさに工事は「佳境に入った」。2階部分は既に「窓枠サッシの工事」に入っていた。「これからは早いぞ!」特に今回の目玉はここNS館と引き続いて工事に入る中学校棟との境界にある「外階段(非常階段)」が4階まで打たれていたから建屋内の歩行が極めて楽であった。「各教室は広く、広く」感じた。これが中央館と連結され、繋ぎの廊下部分は建屋内になったから風雨などは問題とならないデザインとなる。生徒の為に工夫を凝らした設計だ。私は工事課長さんに申し上げた。「これからも例え設計と違っても、気づけば可能な限り、開口部を広げるように!」と。後で施主の私が「ここは“はつれ”!」と言わさないようにとの事前予告である。
素晴らしいNS館になるだろう。当面は高校側の教室として将来的には中学校との共用、その後は中学校が占用する可能性を考え、私は「連結校舎」に拘った。3階建てのNS館、6階建ての中学校棟が一体化した建物などは今まで見たことが無い。「本邦初」と言っても良いかも。建設現場で働いている皆さんは「良いお顔」をされていた。それは仕事の中身が良いからだと思う。やりがいと完成後、この建物の役割が未来を担う子供たちの学習の場だということが責任感と仕事の喜びに繋がっているからだ。少子化の中でも、次々と矢継ぎ早に教育環境の整備充実に対応している本学院の教職員は誇って良い。それは君たちが頑張ってきたからこそ可能となった話だからである。
今朝の朝刊各紙は2023年度入試の府内私立中学59校の応募状況が大きく記事になっている。例年の事だがこれで大体4月の私立中学の各校別入学者数値が読めてくる。ただこれらの数値は10日現在であるから14日に一斉に始まる入学試験当日までにまだまだ変動はある。浪速中学で言えば新聞記事では90人の募集で145人となっているが今朝の段階で156人まで膨れている。昨年同じ新聞記事では59校中26位であったが今回は20位に躍進している。遂に59校中トップ20位以内に入るようになった。実に感慨深い。
それにしても私は思う。「継続こそ力」であり、「キープ ゴーイング」こそ重要であると。「あの時、あのようにしなければ・・・」と人間誰しも思うものだが中学校に関して言えばまさしくそのことが心にぐさりと来る。止めずにあのまま頑張っておればと思うのだ。大正12年(1923)今から100年前に旧制浪速中学校は創立された。しかし何と昭和33年(1958)に募集を停止したのだ。「35歳で一度は死んだ」のである。しかし昔を懐かしむOB先輩達の「復活の声高く」、27年後の昭和60年(1985)日本がバブル景気の最中に法人は再度中学校の募集を再開した。しかし世の中は甘くはなかった。生徒は集まらず「長い、長い、辛くて苦しい時代」を経た。
何と一桁の30人一クラス時代が7年間も続き、この時に私は再度中学校の閉鎖も視野に入れながら、平成18年理事長・高校、中学校長兼務でこの学校に着任した。しかし「ここで止めては後で永遠に後悔するかも」と考えを改めた。「継続こそ力なり,もう一回やってみよう」と胸に刻んだのである。間髪入れず男子中学から共学中学にし、あらゆる改革を推し進め、徐々に浪速中学は息を吹き返した。この間実に16年もかかった。そして遂にトップ20位に位置されるような私立中学校になったのである。「まだまだ浪速中学校は伸びる、伸ばして見せる! 」